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妖刀と鬼と......  作者: 上石うらた
一章
8/52

7話 鎌鼬


 見廻り。それは街の中を見廻り現れた下級の鬼を殺す仕事。下級の鬼はどこからともなく現れ、人を喰らい成長していく。


 野放しにしていると力をつけていき厄介この上ない。


 それに人の犠牲が多くなり、鬼全体の力も増す。百花組の仕事の中で二番目に大事なものだ。


「それじゃあ行くぞ」


 厚井の号令のもと見廻りを始める。


 普段は2人で別れて行動するが、初日なので全員で動く。たとえ鬼といっても下級の鬼しか現れないため、妖刀を持っていれば倒せる。


「それ便利だね」


 物部太郎が光源を指して言う。


「ああこれかい。これは鬼火だよ」

「鬼火? 何で鬼ってついてるの?」

「鬼に殺された人間の憎悪の火っていう話だからさ。これがあるから安全に見廻りができるし、鬼を発見できる。ほらみろ」


 そう言い厚井が指を刺す。


 その先には黒い靄が蠢く。それは意思を持ったかのように動き何かを、呪うかのようなおぞましい音を立てる。

そしてその黒い靄は数匹の人型の化け物へと姿を変えた。


 すぐさま甘露寺が刀を握り、いつでも殺せるように構える。


「あれが下級の鬼だ。下級は形もままならない。そこまで固くならなくても大丈夫だよ」


 そうは言うが形もままならないからこそ恐ろしく見える。黒く蠢く人型は、人の目には恐ろしく映る。


 たとえ訓練を積んだ隊士であろうとも。


「こ......これが......鬼!!」


 津雲がポツリと漏らす。


 津雲はまじまじと鬼を見たことがない。訓練を積もうと初めてみる鬼に体が震え言うことを聞かない。


「まぁ。初めはそうなるさ。見てなさい」


 厚井がそういうと甘露寺が動き出す。


「行きます」



 甘露寺がそういうと刀を抜き放つ。普通だったらこんな距離で構えても届くはずがない。


「鎌鼬」


 甘露寺の妖刀があるからこそできる抜刀術。たとえ離れている敵であろうと斬りつける事が出来る風の刃。


 それが下級の鬼に襲いかかる。


 その刃はスパッと言う音と共に下級の鬼の首を落とす。そして下級の鬼は、跡形もなく崩れ落ちて黒い霧となり天へと昇る。


「これが妖刀での鬼退治だ」



(すげーーーー!!)


 声にこそ出さなかったが、太郎も津雲もそう思っていた。


 今まで早寝早起きの生活だったため、夜更かしに慣れない太郎は眠かったのだが、今ので目を覚ます。


「甘露寺凄いな!!」

「ええ。ありがとうございます」




 それから数時間のうち歩き回り鬼を探したが、一度も巡り会うこともなく見廻りは終えた。




「よしおしまいだ。こんな手順で見廻りは行う。何となくわかっただろうが、鬼は大して出ないから安心しろ。次は俺と篤人、広と太郎で見廻りをする。わかったね?」

「はい!」


 3人が返事をする。


 鬼を殺すところを見てやる気を削がれてもおかしくないはずだが、覇気のこもったいい返事だった。


 びびっていた津雲篤人も今では恐れていない。


 むしろ先輩甘露寺の妖刀を見て興奮していた。


(すげぇ!! 俺もこんな感じで鬼を倒してぇ)


 そう津雲は考える。



 妖怪と契約ができないことを忘れて。


読んでいただきありがとうございます。

次も読んでくれると嬉しいです。


ちょっと甘露寺の口調が前おかしかったなぁって......


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