第3話
「どうされましたか?『ユイ』様。」
そこには、不満げな顔をした『ユーミン・インプラム』が立っていた
「ちょっと来てくれないかしら?」
「はい。」
「あの、ここは?」
(こんな部屋、ゲームに出てきてたっけ?)
「この部屋は、私がよく使う部屋よ」
そう説明すると、こう続けた
「それじゃあ、本題に入らせてもらうわ」
「………………ゴクッ」
緊張した空気が流れ、少しの沈黙のあとユイが口を開く
「単刀直入に聞きますけど、あなた生徒会長のこと狙っているでしょう?」
「……………………………は??」
私はユイの発言に、驚きが隠せなかった
(え?まだ私、生徒会長と関わってないよね?なのに、なんでそんな勘違いを………?)
「何でユイ様は、私が生徒会長を狙っていると思ったんですか?」
「それは………」
「それは?」
「普通だったら、自分が聖女であることを知っているはずですのに、あなたは学院に入る前に申告しなかったではありませんか。あの場で聖女であることを皆に知らしめたかったのではありませんか?そして、生徒会長の目を引こうとしたのではありません?」
「私は、自分が本当に聖女なのか、確信がなかったんです。だから学院報告することができなかった。それだけです。」
(もちろん、これは嘘。今適当に考えた言い訳だ。)
「で、でも!私のところには、あなたが聖女だという情報が入ってきたのですよ!?それで、私は聖女が気になってよく話しかけようとしていたのに、メイドに止められて……………………………」
(あぁ、なるほど。あのおばさんが言ってた『ユイ様にまたなにかされたのですか!?』という発言は、ユイが私に話しかけようとしていたのを、いじめようとしていると勘違いしたわけか。)
「そうだったんですか。私が聖女であるという情報が、どこで流れたのか知りませんが、わざとではないんです。申し訳ございませんでした。」
ユイは、急な謝罪に驚きながら口を開くと
「その謝罪から、何もなかったことがよくわかりましたわ。ただの勘違いだったわけですわね。」
(まぁ、これで一件落着。今日は家に帰ってゆっくり寝るか)
「あの、一つ聞いてもいいかしら?」
「はい?何でしょう。」
その可愛らしい口から発せられた言葉は、私がよく目にしていた言葉だった
「あの、BLって言葉知っているかしら?」
私は、その言葉が発せられた瞬間驚いて口が、空いたままになってしまった
「……………………………」
「えっと……そのBLのことが好きなんですか??」
「えぇ!そうなんですわ!だから、知らないのであれば知ってほしくて!ほら、だって私達もう『友達』でしょう?」
(いつから友達になったんだ?でも、まぁいい!だって、こっちの世界でも腐女子友達ができたんだから!)
「実は、私も好きなんですよ。BL。」
そう言うと、ユイはとても嬉しそうな顔になって、
「それは、本当!?本当なの!?」
「えぇ、本当ですよ。私も、ちょうどこういう話ができる友達を探していたんですよ。」
「そうだ!もう友達なのだから、私達名前で呼び合いません?」
「いいですよ。」
そう言うと、またユイはとても嬉しそうな顔になった
「じゃ、じゃあ、私は、あなたのこと「リーナ」と、読んでもいいかしら?」
「いいですよ。それと、その口調。さっきからところどころ違和感を感じるんですけど、なれてないですよね?」
そう言うと、ユイは「バレましたか…」と言ってこう続けた
「そうなんですよ。実は、あのような口調にしろと親に言われてきたんですが、あの口調は人を見下しているみたいであまり使っていなかったんです。」
そう言うと恥ずかしそうに下を向いた
(ユイって、ゲームの中ではメチャクチャ嫌な奴。みたいな感じのキャラだったけど、実際に話してみるととても可愛く礼儀正しいご令嬢って感じだ)
「じゃあ、リーナは私のこと「ユイ」って読んでください。あと、タメ口でいいですよ。」
「わかった。じゃあ、ユイもタメ口で喋ってね。」
そう言うと、ユイはニコニコしながら元気に「はい!」と、返事をしてれた。