表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者は9歳のお姫様!?  作者: 白髪銀髪
少女誘拐編
21/314

誘拐犯

 セラブレイト・マキシムと名乗った男は、ルグリオ達と別れてから、取り巻き風の男を引き連れて、彼の主が待つ馬車まで戻ってきていた。

馬車はそれほど大きくもなく、大の大人が何人も入れるような見た目はしていないのだが、彼らは吸い込まれるようにして、馬車の中にその姿を消した。

 馬車の入り口をくぐると、中は別の空間なのかとも思えるほど広く、ベッドやバスルームまでついている。ついている扉の中からは、少女のものと思われる悲鳴や嬌声、嗚咽、懇願、様々な声が聞こえてくる。その他にも、鞭で叩かれる音、機械の軋むような音など、馬車という外見からはかけ離れた、異常な行為が行われていることは想像に難くない。車内には、甘い匂いが充満していて、他のにおいを消していた。


「ただ今戻りました。ペルジュ様」


 セラブレイトが一つの扉の前で膝をつく。しばらくすると、扉の一つから、セラブレイトとは比べ物にならない、ぶくぶくと脂ぎった、どこからどうみても不摂生な身体にとりあえずローブだけを羽織ったような、醜い顔をした一人の男が出てきた。その顔面からは、汗が噴き出しており、歩くたびに、プヒー、と息をついている。


「まったく、ぼくはいまおたのしみちゅうなんだから、じゃましないでほしいよね」


 ペルジュはセラブレイトを蹴り飛ばす。自分の感情をまきちらすことをどうとも思っていない、とりあえず苛立ちをぶつけるためだけの行為だ。


「失礼いたしました」


 セラブレイトは何でもないように立ち上がると、腰を折って、丁寧にお辞儀をした。


「ぼくのおたのしみをじゃましたんだから、つまらないものだったらぶっころすよ」


 ペルジュが扉に向かって人差し指で合図をすると、聞こえてきていた音や悲鳴が止み、中から身に何も纏っていない少女が数人出てきて、ペルジュの汗を拭くと、前で四つん這いになった。


「ふん」


 ペルジュは何の躊躇いもなく、少女たちの上に腰を下ろした。そして、少女の尻を手で叩いた。少女の口から悲鳴が漏れる。


「ぷひー、きょうのいすはすわりごこちがわるいな、まったく」


 今度は少女たちの上に寝転がる。同じような悲鳴や嗚咽が、少女たちの口から洩れる。


「も、申し訳ありません、ペルジュ様」


 少女が、怯えて震える声でそう告げる。ペルジュは、少女の謝罪を無視して、少女たちを弄り続けた。


「それじゃあ、はなしてくれたまえよ。そのまえに、もうきみたちにようはないな」


 ペルジュが指を鳴らすと、セラブレイト以外の取り巻きの男たちは燃え上がり、灰になった。


「はい、ご報告させていただきます」


 セラブレイトは、眉一つ動かさず、淡々と自分の見てきたことを語った。その間も、ペルジュは自分が寝転がっている少女たちを弄ることはやめなかった。




「ふーん、なるほどねえ。じゃあ、そのかわいいしょうじょちゃんはぼくのことをまっているというんだね」


「おそらくは」


 待っているのは、ルーナだけではなく、ルグリオもセレンもいるのだが、ペルジュは聞いてはいなかった。

 ペルジュは、ルグリオには全く興味はなかったし、セレンには多少思うところはあったが、そんなことよりもルーナのことで頭はいっぱいだった。

 ペルジュの頭はそれほど多くを覚えていられるほど優秀ではなかったのだ。どうしようもなく愚劣で、下半身でものを考えるような男だった。


「なんで、つれてかえってこなかったのさ、このぐず。ほんとうにやくにたたないねえ」


 そして、必要ではないと思ったことはすぐに忘れるのだった。


「申し訳ありません」


「まあどうでもいいか。それじゃあ、きみのやくめもこれでおわりだね。またあたらしいのをさがしてこなくちゃ」


 ペルジュが再び指を鳴らす。セラブレイトは灰になって消え去ってしまった。


「ここのところ、がくいんやらがきゅうがくになったりして、あたらしいこがてにはいってなかったからな。まったく、すこしいなくなったくらいでおおげさなんだよな。ほんとうにこまったものだよ」


 実際、困ったどころではなく、重大なことで、各国は血眼になって行方不明となった少年少女を探しているのだが、そんなことを気にするような男ではなかった。

 ちなみに、少年には興味のないペルジュであったが、偽装のために攫って処分していた。まったく偽装にはなっていなかったのだが、本人は気づいていなかった。


「なるほど、ルーナちゃんか。ほんにんならば、きいていたとおりだな」


 ペルジュに情報の提供や、手助けをしてくれる人物は、ペルジュの欲望を満たす代わりに、ある少女だけは確実に始末してくれと言っていた。ペルジュとしても、別にどうでもよかったので、とりあえず承諾していた。


「しかし、しまつしてしまうにはもったいないな。ぼくがもらってしまおう。ようはきえてしまえばもんだいないのだろうから。かんたんにはこわれない、いきのいいこだといいなあ。そうしないと、ぼくもたのしめないしな」


 ペルジュは気持ちの悪い笑みを漏らすと、再び妄想にふけり、少女たちで遊ぶのだった。


この土日は予定があって、投稿できるかどうかわかりません。

日曜の夜からは、また投稿できると思いますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