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銀河からのSOS

作者: 藤乃花

「敵軍に気付かれないうちに、『プリズム』を別の場所に移動させました。今ソレは軌道に乗り、『蒼い惑星』へと届いている最中かと思われます」「御苦労様です。近々こちらも準備を整え、『プリズム』を回収するべく『蒼い惑星』へ使いを送る予定です」「了解しました!新たな動きが在り次第、また報告致します!」敵軍に逆探知されないよう、用件だけを伝え、クロスは素早く通信を切った。かつてクロスたちが平和に暮らしていた『アクアモンド星』は、邪悪な心を持つ『ブラックストーン星』の住人たちに支配され星の王が民を、隣り合う惑星に逃がしたのだ。王は一人『ブラックストーン星』の軍隊に捕らわれ、今は彼の城だった地下室に幽閉されている。民を護る筈だった城は『ブラックストーン星人』に乗っ取られ、美しかった水と宝石の融合惑星は欲望にまみれた黒に染まりつつある。『アクアモンド星』の秘宝、『プリズム』を手にした者は、万物を自由に司る事が出来ると云われており、それを狙った『ブラックストーン星人』に渡らないように、王は捕らわれる直前、『プリズム』を『蒼い惑星』に解き放った……というわけだ。銀河船に取り付けられたビジョンレーダーを通し、クロスは『プリズム』の行方を感知している最中だった。ビジョンレーダーが反応を示す『プリズム』の位置は、かつて平和な場所だったクロスたちのこきょうと類似している。「『プリズム』の位置を確認……『蒼い惑星』と呼ばれる場所でも、かなり平和な国……『大日本帝国』。現在では『日本』と呼ばれております!今より『日本』を目標とし、到達を試みます」「慎重に願います!万一『日本』とやらの民が邪悪な存在ならば、臆する事なく攻撃をくわえよ!」「了解しました!」クロスは『日本』の民を善か悪かを見極める段階に入っている。(『日本』……どんな民が住んでいるのか)

一日の疲れを背負いながらも、柴野司しばのつかさの足は軽いものだった。(今日の買い取り販売具合はなかなかだったな。成績も良い感じに伸びるぞ!)司の職業はブランド買い取り店の店員。鑑定士の資格を持っており、話術にも優れている。仕事ぶりはスマートで他の店員より成績は優秀。それでいて気さくな人柄で周りから好かれていて、才能に関してもひけらかす事は全く無い。人間の鑑だ。ただ……顔立ちは地味寄り。でもまあ……優秀なのだから、そこは良いという事で。(綺麗な夕焼け……ん?あれは……?)司の視界に不可思議な物体が映り込む。夕闇の中、何かが光を放ちゆっくりと落下してくる。光は半透明……オーロラのような感じだ。「なんだ……ろう……」思わず駆け出した司は、手を伸ばし光を受けにいく。普段走る事は無いが、何故だかその光を手にしなければいけないように思えた。光が落下してくる場所はそれほど遠くはなかった。手の中に落下する直前、光は一瞬だけフワリ……と浮かんだ、ような気がした。「!」冷たさが手の中で踊る。「これ……宝石……?」スーツ姿で取りに行った光は、見たことの無い透明感に溢れた宝石のようだった。「これは……凄い物……なのかも」何かが起きる予感が、司の胸で騒いだ。

「この『日本人』どうやら善良で誠実な民と見た。『プリズム』が美しいままの光を放っているのが、その証拠だ!」「そのようだな」クロスと共に銀河船に乗り込んでいる彼の仲間、ジムも『日本人』……司の人柄を見抜いた。「もし邪悪な民が『プリズム』を手にすれば、世界は闇に染まり全てが暗黒と化してしまう……クロス」「ん?」「あの『日本人』に『プリズム』を託してみないか?彼は全宇宙の未来を護るほどの力を秘めているようだ」「同じ気持ちだ。あの『日本人』が、『プリズム』を受け取ったのは運命ではないだろうか」<運命>……銀河の歯車が廻りだし、それぞれの惑星に住む民が交差を始めた。





 

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