タイトル詐欺になりそうで困ったからAI(ChatGPT)にタイトルを考えてもらった話
まさか自分がタイトル詐欺をしてしまうなんて……。
現在、作者は小説家になろうで『追放された剣豪はもう一度、天へと向かう』という小説を連載しています――しています、といっても体調不良とか面白いつまらない以前の段階で止まっちゃってるもやもや感(これに関してはそのうちちゃんとまとめたい)とかで思いっきり中断してるんですが……。
ともかくちまちま書いてまして、今22話まで来たものの別の問題が発生しています。タイトルだけ読むと、いかにも最終的に天を目指して進む……みたいな感じに見えるんですが、書き進めてみたら全然向かいません。清々しいほどのタイトル詐欺です。
もちろんわざとやったわけではなく、書き始めた当初はちゃんと内容に沿った題名をつけたつもりでした。それがなんで詐欺タイトルになってんのかというと、プロットを作らないで書いていたからです。
普段、作者はプロットを作ってから執筆します。ですが、どうもそれだと物語のダイナミズムがなくなる(ような気がする)、物語がこじんまりとしたものになる(ような気がする)ので、ここはひとつプロット無しで書いてみようじゃないか、と愚考したわけです。
とはいえ、プロットなしであっても書き始める前の時点で「なんとなくの構想」が頭のなかにはあるものです。おそらくこんな感じの決着になるだろうな、という薄ぼんやりとした想定をもとに書き進めていくわけですが、もちろんプロットなしですからズレます。思いもよらぬ方向へと作品が走ってしまうわけです。
執筆が進めば進むほどストーリーの全体像が明確になって、物語がどういう構造をしているのか見えてくるようになります。
そろそろ物語も後半に入ったな……というタイミングで、作者はちょっとストーリーを整理してみようと、ちゃんとプロットを作ることにしました。なにせこの作品、何度も執筆が中断しているので。
そうしたところ――主人公、天に向かわねぇな! となってしまったわけです。話の流れ的にもキャラクターの性格的にも、わざわざ天に戻ろうとかしなさそうだなコイツ、と。思いっきりタイトル詐欺です。これには参りました。
さらに言ってしまえば、もともとこの作品は別の題名だったのです。書き始めたばかりの頃は、作中のセリフから取って『神は言っている――汝、ハーレムを作るべし』というタイトルでした。
しかし「追放」というワードが入っていたほうがキャッチーかな? と思って変えたという経緯があります。そして、そんな安易な目論見が成功するはずもなく全然読まれていないのでした。
つまり、二重の意味でダメなタイトルになっているのです。読まれてないうえにタイトル詐欺とかいう最悪の題名……言うまでもなく理想は「おっ、面白そうだな。ちょいと読んでみるか」となるようなタイトルです。
しかし、そんな素敵なタイトルをそうほいほいと作れるはずもなく……というか作者は過去にいくつもネット上に小説を載せているわけですが、ことごとく読み手の気を引くキャッチーなタイトルを作れていません。
いわゆるコピーライターとしての才能と言いますか、ごく短い言葉で読者の興味をそそるということができないのです。読者が思わず読んでみたくなるような魅力的なタイトルを作ろうとするものの……こう、いい感じの題が浮かばない。
で、困り果てて頼ったのがAIでした。
作者は割と最近、自作小説のキャラをAIに生成してもらって、それをpixivに載せています。細部はともかく、割とそれっぽいものが出来上がるので、大雑把なイメージを伝えるならこれ便利だなぁ、と思った次第です。
で、ふと気づきました。これ、小説のタイトルもAIに考えてもらったら意外といいのができあがるんじゃないか? と。
特に最近のタイトルは要約系――つまり作品内容を短文で表し、「ああ、これは◯◯っていう話なんだ」と読者に一発で理解させられるタイトルが好まれます。
AIは文章を要約するのも得意という評判ですから試してみるのも悪くないでしょう。
ちょうどプロットを作っていたところでしたから渡りに船、これをちゃちゃっと改造しまして――AI(ChatGPT)に簡単な登場人物表とあらすじを読み込ませ、「この小説にふさわしいタイトルを生成して」と頼んでみました。
返ってきた回答がこちらです。
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ありがとうございます。登場人物と壮大なあらすじから、ジャンルとしては「異世界ファンタジー」かつ「政治劇」「冒険譚」「群像劇」の要素も強く感じられますね。以下の点がタイトルを考える際の主なキーワードになりえます:
主人公トーカの成長と居場所の獲得
竜・エルフ・ドワーフの力を巡る陰謀
帝国の権力闘争
天界と地上の対比
複数のヒロインとの共闘
