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妖刀と鬼と......  作者: 上石うらた
一章
7/52

6話 見廻り前

「なんでこいつがいるんですかー!?」


 元気な声が詰所中に響く。流石にオトギリ隊の面々である元達の前では敬語のようだ。


「こいつが最後の1人津雲だ」


 そう紹介された人物は太郎が牢屋から出て初めて出会った人物だった。あまりいい出会いではないが、太郎は今のところいい出会いをした人間なんていない。


 その出会いの中ではマシな部類に入るだろう。


「よろしくな!」


 太郎の挨拶に対して何やら津雲はぶつぶつ言っているが、太郎の耳には届いていない。 


 そんな聞こえていない太郎にブツブツと津雲が愚痴をいいつづける。


 なんでこんな奴がいるんだよとか、そもそも誰だよ。などそういった言葉が頭の中でぐるぐると回る。


 そして一つの言葉が浮かび上がる。


「てかこいつ牢屋にいた奴じゃないですか。なんでここにいるんですか?」


 まぁ至極まともな疑問だ。そんな質問に答えるのは当然のことである。腕を組んでいる元が一呼吸置いて答える。


「この太郎は百花組に入った。そしてなんやかんやで見廻りに大抜擢されたってわけだ」


 一呼吸置き圧をかけていた割には、大した説明ではない。しかし、喋る前の尊大な雰囲気などから突っ込める様子ではない。


 それは有無を言わさぬ決定。そもそも理由を聞いても津雲にはどうすることもできない。


 しかし津雲には聞き逃せない言葉があった。それはこの太郎が見廻りに選ばれたという部分だ。


 確かに太郎がここにいる理由を聞いてもどうしようもない。だが全く関係ない人にそんなことを話すはずがない。



ーーつまり




「ていうことは......!!」



「そうだ。津雲お前も見廻りに選ばれたんだ」


 元が温かい声で言う。先程までの雰囲気との落差がすごいが、この落差のおかげで喜びをより感じる。そして太郎のいる理由からも目が逸れる。


「見廻りのメンバーは厚井、甘露寺、物部、津雲だ。実際に隊を組んだ時の練習も兼ねている。しっかりと取り組むように」


「はい!!」

 4人の返事が詰所中に轟く。先程の津雲の声よりもより遠くへと


「それじゃあ俺は行くから挨拶でも済ましとけ」


 そう言い残し元は部屋へと帰って行った。元はこれでも忙しい。


 残された4人は早速挨拶を始める。最初に切り出したのは隊長の厚井だ。


「見廻りの隊長になった厚井清孝だ。隊長になったからには守ってやる。危なくなったら言ってくれ」


 厚井の挨拶が終わるのを確認すると甘露寺が声を発する。


「俺は甘露寺広です。最近見廻りは終えたばかりですが、よろしくお願いします」


 甘露寺が挨拶を終える。次は流れ的には太郎の番である。太郎はあたりを少し見回し確認する。


「よし俺か!物部太郎だ。よろしく」


 太郎はこれもまた元気に挨拶をする。先輩となる2人に全くもの怖気ない。そして残るは津雲だけになった。


「えー。津雲篤人です。よろしくお願いします」


 太郎とは違いしっかりと緊張を感じる挨拶をする。


「よし。挨拶は終わりだ。事前に調査はしているけど、一応確認するぞ? この中で妖刀契約をしているのは、俺と広だけだよな?」


 あたりを見回し厚井は確認をする。


 その言葉を聞き太郎はまっすぐと立っているだけで特に反応を示さないが、津雲はしっかりと俯く。


 同期で百花組の隊員になろうとしている人間はすでに妖刀契約を終えている。しかし、津雲はまだ終えていない。許可が降りていないわけではなく、契約ができないのである。


「よし。特例が重なるが、まぁ大丈夫か」

「そうですね。厚井さんがいれば問題ないですよ」


 厚井はすでに隊に入り、鬼を何人も倒している。今更下級鬼ぐらいしか出ない見廻りなんて余裕だ。


 そうでもなければ、妖刀の使えないものを2人も連れて行けない。


「じゃあ詰所前に夜集まってくれ」


 結構急ではあるが、見廻りは試験や授業の代わりにもなっているだけで、誰かがやらねばならない。


 そのため試験をやる人がその日にいなければ、いつでも行うことができる。



「了解です」


 そう厚井の言葉に皆で返事をするとそれぞれ戻っていく。



読んでいただきありがとうございます。

次も読んでくれると嬉しいです。


キャラがまだ定まっていないので、書き換えるかもです。

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