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ユリカ界  作者: 碾貽 恆晟
第1部 2つの勇者の物語
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第1章 5話

誤字報告お願いします。

出来るだけ直します。



 フォールティアこと僕は2歳半になった。家庭教師のミナリー先生の授業ではこの国の一通りの作法、一般的な教養についてと、この世界の神様の話について習った1年の成果を報告しよう。まずこの国の作法、大変だった。神に捧げる祈りの仕方、ご飯を食べる時の作法、これは普段の食べ方・パーティーなどの時の食べ方(ダンスも含む)とふた通りあり、お茶会の時の作法、決め事を行う時(商談、貴族との話し合いなど)の話し方と多々あった。一般的な教養は文字の読み書きから始まり、挨拶や手紙を書く時の決まり言葉などなど。世界の神様についての話は子供に言ってもわからないだろうからと、神話や英雄譚だけで具体的に神様の名前はこんなんでこんなことをしてというのはやっていない。歴史と絡むから同じことをやるより、後でまとめてやるそうだ。これは嘆けばいいのか、今の穏やかなるひとときを謳歌すればいいのか。うん、後者だな。そう思い未来に起こりうる現実を全力で無視しつつ、今日を生きることにした。


 では、なぜ勉強の成果を報告しているかというと作法と一般的教養の授業の代わりに、魔法と剣術の指導が新しく入るそうな。順番は神様の話の代わりに地理と歴史→魔法→剣術という流れだ。これはあれだ、剣術をやってぶっ倒れましたはできないのか、と考え閃いた。地理と歴史、魔法をやって知恵熱が出ましたとすれば剣術をやらなくて済む。いつかやろうと決心して新しい家庭教師の人を待つ。具体的に言えば魔法の先生だ。地理と歴史はどうしたって?かつての高校時代の自分を思い出せ、解ったろ?


 「私が貴様の魔法の家庭教師となることになったイーザだ」


 いつから後ろに立っていたのか判らないが、イーザ先生は随分と破天荒な人のようだ。いや、いたずらっ子かな?


 「さてと、では授業を始めるとするか」


 「はい」


 僕ができる最上級の笑顔で返答する。


 「うむ、ではまず座学だ。長いから飽きて寝るなよ。さてと、この世界には魔素というものがある。これは創造神ーー【始まりの神】が【神界】と【現界】も境界線を曖昧にしたことで【神界】のエネルギーがこの世界に現れた時に形を変えた存在が魔素だ。魔素は二つの要素から成り立っている。まずは【神界】のエネルギーと同じことができるもの、意思による事象の改変ができる。そしてもう一つはそのエネルギーを暴走しないようにこの世界に現れる時に出来る殻だ。それでだ、一口に魔法といっても種類がある。一つ目は魔素をそのままエネルギーとして使用する直接魔法又の名を魔技。例えば魔素で肉体を強化したりすることだ。他にも属性を宿す魔素を使った応用とかもある。二つ目は魔素そのものに干渉して事象の改変を行う干渉魔法もしくは魔術。これは一般的な人々のイメージするものだ。そして、ここからが本題だ。言った通りわかるかもしれないがこの二つを同時に修行するのは難しい。何故なら修行方法が全然違うからだ」


 そしてイーザ先生はこちらをちらりと見る。質問して欲しいという顔だ。なので質問をしてみた。


 「昨日の夜、何食べました?」


 「昨日の夜はキーシャの手料理をだな……って違う。そこは何が違うんですかと聞くところだろ‼︎」


 「何が違うんですか?キーシャさんの手料理じゃなくてそこらへんのお店で済ましたんですか?」


 「そんなことはない、キーシャの魚焼きと……ってまだその話を続けるのか‼︎」


 ありえないものでも見たような顔をしてこちらを見る。なのでキョトンとした顔をしてあげた。


 「授業、続けないんですか?」


 ムムムと何やら口でなにかを呟いた後、咳を「こほん」と一つして話を始めた


 「魔技は魔素の動かし方を練習しなければいけない、溜めたり、放ったり。それに対して魔術は魔素そのものに干渉しなくてはならない。魔術というのはそもそも、魔素覆う殻ーー魔殻まかくを使って【神界】のエネルギーに干渉して事象を起こしたり、改変する。ここで重要なのは魔殻だ。この殻を使って【神界】のエネルギーに方向性を持たすことができる。方法は二つある。一つ目が魔法陣。これは、この魔法陣だとこういう事象が起こるということが判っているので威力が安定している。というよりは失敗する確率が低い。二つ目はこういう事象を引き起こすと意識したものを起こす。どちらも重要なのは起こす現象が判っていることが重要だ。曖昧だったりすると失敗する。なぜ引き起こす事象を意識することが重要かといえば、このプロセスによって魔殻に情報を詰め込むからだ。一つ例をだそう、魔法を起こすに当たって魔素の量ーー魔力は関係ない。何故なら100の魔力で引き起こした現象を10の魔力で起こすことができるからだ。ここで重要なのがさっきも言った通り情報量だ。10の魔力でも1つの魔力で引き起こす事象を多くできたならば、100使う必要はない。もっと簡単に言おう。1つの魔力で引き起こす現象は情報量の多さで決まる。こんな感じの爆弾より、大きさはこのくらいで威力はこのくらいと制約を増やすことでエネルギーのロスが減る。だから魔術を使うにおいて修行をするのはどれくらいの情報を一回で思い浮かべるかだ」