これらを踏まえて、以下のようなタイトルをいくつかご提案します:
✦ シリアス寄り・王道ファンタジー調
《竜と剣と追放の地で》
──追放された者が新たな仲間と運命に立ち向かう叙事詩。
《天より堕ちし剣士、帝国を斬る》
──主人公の異能と陰陽術が政争の闇を切り裂く印象的なタイトル。
《封じられし力と三界の戦乱》
──天界・地上・竜族など世界のスケールを意識。
《追放の陰陽剣士と竜姫たち》
──ライトノベル的な明確なキャラ押し+ジャンル訴求。
《異邦の剣、帝冠に届く》
──転生者の末裔という外来性と皇位を巡る政治劇を象徴。
✦ 少し詩的・文学寄りなタイトル案
《天墜ちの剣と竜の残火》
──追放と失われた里のイメージを詩的に描写。
《深紅に燃ゆるは、竜の誇りと剣の誓い》
──シアとの関係性を中心に据えたエモーショナルな表現。
《封炎の王と導きの剣》
──バルツァー王の儀式とトーカの存在を対比的に表す。
✦ シリーズ化を意識した構造
《陰陽剣譚トーカ -竜の里と皇帝の影-》
──「陰陽剣譚トーカ」をシリーズ名にして各巻で副題を変えるスタイル。
《帝国黎明戦記 I 追放者と竜の乙女》
──壮大な物語を示唆しつつ、一巻から展開される群像劇を意識。
ご希望のトーン(硬派/中二風/ラノベ調/詩的など)に合わせて、さらに絞ることも可能です。お気に召す候補はありますか?また、方向性の希望があればそこに寄せて練り直します。
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なんかもう初っ端の『竜と剣と追放の地で』でよくね? とか思ってしまった作者です。
そして冒頭の文章を読んだ瞬間、「そういえばジャンルの指定を忘れてた」と気づいた間抜けな作者が私です……とはいえ異世界ファンタジーだと即座に見抜くあたり、なんだかんだ昨今のAIは優秀ですね。
ただ、微妙に違っているところもあります。主人公のトーカは最初から強く(最強系に近い)成長性のあまりないタイプの主人公ですし、天界と地上の対比もそこまで……という感じだったり、ほかにも色々と。
これについては簡単な登場人物表とあらすじだけで生成していますから仕方のないことではあります。
肝心のタイトル案に関して言うなら、AI(ChatGPT)は陰陽剣士とか陰陽剣潭とか陰陽道要素を強調したものがほいほい出てくるのが気になるところです。これ強調すべき要素だったの……?
あと竜姫って別に竜族のお姫様じゃないんだよなぁ……とか、帝国黎明戦記って別に黎明期というわけじゃ……とか、そもそも封炎ってワードはどっから出てきたんだとか。
ここらへんはタイトル詐欺になりそうだと思ったものの、ぱっと見だと結構よくできているように見えます。少なくとも『追放された剣豪はもう一度、天へと向かう』とか『神は言っている――汝、ハーレムを作るべし』よりは読んでみようかな? という気を起こさせるタイトルになっているんじゃないかと。
とはいえ小説家になろうの王道はやはり長文のなろう系タイトルです。せっかくなので、AI(ChatGPT)に「なろう小説ふうのタイトルにして」とお願いしてみました。回答がこちら。
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了解しました!「小説家になろう」風のタイトルでは、以下のような特徴が好まれます:
長めの説明的タイトル(いわゆる“なろう系タイトル”)
追放/成り上がり/チート/ハーレム/異世界/魔法などのワードを使う
読者が一目で「どんな話か」が分かる構成
ちょっとしたユーモアや逆転劇の匂いも◎
以下になろう小説風タイトル案をいくつか挙げます:
なろう風タイトル案(長文系)
「天界を追放されたけど、地上で美少女たちと最強軍団を作ることになった」
「追放された天界剣士、竜族のお姫様やエルフ令嬢と帝国の陰謀をぶっ潰す」
「俺、天界をクビになった陰陽剣士だけど、気づいたら地上の覇権争いに巻き込まれてた」
「異世界で追放された俺が、ドラゴンとエルフと貴族令嬢を従えて皇帝の陰謀に挑む話」
「天から落ちた俺が、なぜか竜族・貴族・エルフに頼られて帝国を救うことになった件」
「陰陽剣士の俺、地上で出会った美少女たちと帝国の闇に立ち向かいます」
「天界追放されてチートスキル使ったら、竜・エルフ・貴族令嬢に囲まれてた」
少しインパクトを狙ったユニーク寄り
「竜とエルフと貴族令嬢? そんなに俺のこと好きかよ!」
→ ちょっとハーレム要素強調系
「天界追放されたけど、帝国の次期皇帝候補たちを片っ端からぶっ倒したら英雄になった」
「追放系陰陽剣士、無自覚に国を救っていた件について」
もし「ちょっとシリアス寄り」や「ギャグ系がいい」「もっと中二病っぽく」など方向性の希望があれば、そちらにも寄せて再提案できます!
