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敵艦隊ヲ迎撃セヨ!!  作者: 信濃
15/26

十五話 山本の思案

こんにちは^^予約投稿です

場所は戻り日本1939年12月9日


海軍での会議はほぼ一日を使った。

山本は海軍の将校たち全員一旦返すともう一度会議室にこもった。

前夜の会議を整理するためだ。そして井上が残したメモに目を落とした。

「逆・・・ね。面白い男だ」


―「後、逆も言えます」

 「逆、と言うと?」



「逆・・・つまり敵国の商船や輸送船を日本海軍の潜水艦で撃沈させるのです。大型の軍艦を狙うのではなく、そちらを狙えば敵に混乱が招けるかと自分は思います。」

「確かに我が日本海軍は軍艦の保有量がほかの国より若干低いからねえ・・・潜水艦で大型艦を倒すという方法を考えていたんだが・・・これは改めねばならんかねえ。井上すまないがメモをしてくれ」

山本の願いに井上は首肯した。

「黒島参謀長・・・すみませんが指示棒を貸していただけませんか?」

その問いに黒島は無言で指示棒を差し出した。

その指示棒を彼は受け取りフィリピン近海を指した。

「この島々は英・米・蘭の植民地が多いです。これらは昔から植民地支配を受け、列強の重要な拠点となっています。特に先ほど先述されたパレンバン油田については私も聞いております。よってそれほどの植民地を勝手に放っておいてあるはずはありません。よって激しい戦いになる事が予想されます・・・」

なるほど、と山本は一旦区切り黒島に体を向けた。

「黒島、すまないが陸さんの所からあそこいったいの詳しい地図と敵情報について貰ってきてくれ、頼む」

「畏まりました、しかしながら半時はかかるかと・・・」

「分かった、なるべく急いでくれ」

「はい」

黒島はそういい残し会議室を後にした。

「さて・・・だいぶ時間が経った。ここらで一つ休憩にしよう。私の体に堪える・・・」

そういいつつ山本は会議を一時中断した。そして思い出したかのように彼を呼び止めた

「君は・・・少し残りなさい、いいね?」

彼は少し逡巡して高松宮に判断を仰いだ。

「行ってやりなさい、私は大丈夫だ」

高松宮様の声で彼はもう一度会議室に足を踏み入れた。

「いきなり本題になるが・・・君はなぜそこまで外国事情に詳しいのだね?」

彼は山本の背を見ながら静かに答えた。

「高松宮さまからご教授していただいた知識と・・・先輩方からの情報を統合したものであります。」

「ふうん・・・それは凄い、君には海将になれる素質があると思うんだがね。」

山本にはいささか疑問であった。今まで外国の事情を知った上での話をした者や作戦を立案した者は一人も一兵卒には居なかったからだ。

「ただ、長年の経験の賜物でございます」

帰ってきたのは素っ気無い答えだった。

山本は一つ彼を試そうと思った。

「今回の相手は・・・どこだと思う?」

彼は少し困惑した顔を見せた。

「アメリカ・・・では?」

うんうん、と山本はうなずいた。

山本は駐留武官としてアメリカに行った事がありそのときのことを思い出していた。

アメリカの財源、行動力、工業力・・・全てを山本は自分の目で見てきた。その国と自分の国を今比べて考えていた。

「勝てると思うかね?」

山本はポツリとつぶやいた。

たかだが一兵卒にそんな弱音を吐く山本ではない、これは彼を試す試練なのだ。山本はようやく彼に体の正面を向けた。

その体には一国の運命を背負っている覚悟が見受けられた。

「君は・・・勝てると思うかね?」

山本はもう一度今度は重々しく言い放った。

その覚悟が滲み出しているかのようにその言葉には気迫が混じっていた。

「それは・・・難しいです」

彼の答えはそうだった。山本は少し残念そうな顔をした。

やはりおもしろい男と思っていたがどうも見当違いのようだったと山本は感じた。彼もこの一局に大きな賭けをしていたのかもしれない、ただの一兵卒に自分の考えが正しいのか問うていたのだ・・・自分の頼りなさと不甲斐なさに山本は少々自分に絶望した。

こんな若者に頼っていては聯合艦隊司令長官失格だな・・・と。




「ですが・・・方法しだいでは勝てます。」

その言葉に山本の顔には笑みが浮かんだ。




いつもご愛読ありがとうございます。今回は自分の構成力が足りず、お見苦しい点が多々ございます。修正点などを指示していただけると真に光栄です。

今回の話は原稿には無かったお話です。現在ぶっつけ本番で執筆している最中でございます。前回前書きで区切らさせていただいた話の続きとなります。

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