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幕間書簡(7) ローズ・カペラとマティアス・ド・ロザン

 みなさまのおかげで、この度、『神霊術少女チェルニ〈連載版〉』の書籍化が決定いたしました!!

 書籍化時のタイトルは、



   『神霊術少女チェルニ(1) 神去り子爵家と微睡の雛』



となります!!


 詳しくは、以下、「活動報告」ページをご覧いただけましたら幸いです。



◇活動報告「チェルニの書籍化が決定いたしました!!」

 https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1888685/blogkey/2846336/

幕間書簡(7)


ローズ・カペラとマティアス・ド・ロザン


〈キュレルの街で〈野ばら亭〉を経営するローズと、王都の法理院で高官を務め、退官後、はキュレルの街で法理事務所を営むマティアスとの書簡〉




   ∞




親愛なるマティアス小父様


 お忙しいところ、失礼します。実は、また小父様にお知恵をお借りしたいことがあるの。近々、お邪魔させていただく時間はありますか? 小父様のご都合に合わせますので、ご指示をいただけると嬉しいです。

 用件は、不動産の取得に関するご相談です。ほら、うちの可愛いチェルニが、王立学院に進学するでしょう? ダーリンと話し合って、この機会に、王都にも家を持とうって決めたんです。


 小父様もご存知の通り、わたしたちが、しばらく王都で暮らすのは、既定路線のようなものでした。うちのチェルニは優秀だから、王都の高等学校に通わせるつもりだったし、町立学校のユーゼフ・バラン先生からは、王立学院の受験を勧められていたし。家族と離れたくなくて、迷っている子猫ちゃんを、安心させてあげたかったんです。

 第一、十四歳の可愛い娘を、王都で一人下宿させるなんて、マルークが認めるはずがありませんからね。そんなことになったら、わたしの愛するダーリンが泣いちゃいますよ。


 わたしとマルークは、もともと王都に家を買うつもりはありませんでした。チェルニが学校に通う間だけなら、借家で十分でしょう? その後のことは、後で考えれば良いって、のんびり構えていたんです。

 ところが、おそれ多くもネイラ様にご推薦いただき、王立学院の特待生として招いていただいて……わたしとマルークは、否応なく予感しました。わたしたちの可愛いチェルニは、多分、キュレルの街に帰ることなく、ずっと王都で暮らすんだろうって。


 可愛いチェルニが、ずっと王都に住むのなら、わたしたちは、いつでも娘が帰れる家を持ちたいと思います。可愛いアリアナにも、王都での暮らしは、良い経験になるでしょう? 〈野ばら亭〉がある以上、わたしとマルークは、キュレルの街を離れるつもりはありませんが、家は一つと決まっていませんからね。


 では、勝手をいいますが、よろしくお願いいたします。この用件がなくても、小父様にお会いしたいわ。



     ローズより




        ←→




ローズちゃんへ


 用件があって相手を訪ねる場合、失礼にならない範囲で、先に用件を伝えておいた方が、お互いに時間を短縮できる……ずっと昔、女学生だった頃に教えたことを、今でもちゃんと活かしているんだから、本当に優秀だね、ローズちゃんは。

 〈適当〉が服を着て歩いているような、あのヘルマンの娘だとは、とても思えないな。見た目は似ているけどね。やっぱり、あれか。ローズちゃんの優秀さは、お母さんのアマンダさんに似たのか。今度、ヘルマンが訪ねて来たら、そういってからかってやるとしよう。


 さて、王都に家を持つ件だが、わたしも良い選択だと思うよ。可愛いチェルニに、寂しい思いをさせたくないのは当然。可愛いアリアナも、婚姻前に王都で暮らすのは、良い思い出になるんじゃないか? 何より、資産形成という意味でも、家の購入に踏み切るべきだろう。


 ローズちゃんも知っての通り、この二十数年、王都の地価の上昇には目を見張るものがある。ネイラ様が御生誕遊ばされて以降、ルーラ王国の繁栄は約束されたものだと考えて、王都の土地を求める者が多いからだ。神霊庁からは、度々問題視する声が出ているそうだが、国民が自然に動いている以上、取り締まるわけにもいかないのが実情ではないかな。 

 ただし、王家としても、お膝元の王都で、土地の価格が高騰するのは、喜ばしいことではないと考えている。しばらくすれば、対策を考えようとするだろうし、そこで出てくる案といえば、ほぼ間違いなく税金の引き上げだろう。


 わたしのところに入っている情報からすると、約五年の猶予期間を置いてから、王都の土地売買にかかる税金を、売り手買い手とも、三倍に引き上げる案が検討されているらしい。税金を三倍にされたら、売買の利益はすべて吹き飛ぶだろうから、よほどの事情のある者以外、土地の取り引きは見合わせるだろうな。

 この〈税金三倍案〉には、かなりの反発が予想される以上、実際に導入されるかどうかは未知数だが、王都に家を買うつもりなら、今から数年が狙い目だろう。実際に税金が上がるとなれば、駆け込み需要の増加で、物件価格がますます高騰するのは、間違いないからな。


 仮に、税金の引き上げが見送られたとしても、ルーラ王国の王都なら、土地建物を所有していても、値崩れする心配はほとんどないしな。ローズちゃんの選択は適切だよ。いつものことだけどね。


 さて、面談の予定だったね。明後日の午後なら、時間を取れるので、事務所を訪ねてくれるかい? 実は、わたし自身、王都の物件を確保したいと思っているので、ローズちゃんと相談できると嬉しいよ。待っているよ、ローズちゃん。



     マティアス小父さんより

(まえがきと同内容です。)


 みなさまのおかげで、この度、『神霊術少女チェルニ〈連載版〉』の書籍化が決定いたしました!!

 書籍化時のタイトルは、



   『神霊術少女チェルニ(1) 神去り子爵家と微睡の雛』



となります!!


 詳しくは、以下、「活動報告」ページをご覧いただけましたら幸いです。



◇活動報告「チェルニの書籍化が決定いたしました!!」

 https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1888685/blogkey/2846336/

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― 新着の感想 ―
[一言] 危うくチェルニちゃんが『巫』だって分かってからお家買ってたら、インサイダー取引になる所でしたね…!(ファンタジーに現法を当てはめる読者)
[一言] たとえ税金が3倍になろうとも、チェルニちゃんが正式に巫だとお披露目されたら巫覡が揃っている王都に住めるなら! と更に地価が高騰しそう 小父さまほぼ身内な感じで頼もしい〜。カペラ家を物理で守る…
[一言] 本編を読んでいるときは、あくまでビジネス的な繋がりかと思いきや、家族ぐるみのお付き合いがある方だったのですね。 法律の専門家が身内にいるのは(この場合、チェルニちゃんのお祖父ちゃんの友人っぽ…
感想一覧
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