十二話 思いもよらぬ者
ちょっと長いので話を区切らさせていただきます。
「パレンバン油田を制圧する」
その言葉を聞いた瞬間、会議室にいたほぼ全員が話し合った。
「そんなことが出来るのか」「攻撃隊の編成は」「無事制圧できるのか」
「陸軍との協力は」「陸軍に独占されないか」
などだった。誰もがそこの攻略に乗り気だった。
なぜならパレンバン油田は日本の年間石油消費量を上回るほどの産油量だったのだ。ここを逃す手は無い!それにそこは東南アジア有数の油田地帯でもありここを押さえることは日本軍の最大の作戦内容となるだろうと彼らは思っていた。
ただ・・・その中にそんな事よりも違う事を考えていた男がいた。
「長官・・・あそこを占拠できるとして、石油を積んだタンカーはいかがなさるのですか?」
発言をした彼は高松宮宣仁親王の従兵として特別にあてがわれた特務士官だった。
この会議では彼以外少佐から大将までしかおらず、特務少尉の彼が発言するのは場違いのようだった。
「貴様!特務少尉の分際で!」
彼の目の前にいた将校が彼の顔を殴ろうとしたが山本の声で止められた。
「まあ待て、意見があればいって欲しいと言ったのは私だ。彼はその命令に従っただけなのだよ」
将校が座ったのを確認して、山本は深く椅子に座り直し彼に顔を向けた。
「それは考えていなかった、君ならどうやるんだい?」
その顔はまるで子供が新しいおもちゃを買ってもらったような笑顔だった。
「高松宮様よろしいでしょうか」
「うむ、そちの考えが皆のためになるやもしれん・・・なにより私も聞きたい」
では、と切り出し彼は続けた。
「まず護衛の件です。先のヨーロッパ戦線ではドイツ軍のUボートが連合国の商船、輸送船を破壊し、敵を窮地に追いやっています。これはアジアの海でも言えます。タンカーを丸裸にしていると敵国の潜水艦に沈められ、せっかくの資源は枯渇してしまうでしょう・・・そうなれば敗戦への道を辿ってしまいます。それを守るため対潜に特化した艦を護衛に付けさせるのです。」
「ふむ、なるほど」
「後、逆も言えます」
「逆、と言うと?」
会議室には彼と山本の声しか響かなかった
こんばんは、二夜連続投稿です。いつもご愛読いただき真にありがとうございます。
頑張って書き下ろしているのですが、キーボードを叩く腕が段々痺れてきました・・・今友人のラインによると安保がどうやらと大変な事になってるそうですね・・・阿部首相もお疲れになっているでしょう・・・
ではでは、皆様!また会える日まで!グッバイ!