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主人公の一人称が「僕」なので、上記の「俺」は全部「僕」に変えるとして――と思ったところでふと気づいんたんですが、この手の一人称が入っているタイトルは本文もいわゆる一人称小説だったような……?
どうでしたっけか? なんか思い返すと『俺は――』みたいに入ってるのってだいたい一人称(物語論で言うところの等質物語世界的な語り手)だった気がする……。となると三人称(異質物語世界の語り手)で書いた小説につけるのはまずいのか……?
しかしこちらでも陰陽剣士とかのワードが出てきますね。これをアピールしていけ! というAIからの勧め? というか、なろう系長文タイトル案のほうがタイトル詐欺っぽいのが悩みどころ。
別に最強軍団作ったりはしないし、竜族のお姫様でもないし、皇帝の陰謀じゃないし、帝国の闇とかでもないし、チートスキルとかないし、そもそも片っ端から次期皇帝候補をぶっ倒してるわけでもないし、もちろん無自覚に救ってるわけでもないし、「そんなに俺のこと好きかよ!」と言えるほどのイチャラブ要素も……とか、もう色々。
こうしてみるとアレですね。AI(ChatGPT)に「お前の小説にはなろう要素が足りない」と言われているかのようです。とりあえず長文系はダメそう……。
となると最初に出した案がいい感じなんですかね。タイトル詐欺にならなそうで無難なのは、やっぱり『竜と剣と追放の地で』?
『天より堕ちし剣士、帝国を斬る』も、帝国そのものを斬ってるわけじゃないけど、比喩表現として陰謀を阻止する話だから合ってはいる……? でも天より堕ちし剣士って言い方は似合わなそう。
『封じられし力と三界の戦乱』は別に三界全部を巻き込んだ戦乱ってわけでもなく、そもそも三界じゃなくて四界構造だから設定的にも間違っているのが問題。
『追放の陰陽剣士と竜姫たち』は後半の竜姫たちを竜の巫女とか竜の少女とかに変えれば行けそう? でも別に「たち」って複数いるわけじゃないんだよな。「たち」は削るべき? そもそも竜の巫女は作中で言われてるとおり、別に巫女でもなんでもない自称だから後者がふさわしい? でも竜の少女だとインパクトないか。あと陰陽剣士のワードはどうなんだろう?
『異邦の剣、帝冠に届く』はなんか主人公自身が皇帝になったり皇帝を倒したりするみたいな誤解を与えそうだから却下で。
『天墜ちの剣と竜の残火』はそもそも作品の雰囲気に合ってなさそう。というか竜の残火って何を指してんだよ? となりそうでやっぱり却下。
『深紅に燃ゆるは、竜の誇りと剣の誓い』も詩的表現にかたむきすぎててぱっと見でわかりづらい。剣の誓いとか深紅に燃ゆるも何を指しているのか? となってしまいそうでダメ。それに竜の誇りって……シアに竜の誇りあるかなぁ?
『封炎の王と導きの剣』これも封炎が謎ワードになるし、導きの剣って別に何かを導いてるわけでもないからタイトル詐欺感が強い。
『陰陽剣譚トーカ -竜の里と皇帝の影-』シリーズ化タイトルまで考案してくれるとかいう気遣いっぷり。でも副題の皇帝の影はちょっとどうなのか。これだと亡くなった前皇帝の陰謀が――みたいなイメージがつきそう……。
いやでも最初の『陰陽剣潭トーカ』の部分だけならあり? なんかAI(ChatGPT)案だと、陰陽道要素を妙に推してくるし。これ入れとくべき……?
『帝国黎明戦記 I 追放者と竜の乙女』これもシリーズ化前提のタイトル。別に帝国黎明期ってわけじゃないけど、よくよく考えると皇帝が代替わりするんだから新しい時代という意味で黎明と言えなくもない? ただ、戦記物としての要素はないからやっぱりタイトル詐欺になるし、却下か。そもそもシリーズ化はネタが……というかそもそも読まれてないものを書くのは……って感じで、うーん。
もう、なんかこねくり回しすぎてどれがいいんだか判断がつかない状態。というか読者受けするんか? とか根本的な疑問も……。
いっそ読者アンケートでも取りたいくらいだけれど、そもそもアンケートなんて取れるほど熱心に読まれてないよ、というジレンマ。
いっそのこと組み合わせて『陰陽剣潭トーカ 竜と剣と追放の地で』とかやるべき? AI(ChatGPT)的には陰陽師要素が超重要みたいな認識っぽいし……。
うーん、本当にどうしたものか。