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死後の世界?

 気がつくと、俺は何も無い白い空間にいた。ここが死後の世界かは分からないが、この空間には見覚えがあった。たしか、初めて死んだ時にも来た空間だ。ならまた自称神が現れるだろう。その自称神は俺が初めて死んだ時にここに俺を連れてきて転生させた張本人だ。見た目はどちらかと言えば仙人みたいな感じだし、なんか言動がとにかく緩い。


「久しぶりだね。ぼっこぼこにされてたねー、あの世界救えなくて残念だよー」


 そんなことを考えてたら、何も無かった所に突然その自称神が現れた。もしかしたらこちらの思考を読んでたのかもしれない。そんなことできるかは知らないけど多分神なんだからなんでもできるんだろ。


「まぁ、あの世界の人類はそう長くは続かないだろうからどうでもいいんだけどね」

  今こいつなんつった?続かないだと?


「そりゃ続かないよ。君も体験しただろ?あのチートみたいな力。あれはもう人間の手に負えない。だから君が落ち込む必要はない。」

「じゃあなんで俺をあの世界に送った!わざわざもう一度死なせるために送ったのか?」

「まさか、そんな趣味の悪いことはしないよ。僕は神だからね」

 うさんくせー


「あの世界に送ったのは君に剣の技術を身につけてもらうためだよ。次の世界で生きていくために。また、救うために」

「また転生するのか?俺はもう嫌なんだが」

「君の意思なんて関係ない。ただやる気は出してもらわないと困る。次の世界で人類が滅ばない程度に活躍するか、人類の脅威を無くすことが出来れば君がまた次転生する時には元の世界で何一つ不自由のないことを保証してあげよう。」

「もし断ったり、その最終目的が同じになりそうな条件を達成できなかったら?」

「断ったら君の来世はとても辛いものになるだろう。条件達成できなかった場合でも元居た世界には返してあげる。実績次第ではごく普通の家庭に生まれ直させてあげるよ。」

 神は意地の悪い笑みを浮かべてそういった。俺に選択肢は無いようだ。正直、来世の保証というのはとても魅力的だし受けてるしかないようだ。


「わかった。次の世界に行こう。次の世界に関する情報とかを教えてくれないか?」

「いいねー、その切り替えの速さ。僕は君のそういう所好きだよ。少し長くなるかもしれないけどいい?それとも転生してから自分で集める?君が前の世界で鍛えた剣の技術なら、割と上位よ強さに入れるから苦労しないと思うよ。剣の技術だけならね。」

 神は嬉しそうに言った。心底楽しそうだ。


「ここで教えてくれ。その方が成長するまでに色々考えをまとめられる。それに剣術だけってどういう事だ?」

 剣術だけということは、前の世界には無かった魔法があるのか?

「違うよ。これから転生する世界に魔法はないよ。」

 また思考を読みやがった。まぁ声に出す必要がないから便利っちゃ便利か。

「そうでしょ!便利でしょう?」

「あぁ、便利だよ。便利だから話を進めてくれ。」

 この自称神は、普段人と話すことがあまりないからだろうか(予想)?こいつと話す時はいつも話が脱線してしつこく絡んでくる。いや、もうほんと面倒くさい。


「…そうそう次の世界の話だったね」

 聞き流した。いや、別に口に出して言ってないから、あいつは聞いたわけじゃないんだろうけど。


「ああ、次の世界の話だよ。その世界は剣術以外に何があるんだ?」

「別にあの世界が剣だけの世界って訳じゃないよ。斧や槍とかもあるよ。ないのは魔法と遠距離武器、銃もない」


 言ってることが違くないか?前の世界と何ら変わらないじゃないか。もったいぶってる感じがイラついたので俺はあえてそれを隠さずに言った。

「じゃあ、何が違うんだよ。もったいぶらずに早く言えよ。面倒くさい。」

「冷たいなー、まぁいいや。じゃあ話を進めよう。まずあの世界のには刃纏というちょっと変わった才能があってね、この才能がないと貴族とかでもない限り一生剣を握ることはないだろうね」

 ハテン?なんだそれ?まずどうかくんだよ?全くわからん。


「刃を纏うと書いてハテンだよ。あっちの世界じゃ当然漢字がないから書き方は変わるけどね。漢字は僕がテキトーにつけたんだ。うまいでしょ?」

 なるほど、剣を装備、つまり身につけて戦う才能みたいな意味だろう。

「だいたい正解。頭いいねー。だいたいの意味を説明すると、まずこの能力を持ってるだけで人よりも身体能力が飛躍的に上がる」

 マジかよ、前の世界とは大違いだ。前の世界はどんなに鍛えても普通の人間のままだ。


「そして、何より、この才能がないと剣の主には、なれない。どういうことかって言うとね、人が剣を選ぶんじゃなくて、剣が才能つまり『刃纏』を見て主を選ぶんだよ。そしてあるじと認められると、剣が主の持つ『刃纏』と一体化する。これは剣だけじゃなく他の武器にも言えることだ。」

 ん?今おかしな単語が出てこなかったか?


