あっつい日には
久しぶりにおまけ更新。
ちょっと単体だとインパクトが薄いもんでw
「あっつーい!」
「セミうるさーい!」
「とけるー!」
朝起きて、朝食を済ませたあと店の掃除をしている三人娘。
今日は悟志から掃除するから七時に起きなさい、と言われみんな眠そうにしながらも起きてきた。
エアコンのフィルターを水洗いしたために店のエアコンは使えず、汗をかきながら机を拭いたり、床にモップをかけたり。
「もうちょっとで終わるから~!」
店主である悟志も厨房の掃除。
といっても毎日の営業後にしっかり洗っているため、厨房の作業台の上にうっすらと乗ったホコリを拭き上げる程度だが。
あとは厨房の冷蔵庫内の食材のチェック。
痛むものは使い切ったはずだが、それでも大丈夫だと思っていたものがダメになりそうなこともある。
実際、悟志は期限ギリギリの品を見つけてしまった。
「やっば、キムチ明日までじゃん。……今日は豚キムチ丼にするか」
未開封のキムチ。
冷やしうどんの味変アイテムとして買っていたそれを見つけて、期限を確認すると表示されていたのは翌日。
そうなると店では使えない。
店の営業は週明けからだから。
こういうものは神代家で夕飯に使われるからロスになることはないのだが。
「悟志くん、掃除終わったよ~」
「エアコンのフィルターも乾いてたんで取り付けちゃいますね」
「ももたちがんばったのでご褒美に温泉につれてってくださ~い」
キムチ以外にも期限ギリギリの豆乳を見つけ、家の冷蔵庫に移したらタイミングよく声がかかる。
確かにこんな日には大きな風呂に入るのもいい。
今から行って、風呂に入り、昼食を摂って帰ればいい時間ではないか?
「ああ、じゃあ行こうか。はい、すぐ準備!」
パンと手をたたいて悟志が準備を促すと、わっと盛り上がる三人娘。
「だーっしゅ、だーっしゅ! だんだんだだん!」
「るーみん、私洗面所からおでかけバスタオル持ってくる! 私の着替えおねがい!」
「わかった!」
普段のんびりしがちな三人娘が、これだけ急ぐということはよっぽどさっぱりしたかったんだろう。
自分も急がなくては、と悟志も自分の準備をしに部屋へと戻った。
『悟志~、氷食べたい』
家に帰って座敷でうとうとしていると、留守番をしてくれていたゴン太からのおねだり。
三人娘はそれぞれ自室でお昼寝中。
階段下の小屋の前に氷と水を入れた冷風扇を起動させて置いて出掛けたから、暑さ対策は大丈夫だったはず。
だが、もしかしたら思ったよりも身体の熱が抜けていないのかもしれない。
「ああ、待ってな」
ゴン太のエサ用の皿を小屋の前から持ち出すと、家の冷蔵庫の冷凍スペースにあった製氷トレーから氷を移す。
入れ替わりで座敷でごろんと横になったゴン太の前に置くと、ゴン太は勢いよく氷を齧り出した。
『ひやっこくてうまいな!』
喜んでゴリゴリ音を立てて氷を食べるゴン太を見て、はっとひらめいた悟志はゴン太の背中をひと撫ですると、台所へと戻っていった。
そして数分後、三人娘の眠りを覚ますことになる。
「ちょっと悟志くん、うるさいんですけど~!」
「そうですよ! 早起きして温泉入ってねむねむなのに!」
「眠りを妨げたお詫びの品を要求します!」
草刈り機でもかけよるんか、と言わんばかりに家に響くブイィィィィィンという音。
それに起こされた三人娘は同じタイミングで部屋から出てくると、勢いよく階段を下りて発生源の台所に向かって抗議をする。
「ああ、やっぱ起こしちゃったか。でもちょうどできたよ、フラペチーノ」
悪びれもせず、むしろ手間が省けたといった様子でさらっとそう言った悟志。
フラペチーノ、冷たくて甘いの。その言葉にさっきまでの怒りを忘れてはしゃぐ三人娘。
「はい」
ミキサーからグラスに移し、ストローが挿されたそれはまさしく出かけた時によく飲むあいつ。
「わっ、悟志くんすごーい!」
「氷を削ったからうるさかったんですね」
「これなら許さざるを得ないです」
そう言ってフラペチーノに口をつけたあと、ぱっと笑って座敷でおしゃべりを始める三人娘と後片付けをする悟志。神代亭の夏の一コマであった。
ブレンダーかミキサーがあれば実は家でも作れるフラペチーノ。
バニラアイスと牛乳で手軽にできますよ~。
残暑に是非お試しください。




