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心の■■■  作者: 栗眼鏡
1/1

後悔がある。

[嫉妬][憎悪][猜疑心][自己嫌悪]他にも【負の感情】と呼ばれるものは多くあるだろう。

これらの感情はその大きさは別として、全ての人間が持っているものだ。

どんな聖人であろうと【負の感情】は持っている。それが、あまりにも小さいからあたかも持っていないように見えるだけだ。


この感情を持っていないというなら、そいつは人間ではないのだろう。

きっと、今の俺と同じ化け物か、あるいはもっと酷いナニカなにか、、、、


時を遡ること3日前、朝起きると俺は人の形をしていなかった。

影のような真っ黒の体。オオカミのような牙。刃物のような爪。真っ赤に染まった瞳。

「なんなんだよこれ…」


{11月6日 日曜日}

朝起きると俺は人間ではなくなっていた。

朝6時、まだ家の誰も起きていない早朝、珍しく早起き出来た俺は寝ぼけた頭を醒ますため洗面所へと向かった。

「は?…なんだよこれ」

鏡には酷く醜悪な、化け物としか言いようのないナニカがいた。

そいつは、俺が片腕を上げると自分も腕を上げ。俺が口を開くと、鋭い牙の生えた口を不気味に広げた。

そこで初めて、俺はこの化け物が自分自身だと気づいた。


人間、心底驚くと声なんかでないらしい。頭はまだ現状を受け止め切れていなっかったが、整理のつかない頭でも…いや違うな、整理のつかない頭でこそ『この姿を見られてはいけない』と思い、家のマンションから飛び出した。

俺は、母と妹と弟の4人でマンションに住んでいるのだが、狭いマンションの中1人1部屋なんて与えられるはずもなく、俺は弟と同じ部屋を使っており、その向かいの部屋を母と妹が使っていた。

家の中に居続ければ必ず家族の誰かに見つかってしまう。それだけはダメだ!

もう、もう二度と、家族内でもめ事を起こしたくない…


俺が住んでいるのは9階だてのマンションの5階、駐車場までかなり高さがある。

なのになぜだろう…普通こんなとこから飛び折れば骨折じゃすまないことなんか解ってるのに、この体なら骨折どころか、かすり傷すらつかない気がする…それどころか、それを試したい気持ちがある。認めたくはないが、普段の日常からかけ離れたこの現状を俺はどこか楽しんでいるのかも知れない。


①この姿を誰にも見られたくない②こんな化け物が見つかれば騒ぎが起こる③正体が俺だとバレたら周りの人たちに迷惑が掛かる 故にここからすぐ、離れなくてはいけない。だから、これは好奇心じゃない。自信を、周囲の人を守るための行動だ。

俺がこの状況を楽しんでいる、という感情を否定し、これからの行動を正当化する理由をつくり、俺は[本能]と呼べる酷く心地の良い感情に身を任せ体を宙に投げだした。


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