8 【打ち上げ】
僕達は学園を後にし、歩いていた。
「それにしても入学試験、思ったよりも簡単だったわね……」
「ああ。同感だ」
入学試験と言っても勇者についての基礎知識や魔術力測定など簡単なものだった。イリナとマリルは僕と同じようなことを考えていたようだな。
「しかし魔力ゴーレムについては学園側も張り切ったな」
「そうだよね。魔力ゴーレムって、作るのにすごく魔力使うんだよ」
それを受験者全員分だ。ざっと数えて300はいた。それほどの魔力の持ち主がいたということだろう。
「まあ、さすがはブレイブアカデミーといったところね」
「でも、そこに合格したんだよ!」
「そうね!とっても嬉しいわ」
大方イリナはマリルと一緒ということに最も喜んでいるようだが。
「そういえばイリナはこの後どうするんだ?」
「そうね……」
イリナはマリルをちらちらと見ながら考えている。
久しぶりの再会なのだ。僕の命の恩人とも言えるマリルのためにも、僕がどうにかしてやらなくては。
数秒ほど考えた後、僕は言った。
「マリルの家で打ち上げでもするか?」
マリルは明るい笑顔を浮かべ、イリナは歓喜に満ちていた。そしてさり気なくガッツポーズをした。
「じゃあ、行くか」
その声を合図に僕達はそれぞれの足元に魔法陣を描き、《転移》を行使する。
一瞬目の前が白くなり、目の前には見慣れたマリルの家があった。
「わあ!懐かしいわ」
イリナが家の周りを見渡す。
「昔、イリナって毎日のように私の家に遊びに来ていたよね」
すると家からドタドタと勢いのある音がした。
そしてしばらくするとドアからおばさんが出てきた。
「お、お母さん……?」
マリルはドン引きといったところである。
「イ、イリナちゃんが窓から見えたから……」
はぁはぁと息を切らし、おばさんは僕達を家へ迎え入れる。
「「ただいま!」」
「お邪魔します」
家の中からは夕飯の良い香りがしていた。
「今日はデザートにプリンを作っておいたわよ!」
ナイスだ。おばさん。
「プリンって……お子様ね」
その言葉は聞き捨てならないな。
僕は軽くイリナを睨み捨てる。
「何か言ったか?」
「いっいえ。何も……」
まあいい。プリンの良さがわからない者は人生の半分を損しているからな。
「じゃあ外にいくか」
「え?外?」
イリナは何のために外に行くのかわからないといった様子だった。




