焦土
ソレからの話をするならば、まさに地獄絵図という表現が相応しいと思う。
放たれた炎は、最初に着弾地点周辺の木造建築を焼き、徐々に範囲を広げた上で私の求める人材以外を全て生きたまま焼き殺したのだ。
いたるところから、男女関係なく悲鳴が上がり、命からがら街を出ようと正門の前まで逃げた者たちは、料理人以外は等しく「罪の茨」によって圧殺された。
また、放たれた炎が特殊な性質を持っており、水を掛けても消火することができず、火の手から逃れようと川に飛び込んだ人間も見事に焼死した。
「《原初の火》。アナタのおかげで、何人も人的資源を生きたまま捕まえられたわ!本当にありがとう!!」
すると、原初の火は嬉しそうに私に近寄ってきたかと思うと、急に跪き言った。
「私も、女王陛下の為に働けて嬉しいの!もしよければ、私に名前をつけて!そうすれば、もっと役に立つことができるようになるわ!!!」
名前ね〜、正直どうでもいいのだけど…
そう思いながらも真面目に思考を始める。
殺戮…はダメでしょ〜、さ・つ・り・く……さ・く…サク!!!
「あなたの名前は今日からサクね!!!」
めちゃめちゃ適当な気はしたが、これ以上は思いつかないと思い、早めに思考を放棄して決定してしまう。
しかし、サクはそれ以上に、私から本当に名前が貰えたことが嬉しいらしく、跪きながら「エヘへ」などと言い満面の笑みを浮かべている。
これが、庇護欲ってものなのかしら?
少し、胸の内が暖かくなったような気がした。