第2話
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
(遅刻は免れたが、1番最後についたせいで少し目立ってしまった。あまり目立たないようにしたいのに…………)
「新入生の諸君。俺は、この学院の生徒会委員長をやっているキール・フローストだ。」
(出たッ!私の最推し!!)
キール・フローストとは、攻略対象の1人で、悪役令嬢であるユイの婚約者である。
(キールはかっこいいから男女問わずモテるんだよな〜!男女問わず!)
ニヤニヤした顔でキールの顔を見ていたからか、キールと目があったような気がした
(気のせいかな?)
「今から新入生の鑑定を行う。職業とレベルを確認したら、自分の職業のクラスに移動するように。」
(ヤベッこのイベントのこと忘れてたッ)
このイベントでは、魔法石で鑑定を行い自分の職業とレベルを確認する。そこで、主役のザリーナは職業が『聖女』という、よく有りげな設定だ。レベルも何故か周りよりも少し高く、普通の人ならレベル1とかなのに、主役のザリーナだけレベルが20だった。
(このイベントだけは絶対に避けられないから、しょうがないか…………)
「次!ザリーナ・テンプレム」
(うわぁ、とうとう私の番が来てしまった……)
鑑定………………
名前:ザリーナ・テンプレム
職業:聖女
レベル:20
攻撃力:30
防御力:60
回復魔力:150
魔力:350
(うッッッッわ、主役だからって盛りすぎじゃね??しかも、攻撃力30に対して魔力350ってなんだよ!違いすぎるだろ!あれか?攻撃力が低いのは、か弱い感じを出したいからか?それにしても盛りすぎだろ!)
「聖女だ!聖女が、現れたぞぉぉ!!!」
「バッッヵ………」
タッタッタッタッ
沢山の人がザリーナに近づいてくる
「君が、新しい聖女か?」
そう言いながら、私の手をとった男。この男こそが、2人目の攻略対象、『カートル・アース』カートルは人気キャラで、カートルルートは他のルートよりも難しくなっていて、カートルルートに入った人はよく『カートルート』と、略して読んでいた。
「そ、そうですけど」
「そうか、ならいいんだ。」
そういうと、カートルはどこかに行ってしまった。
(何だったんだろう?)
疑問に思っていたら、予鈴が鳴った
「ヤバいッ急いで教室に行かないと!」
聖女は、魔力が多いので魔法使いのクラスでの授業となる
「今日は、この的に『ファイアーボール』を当てる練習をします。当てられなくても全然平気なので、気楽にやってください。」
(ファイアーボールって、どうやってやるんだろ?)
「ファイアーボール」ボソ
ドンッ
一瞬何がおきたのか、分からなかった
「火の海だ………………」
(あたり一面が火の海になってる!もしかして、私がやっちゃった?)
「ウォ、ウォーターボール!」
ザバァ
バケツの水をひっくり返したような水が、一気に降ってきた。
火は消えたものの、地面が水浸しになり、ところどころ焦げていて、少し焦げ臭い。
「これが、聖女の力………………」
(私は聖女の力を甘く見すぎていたのかもしれない。この力は絶対に悪用してはいけない!)
〜放課後〜
(そういえば、ゲームだと入学式の時に攻略対象全員と合うはずなのに、2人しか合わなかったんだろう?悪役令嬢にも、まだあえてないし………)
ザッ
「あなた、少しお話をしましょう?」
そこには、きれいな金髪に、紫色のきれいな目。髪は巻いていて、いかにもお嬢様って感じだ
「どうされましたか?『ユイ』様。」