第二十二話
真宙は夢を見た。
清盛と他愛ない話をする夢だ。
そのうち、なぜか清盛に宇宙人だということがばれてしまう。
笑っていた清盛が急に冷たい目になり、自分から離れていく。
お願い、話を聞いて。
そう言おうとするも、声が出ない。
『いかないで、話を聞いて、謝るから……お願い……』
苦しくて体がばらばらになりそうだった。
その時、何かが聞こえた。
「――。おい、真宙」
体が揺れる。
重たい瞼をなんとか持ち上げると、そこには心配そうな清盛の顔があった。
「大丈夫か? 真宙」
「あれ――」
ぼんやりとする頭を少し振って、真宙は清盛の顔を見た。
薄暗い部屋なのに、なぜか清盛の顔だけははっきりと見える。
「お前、またうなされていたぞ」
真宙の涙を拭いながら、清盛は言う。
「お前、俺が言ったこと、気にしてるのか? 」
「言ったこと?……ちがうよ。俺、山田のこと好きだし。
それより、俺宇宙人だから、それで、嫌われちゃうかなって思ってて……」
いまだ夢うつつだった真宙は正直に答えた。
清盛はふっと笑うと真宙を優しく抱きしめ、背中をぽんぽんと軽く叩く。
「大丈夫、俺はお前が宇宙人だろうと地底人だろうと、悪魔だろうと、好きなことにかわりねーから」
真宙は安心したかのように瞳を閉じ、静かな寝息を立て始めた。
清盛は起こさないようにそっとベッドを離れる。
「ったく。どんな夢みてんだ? 」
そう悪態をつく割に、清盛は嬉しさを隠せずにいた。
夕方告白したときには聞けなかった真宙の本音を聞けたからだ。
(やっぱ男同士っての、気にしてんだろうな)
清盛は少しまじめな顔で真宙を見る。
男が男を好きになるなんて、清盛自身真宙に会うまでありえないと思っていた。
しかし、真宙の一挙手一挙動に目を奪われた。
見るたびに気になった。
目が離せなくなっていた。
そして――気が付くと好きになっていたのだ。
そこには理屈なんてものは存在していない。
あるのは「真宙のことが好き」と言う原始的な感情のみだ。
清盛もその感情に気が付いたときは、戸惑い困惑した。
突然の告白に真宙も戸惑っているに違いない、と清盛は思う。
真宙の寝息を聞きながら、清盛は目を閉じるが、今夜はどうも眠れそうになかった。
朝になり、真宙は清盛に起こされて目を覚ました。
「そんなに寝てると遅刻するぞ」
「わっ!! 」
目を開けた真宙は清盛の顔が近くにあったのにびっくりして、思わず大声を上げる。
清盛はふっと笑うと、真宙の髪をくしゃりと撫でた。
「な、なんだよ! 」
顔を真っ赤にして抗議する真宙に、清盛は余裕の顔で言った。
「俺、お前が宇宙人でも好きだからな。
だから、お前もゆっくりでいいから俺のこと、どう思ってるか教えろ。
気長に待っててやるから」
「ふぇ??? ええーっ!!?」
真宙はぽかんとしていたが、ややあって素っ頓狂な声を上げた。