 長い……。


 「纏めるとだ。魔技は魔素の操作を、魔術は情報量をということになる」


 その後は、わからないところの質問をして答えるを繰り返して魔法の授業は終わった。



 = = = = = =



 次の授業は剣術。先生はがっしりとした体つきで太い声をした男の人。


 「俺が今日からお前の剣術の指導を担当することになったイバリだ」


 イバリ先生、怖いですと涙目でからだを震わして抗議してみる。意味ないだろうけど。


 「それではサケリウス帝国流の剣術を教えてやる。まずは素振りからだ」


 ほら意味なかった。気付いてよ、鈍いって言われたことないのかな?


 「まずはこの木剣を両手で持って振るんだ。最初だから解らないと思うが、まずお前の思う剣の振り方をやってみろ」


 いきなり実践か、習うより慣れろってところか?考えていても仕方がないので振ってみる。まず、言われた通りに木剣を両手で握ってみた。体を正して顔を前に向ける、足は肩幅と同じくらい広げ左足を下げてみる。脇を締めて肘が耳に当たるぐらい振り上げて振り下ろした。


 「初めてにしては悪くはない。だが改善すべき点はいくらでもある。素振りはどの流派であっても最初に習うのは剣の持ち方、振り方、ようは素振りだ。少なくとも俺はそう思っている。だから素振りは大切なのだ。誰もが剣を習うにおいて一度は通る道なのだから。では改善点を述べよう」


 その後は、腕が上がらなくなるまで木剣を振らされた。いったい何回降っただろうか?明日は筋肉痛で泣きそうだ。



_____________________________________




 魔法と剣の授業が始まって数週間後、今日は家庭教師がいない、休みの日だ。兄姉とお茶会をすることになった。兄は6歳(地球の9歳)で学園の経済部へ行っているのだが、今日は休みの日の陰日だ。暗い空を見ながらのお茶会。いったいなんのためにするのだろう。発案はシャーねえ、乗っかったのはハーねえ、どこか悟ったような顔をして参加したのが長男ファークイラことファーにい、引きずられるようにして強制参加させられたのが僕ことフォールティア(愛称:フォーティ)。そうしてそのお茶会はナータリウヌ家のバルコニーで穏やかに始まった。空は晴れており星々が空に輝いていた。


 「前にいった田舎よりも星が少ないわね」


 とシャー姉が言う。


 「街の光があるんだ。当然だろ」


 「改めて考えると、そうだわね」


 シャー姉、あなたは何を期待していたんですか。と心の中でつぶやく


 「それでなんでお茶会なんて開こうと思ったんだい?」


 「これはね盗み聞きしたんだけどお母さん子供ができたかもしれないんだって」


 「「「……」」」


 シャー姉以外が固まる。もちろん僕も。


 「確実な情報かい?」


 「まだ魔法とかでは確かめていないらしいけど十中八九間違いないって」


 「弟か妹ができるの⁉︎」


 「そうかもしれないってことだよ」


 ファー兄、シャー姉、僕、ハー姉の順に騒ぎ出す僕ら。煩くないけど。


 「名前はどうなるんだろう」


 「それより、兄姉としての威厳をどう保つかが問題じゃない?」


 「それを言っている時点でもうだめだよ。急ごしらえでつけた仮面はすぐ剥がれ落ちるんだよシャー姉」


 「くっ、これから頑張れば」


 「はいはい頑張れ」


 「応援しているぞ」


 「あなたの立ち向かう困難は長く険しい道になりますが成就することを心から願っています」


 僕、ファー兄、ハー姉がシャー姉に言葉を送る。


 「ちょっと、全然応援する気がないじゃない」


 「「「そんなことないよ」」」


 目をそらす行動は口より正しく僕らの心境を代弁してくれたのだった。


 この後話は紛糾して結局寝る時間の前までお茶会という名の話し合いは続いた。


 我が家はさらに賑やかになるようだ。



幕間より幕間らしい本編。

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