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能力確認

「あなた達には魔王を討伐してもらいます」


 煌びやかなドレスに身を包んだ、金髪の少女(5)が俺たちに語り掛けてきた。

 突然の事だった。

 先程まで俺たちは教室にいた筈だ。

 しかし周囲の景色は明らかに教室ではない。

 窓のない部屋で、クラスメイト全員(0,0,49,0,9……)が一カ所に集められている。

 俺たちを囲むように黒いフードを被った連中(32,63,72,19,0,0,1、39,57……)が並んでいる。

 地面にはまるで魔法陣とでも言わんばかりに幾何学的な模様が描かれている。

 俺は瞬時に状況を理解した。


 あ、これ異世界召喚だ。


 こういう時は動かないに限る。

 この姫の様な格好をしている奴(5)が味方とも限らないしな。

 俺は詳しいんだ。


「おい! ここは一体何なんだ!」


 鶴城 優斗(0)が叫んだ。

 状況を理解できていない様子。

 密かに優越感を覚えつつ、様子を確認する。


「私達はあなた方を異界から召喚しました」


 やはり異世界召喚だったか。

 あまりピンと来ていない鶴城 優斗(0)はやはりというか、こういった物には疎い様だ。


「あんたなんなんだ? 魔王? ドラクエじゃあるまいし」


「どらくえ、が何かは知りませんが、あなた達には勇者として魔王を討伐してもらいます」


 鶴城 優斗(0)はドッキリか何かだと疑いつつも、しかしやけにリアリティのある空気にギャップを感じているような顔をしている。

 俺たちの様な学生を騙すために大金を使ってこんなセットを用意はしないだろう。

 ちなみに他のクラスメイト(0,0,49,0,9……)は一切喋ろうとしない。

 まあ鶴城 優斗(0)に任せておけば問題ないからだ。


「まだ理解が追い付いていないようですね」


「そりゃあ……、まあ」


「取り敢えず、皆さまには早急にして頂きたい事があります」


 姫らしき人物(5)がそう言うと、黒いフードを被った人物(125)が青い水晶玉を持ってきた。


「あなた方の能力を確認いたします」


「はぁ? もうなんなんだ!? あんたは誰でここはどこなんだ!」


「こちらの水晶玉に触れてもらいます」


 鶴城 優斗(0)が叫ぶが、姫(5)は超然とした態度を崩さない。

 彼女(5)は言い終わったとでも言いたげな様子で目を瞑り、口を噤んだ。


「一体なんなんだ……」


「水晶玉に触れてって言ってたね……」


 青柳 花音(0)が彼(0)に話しかけた。

 陽キャ連中(0,0,49,0,0)が集まり話し合った結果、水晶玉に触れる事にしたそうだ。

 まあ話が進まなさそうだししょうがない。


「よし、じゃあ触れるぞ……」


 まず、鶴城 優斗(0)が触れる様だ。

 すると、水晶玉が青白く光り始めた。


「な、なんだ……!?」


 光が収束し、空中に文字が浮かび上がった。

 恐らくそれが鶴城 優斗(0)の能力なのだろう。


『いろいろ手に引っ付く能力』


 微妙な雰囲気が部屋中に溢れる。

 しかし気を取り直して青柳 花音(0)が触った。


『十秒を正確に刻める能力』


 またもや絶妙な雰囲気が部屋中に溢れる。

 他の人(49,0,0)が触っても、微妙な能力しか出て来ない。

 陽キャグループ(0,0,49,0,0)が触り終え、他の人(0,0,9,0,0……)も触り始めた。

 そして遂に俺の番となった。


『他人がセックスをした回数が分かる能力』


 なるほど、どうりで。

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