不思議空間
僕の前に手形に縁取られた半透明なウィンドウが浮かび上がる。
ここに手を置くのか?置いてみるか。
手形は緑色の光を発しながらキャラクタースキャンを開始します、とウィンドウに表示される。
するとウィンドウから赤色の光が頭の先から足元までを照射しだす。
ピピピと機械音を立て僕の身体をスキャンしていった。
ウィンドウに緑色で数字や数式が流れては消えていく。
日本語でも流れだす
※データを照合中※
※バックアップと同期しています※
※DNA完全スキャン完了※
『キャラクタースキャン完了しました』
という文字が現れたと思ったら、
「うおっ」
思わず声を上げてしまう
テーブルの上に僕の“全裸 ”が現われたからだ。
がりがりにやせ細った腕、頬に出来ているニキビ、ボサボサに目の下まで伸ばした黒い髪もそっくりそのまま表示されている。
自分のことをここまでまじまじと見る機会が無いから恥ずかしくなってくる。
美人な女性ならじっくりと見たいのだが、現実は男。それも不細工なのだから残念としか言いようがない。
でもこれはすごいことには変わりない。こんなにもリアルな僕が表示されているのだから。