43話
鬼神の手によって意識を手放した物部太郎は、暴走状態となっていた。尻尾まだ生やし、火を吐いている。この形態は言わば第四形態であろう。
「またか」
鬼神は前回も龍化した太郎とは戦っている。その時は奇を衒った一撃により、鬼神を喜ばせることができたが、今度はそうはいかない。
何故なら、確実に鬼神が太郎の一撃を封殺していくためである。殴りも蹴りも何もかもを一つずつ確実に沈める。
「ギィァァァァ」
「尻尾まで生やしおって......ちょうど良い。ここで躾けてやるか」
太郎の一撃一撃を潰し、そして満を辞して太郎を落としにかかる。鬼神が軽く絞めると暴走した太郎の意識が再び途切れる。
「起きろ」
鬼神は脳へ血の巡りを促すために、鳩尾を押し込む。
「ぱぁっ!!」
「起きたか。龍化をしろ」
目覚めたばかりの太郎には伝わっていない様子であるが、鬼神は有無を言わせない。
「わからぬか? ならばまた眠れ」
「な......!!」
太郎が言葉を喋る前に、太郎を暴走状態へ促す。現状、太郎の龍化は感情の起伏が激しくなった時と、自らの防衛のためにしか発動できていない。
これを自らで扱えるまで鬼神は、太郎を何度でも暴走状態にし、落とし続ける。
「起きたか。では龍化をしろ」
「だから......う!?」
6度目の目覚めである。何度も何度も倒されたことで、3回目にはすでに太郎は、自らが危険な状態にあると理解していた。そして遂に、太郎の体と心の底までも理解したのである。これは危険な状態であると。
「お?なんだこれ? 」
「やっとか。及第点にも満たないが、これ以上待たせるのも忍びない。我に一撃を打ってみろ」
太郎の体に現れたのは鱗のみである。だが、龍化であることは間違いない。太郎が鬼神に攻撃をしようと腕に力を入れると、腕へと鱗が移動する。
「よし!! いくぞ!!」
走り出すとともに鱗は足に移動し、攻撃しようとすると手に移動する。確実に龍化をものにしていた。
「甘い」
太郎の一撃は確かに威力が増していた。桁違いである。だが、鬼神は今までの一連の流れと同様に、太郎を暴走状態へ落とし、眠らせるのであった。
「守りを疎かににしあって」
鱗の移動を攻撃に回していた。それにより、防御に回すことができなかったのである。これは太郎の能力不足である。
そして、鬼神は、ぬらりひょんを山の中から見つけ出すと声をかける。
「そいつを持っていくことを許す」
「ありがとうございます」
なんとか龍化を身につけた太郎は、鬼神からすれば及第点であったのだろう。迎えに来て様子を見ていたぬらりひょんに太郎を拾わせると、瞬く間に消えたのであった。
「よもやここまでとはのぅ。無事でよかった」
鬼神の元へ向かった時は、余程のことがなければ無事で済むだろうと考えていた。しかし、想像以上に食い下がったのであろう。
ぬらりひょんは安心からか一息つくと、少し身に余る太郎を背に背負い、引きずりながら帰っていった。
後書き無い方が良さそうな雰囲気あるので、あまり書かない方向で行きます。




