あとがき
完結してからもう1年と半年が過ぎました。
何故今頃になってこんなあとがきを書いているのか……それにはいくつかの理由があります。
その大きな理由として、本作である『シロと呼ばれた子犬』の続編を書きたいとの思いがあるからです。
けれどもそれと同時に迷いも生じています。
シロが交通事故により亡くなってしまい、そこから更なる続編物語を書きべきなのか否か。
もし続編を書くとするならば、あの男の子である著者と同じ名前である『タチバナユウキ』を主人公と据えることになるでしょう。
彼はシロの死により本来の人としての心を取り戻してから数年後、絵本として自ら体験したことを綴りました。物語では絵本が完成してお終いになってしまいましたが、その後どうなったのか……本当はその続きも当時の時点で考えてありました。
ですが、今現在に至っても1文字すらも書いてはいません。
正直、ある程度物語として描いてはいるのですが、最後の最後、落としどころか見つからないこと。
そして執筆するたび心がドンドン削られていくこと、その2つの理由から書けませんでした。
シロ短編と長編。
これは書き始める前、既に最初から落としどころと言いますか、結末を決めてから執筆したのでとても楽でした。ですが、シロ亡き後の続編となるとまったくの未知数。ぶっちゃけ結末が思い浮かばない。
それと本編ではわりかしソフト表現にしていましたが、続編はもっと過激な描写になる……そのことがまた心の負担にもなると思ったりも。
現実は創作物である小説なんかとは違い、本当に酷い出来事ばかりです。
もし続編を執筆すらならば、そのあたりにも触れないといけません。
一例を挙げるならば、
『旅行に行くから一家揃って猫を殺処分に来た』
『インスタ栄えしないから黒猫を捨てに来た』
……などなど、ほんと冗談みたいな理由で保健所に置きに来る飼い主や自分勝手な飼い主、あとはハッキリと言ってしまえば飼い主から動物への虐待ですね。
飼い主からナイフで目を抉られた柴犬
左足を切り落とされ骨が見えているプードル
ボーガンの矢が刺さった猫
……などなど、こうして書くのも嫌になるくらいの内容ばかりですね。ほんと。
あと作品に対する感想と言いますか、クレームというか批判が来ることもありましたね(今はまったく来ないけど)。
これは貴方が実際にしたことなのですか?
こんな物語考えるなんて鬼畜ですね。見損ないました。やっぱり貴方、チクショーだわ。
なんでこれを書いたんっすか?
などなど……すべてが悪い意味でして。
ま、そのほとんどがツイッターからなのですが、そういうの来ると書く気が失せてしまう。
またこれは批判というわけではないのですが、制度や設定についてのご意見も。
それによって注意書きを入れたり、本編を少し書き直したこともありますね。
確かあれは最後の最後、山中さんが自らの夢を実現したところだったかと。
本編ではアニマルセラピーによる動物と触れ合えるカフェスタイルと記しましたが、アレ最初は里親になってくれる飼い主へのレンタル制度だったんです。
レンタルはちょっとね……みたいなご意見をいくつも受けて修正したのですが、昨今のNPO団体ではレンタル制度を導入しているところもあるそうです。
理由は私が記したのと同様に里親引き取る集まりに際して、やはり『引き取る』か『引き取らない』か、その2つの選択肢では里親となってくれる飼い主の方が引き取るのを躊躇うことが多いとのこと。
実際ああいった催しでも20~30頭の犬を連れて行っても、里親として出されるのはわずか1頭か2頭らしいです。また実際に『生涯、見取るまで飼い続けることができるのか?』などのアンケートや職員の方との面接をして、それだけで断念する方がほとんどだそうです。
その不安を解消するため、今は里親を探してくれるNPOでも一時ホームステイとして1週間ないし2週間ほど実際にレンタルして、それからそのペットを引き取るかどうか決める。
これが意外と良い結果を生む動きがあるとのこと。
ようやく私の考えやアイディアが通用する時代になりつつあるのかな……っと思ったりもして。
また自治体によっては里親になってくれる方々に厳しい条件を付けることもあります。
10歳以下の子供はいないか、所得は安定しているか、過去に3年以上ペットを飼っていた経験があるか……などなど。
また保健所でも里親に実際に殺処分されるペットの動画を最初から最後、灰になるまでを見てもらいそれから引き取るかどうかきめるところもあります。
もし今後シロの続編を書く機会があるならば、これら批判も含めすべてをフィードバックしながら書くことになるでしょうね。
絵本への周りからの作品批判(私の体験談含む)
引き取り屋について(生きながらの死)
ペットショップについて(レンタル制度)
無責任な飼い主と虐待
最近のNPOの試み
……などなど、こんな感じになるかと思います。
最後に私は続きを書くべきなのだろうか……