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妖刀と鬼と......  作者: 上石うらた
二章
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46話

先週の土曜のpv100記念で、2話投稿します。

 化け狸。五十嵐碧の妖刀である。百花組カエデ隊隊長の妖刀でありながら攻撃性能は低く、隊長をやるには、やや力不足である。それなのにも関わらず隊長をやれているのはひとえに本人の実力によるものである。


「まいったなぁ」


 太郎が思わず声を上げる。というのも、太郎がいくら攻撃を避けようと、攻撃へと転じる隙が一切存在しないためである。


 五十嵐碧という当の本人がいないながらも戦闘が成立している理由は、使用者と全く同じ姿、実力に変化することが可能な化け狸と契約した妖刀であるからである。それも、一体だけではなく、複数体の分身体が現れる。


 つまり、太郎は複数人の隊長と戦闘しているのと同じである。


 太郎は複数人との戦闘は慣れている。下級の鬼との戦闘はもちろん、天狗の元での修練などその機会は多い。しかし、そんな太郎であろうと勝ちきれないでいた。


 何といっても、五十嵐碧同士の連携が優れていたのである。ただ分身を作り、戦わせるだけならば、剣術が優れているものや、それこそ太郎のように肉体が優れているものの方が向いているだろう。しかし、五十嵐碧は集団戦術に長けている。そして、それにより誰よりも化け狸の力を発揮することができていた。


 太郎に一息をつかさず、あらゆる部位を連携して狙う。腕を少し伸ばしたものならば、腕を撃ち。後ろに下がろうとすれば、後ろから圧をかける。常に死角を狙うことで集中力を削る。太郎とてこれほどの連携能力を有する者との戦闘は初めてである。


「不気味だぞ。こいつら」


 何を考えているのかわからず、ただひたすらに嫌がることをやる。本人の性格をも反映しているのかは不明であるが、とても恐ろしい技術であるのは間違いない。


 このままでは埒が開かないため、太郎は一か八かで試す。


「龍化」


 鬼神が以前言っていた言葉をつぶやく。すると、五十嵐の刀を太郎の硬い鱗が弾いた。


 その隙に、化け狸の腹を蹴りそのままの勢いで逃走する。


「上手くいったぞ!」


 逃げるという試みであったため、上手くいったが、戦闘を続行した場合は、龍化を駆使したとしても、手が割れているため、勝ち切るのは難しかったであろう。


 しかし、逃げ切ったのは良いものの、五十嵐に追いつくのは厳しい。これだけの時間をかけてしまったからには、戦闘が始まっていてもおかしくない。


 その予想通りに、そんな音を耳を澄ました太郎の耳が上手く捉えた。



「行くか」


 太郎は龍化を解除し全力で走る。今は、カエデ隊に鬼を任せ、太郎は力を温存する。これも成長である。



 ▶︎▶︎▶︎


 妖刀に化け狸が帰ってきた感覚を覚える。質量が増したわけでも、実際に温度が上がったわけでもないため形容し難い物であるが、それらに近い感覚である。


「ふーん。意外とやるのね」


 五十嵐碧は妖刀との絆が高く、珍しい顕現型の妖刀であるため、何となくの意思の疎通が行える。それにより、逃げられたことを察したのである。


「五十嵐隊長?どうかなさいました?」

「何でもないわ。それよりもこの村の調査が先よ」


 妖怪の存在などにより、ほとんど鬼が出ないはずの村が壊滅的な被害を受けていた。


 木の燃える匂いと血の匂いが鼻を刺す。地獄を幻視する光景に目と鼻を塞ぎたくなるが、外を歩いてきたカエデ隊にとっては珍しい光景ではない。


 他の隊に比べて人数の多いカエデ隊は分担し、現場検証や生き残りを探しだしたり、鎮火を行ったりする。何度も地獄を見てきた物たちの手際は素晴らしく、慣れた物であった。


「五十嵐隊長! この村の生き残りの子供がいました!」

「今行くわ」


 村に残った希望の元へも歩みを進める。その足取りは早く、一刻も早く地獄を生み出した鬼を打ち取らんとしていた。


「こんなことに慣れたくなかったわ」


 地獄の光景とその対処に慣れてしまった五十嵐が呟いた。


人物紹介なども含めて50話目らしいです。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

続きも読んでくれると嬉しいです。

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