「今『刃纏』と剣が一体化するとか言わなかったか?どういう意味だ?」

「そこに気づくとはさすがだね。まず一体化とは文字通りの意味だよ。まず1つ目の一体化の意味は、使わない時剣は存在してないんだよ。使おうとして『 刃纏』のエネルギーを外に出したら手の中に剣が実体化するんだ。ちなみにそのエネルギーは、成長や鍛錬で増えたりするけど、使い切ったら回復するまでただの人間と変わらない状態になるから気をつけてね」

「好きなだけ使えるわけじゃないのか。てか全然文字通りじゃねぇな。しかも1つ目てってことは他にもあるのか?」


「あるよ〜、二つ目は全ての武器に変わった宝石のようなものがハマっていてね。この宝石が『刃纏 』を通して剣の加護を持ち主に付与したり、その加護の内容や剣について知ったりすることが出来るんだ」

「加護?内容が分かるってことは剣のステータスがゲームみたいに出てくるのか?」

「そんな感じだよ。ちなみに加護の内容は色々あってほとんどの武器にあるのが身体強化とかかな。ちなみに、加護の名称の後に数字があってね、この数字が大きいほど加護の大きさも変わってくるよ。」


「その加護の数字はどうやって伸ばすんだ?」

「簡単だよ?あの世界の魔物を倒せば勝手に経験値的なのが溜まって増えるんだ。しかも!宝石が魔物のエネルギーを吸収して稀に魔物の持ってた能力を使えたりもする。」

「どこが簡単だよ?命懸けじゃねぇか!そしてまた新しい単語がさらっと出てきたよ!魔物って言ったか?まさかその世界に行く目的がこいつらを狩り尽くすとかじゃねぇだろうな?」

「お、察しがいいね。ちなみに一番ヤバイのは人型の奴らだ。吸血鬼とかね。」


「吸血鬼⁉︎あの化け物はあっちにもいるのか?」

 俺は驚きのあまり大声で聞き返してしまった。実は吸血鬼は前の世界にもいたのだ。なんなら魔王の城に殴り込んだ俺を捕まえて、魔王の前に連れて行ったのが魔王軍で幹部をしていた吸血鬼だ。正直言って手も足も出なかった。まず動きが早すぎて目で捉えられないのだ。動きが見えない相手に勝てるわけもなく瞬殺だった。


「だから言ってるじゃん?なんなら君を瞬殺した吸血鬼よりも強いのが結構沢山いるよ。」

  嘘だろ?驚愕のあまり空いた口が塞がらなかった。マジでこんなことってあるんだな。

「おい、それ絶対勝てないじゃないか。前の世界で俺は吸血鬼に瞬殺されているんだぞ?どうやってそいつらを倒すんだよ?」

「さっきの話もう忘れたの?前の世界と違って刃纏や加護のおかげで身体能力は格段に上がってるんだよ?実際、次行く世界ではもう既に君を瞬殺した吸血鬼よりも強いのが一度討伐されているんだよ。」


 俺は再び驚愕した。あの化け物を殺せるのか?果たしてそれは人間と言えるのか?どちらにしろ刃纏や加護がどれだけ強力なものかは今のやり取りで充分すぎるほどに理解することができた。そして剣術だけではやっていけない理由も。


「なるそどな。剣術や戦闘技師がどれだけ高くても刃纏や加護の能力が低いと結局前の世界とほとんど変わらないということか。」

「そゆこと。そして、その能力を上げるにはさっき説明したように、魔物を倒さないといけない。ちなみに、加護のレベルが上がると、これも稀にだけど別の加護が派生して使えるようになることもあるよ。」


  レベルって言うのは、加護の後ろについてる数字のことか。ここまで来るとほんとにゲームみたいになってきたな。他に聞くことはあるかな?行く前にできる限りの情報は欲しい。今までの経験上、情報があるに越したことはないんだよな。

「じゃあ僕が言うことはもうないからさっさと行ってきな。僕はここから笑いながら見てるよ。君は見ていて全然飽きないからね。」


  もしかして、俺が転生され続けているのは本当はこいつの娯楽のためなんじゃないだろうか?多分そうだと思ったが、あえて口に出さなかった。多分、俺の心を読んで分かってるだろうけど声に出さないだけいいだろう。それより、

「おい、ちょっと待て!こっちは死んだばっかりなんだよ。もう少しゆっくり休ませてくれ。」

  俺が慌ててそう言うと、このクソ神は完全にスルーして、転生の準備を始めた。何をしているのはほとんど分からないが、前回は数十秒で終わったので今回もそんなに時間はかからないだろう。


  なんと、今回は数十秒もかからなかった。五秒くらいすると突然、俺の体の周りが一瞬明るい光に包まれたかと思うと徐々に薄くなり始めた。このペースなら完全に消えるまでにそんなに時間はかからないだろう。俺は完全に消える直前に

「このやろー、次あった時覚えてろよー」

 と、全力で叫んでいた。いかにもそのら辺に出てきそうな雑魚キャラのセリフだったため、神が腹を抱えてゲラゲラ笑っていた。その光景を最後に俺の視界は真っ暗になった。

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