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プロローグ

──世界の中で最も権力があり、魔力で栄えていると言われる王国・ザントーピア。


この王国に住む、貧しい平民の少女レーテは森で野苺やキノコを採っていた。

レーテはとても可愛らしく、心優しい子だった。この日も、足を怪我してしまった母親の代わりに食べ物を採集していたのだ。


そこへ、その王国の王子──ルーカルトが通りかかり、レーテの可愛らしさと強い魔力に心惹かれる。


レーテは平民にも関わらず、強大な魔力と美貌を持ち合わせていたのだ。


そこでルーカルトは、十四歳になって貴族が魔法学校へ行くときに迎えにくると、レーテに約束した。


三年後、十四歳。母親が病で亡くなってしまい、悲しんでいたレーテの元へルーカルトが現れる。


ルーカルトはレーテを慰め、「私は共にいる」と言い一緒に魔法学校へ入学した。


そこではレーテを取り合うルーカルトや彼の親友、上級貴族のチャラ男、レーテの親友となる愛らしい少女や彼女の弟。ルーカルトを狙う悪役のお姫様など、逆ハーレム型恋愛物語が待っていたのだった──。


これが、今超話題になっている大人気乙女ゲーム「ラヴリー・スクール」、通称「ラヴスク」のあらすじ。


物語の設定は王道な感じだけど、魔力などの設定は細かくて遊ぶのが飽きないし、ちゃんと胸キュンする、たくさんの女子が妄想や考察を繰り広げられる恋愛ゲーム。


かくいう私も、この「ラヴスク」にどハマりしていた。


「ルーカルト様、カッコいい〜! 本当にレーテのことが好きなんだ。なのにレーテはあんまりっぽい? 今後のストーリーに何か関係あるのかな!? ……って、ぎゃあ! この悪役令嬢め!! 二人の邪魔しないで!!」


思わずゲーム機をブンブンと振り、邪魔な存在に悪態を突いていると、下の階から母親の声が聞こえた。


「ちょっと、まだ起きてるの〜? 早く寝ちゃいなさ〜い」

「は、はーいっ」


私は慌ててゲームをセーブして、ベッドの中に潜り込む。

夜中、遅いこともあって私は一瞬で眠りに落ちた。


「おはよ〜……」

「おはよう……って、あんた。何でそんなに眠そうなの? あっ、そういえば昨日、夜遅くまで起きてたじゃない! 何してたのよ、もう〜!」


朝起きてリビングに入ると、母にさっそく叱られてしまった。

母親がぷりぷりと怒りながら、朝食の味噌汁と焼き鮭、白ご飯を出してくれる。ウチは、朝は和食派だ。


……でも、確かに昨日はゲームを少しやりすぎちゃった。もう目がくっついてしまいそう。


私は「昨日はたまたま、布団と一緒にベッドから落ちちゃったの!」と言い訳しながら、温かい汁を啜った。


「ふぁ〜……。あったまるねえ」

「何ババアみたいなこと言ってんだよ」

「痛っ。ちょっと、お兄!」


いつの間にか起きてきていた兄に頭を小突かれ、彼をキッと睨むが、兄は気にせずに箸を手に取る。


「いただきまーす」

「おいちょっと待てやごら」

「も〜、喧嘩してないで早く食べて! お母さん、今日パートだから早く家出ないといけないのよ!」


母が私達を叱り、テキパキとエプロンを脱ぎ始める。

私はそれを見てから時計を見て、近くにあった沢庵やキュウリの漬物とご飯を口に詰め込んだ。


そのまま髪を梳かさずに、鞄を肩にかける。


「私も遅刻しそうだから、もう行く。お兄、自転車借りるねーっ」

「は?」

「行ってきます!」

「え!? 朝ごはんは? もういいの? 現役女子高生が髪も梳かさないで……」


母が目を見開き、驚いたように、そして不満そうにそう言う。

私は適当に頷き、玄関の取っ手に手をかけた。


そして家の裏側へと回り、自転車の鍵を開ける。

兄からは無理やり許可を取ったようなものだけど、別に良いだろう。これで兄が遅刻しても知らない。


私はサドルをまたぎ、ペダルに足を乗せ全速力で坂を駆け降りた。


「今日、遅刻しちゃったら、放課後残って補習だからなあ……。ラヴスクができなくなっちゃうじゃん」


そんな独り言を呟きながら、漕いで、漕いで漕いで漕いで漕いで──。


気付けばブレーキは効かなくなっていた。全速力で走りすぎたのだ。


坂の向こう側にある信号は赤。多くの車が行き交っている。

しかし、私は止まれるはずもなく、そのまま道路に飛び出した。


スマホを見ながら運転していた、大型トラックの運転手と目が合う。さっきまでたくさんの人達がいたはずなのに、何故か音が何も聞こえない。


全てがスローモーションのようだ。

──そして、私はトラックに轢かれ、即死した。

この度は読んでいただき、ありがとうございます!!


これから主人公は〝悪役令嬢〟として、私は一人の〝小説家〟を目指して頑張っていくので、登場人物共々、温かい目と心で応援して下さると光栄です。


よろしくお願い致します。

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