55話 アトランティルートの崩壊
注意事項
今回も少々不謹慎かもしれません。それでもよろしければよろしくお願いします
side 水の国、アトランティルート王国、王国暦記録官
私の名前は…と、私は職業柄、名乗る事を禁止されているのでした
失敬、失敬
私はアトランティルートの王国暦の記録官をしています
同僚達と共にその日にあった事をまとめ、それを上司がまとめ、王国暦に記すと言う仕事をしています
あんまし楽しくは無いです
時には嘘や間違った事を真実として記録しなければならない事もあります
そう言うのは嫌いです
しかしお金が良いので頑張ります、仕方がないと言うやつですね
こっそりと本当の事だけを書いた記録書も書いています
バレたら殺されますけど
私の書いた記録書が本物の歴史として残る事を夢見て
私は今日も今日とて筆を走らせます
ーーー
◯月×日
えーっと、港で物凄い量の物が入る空間魔法系統のスキル持ちが2人、現れる。金に糸目を付けずに買い物をしていたそうですね。羨ましい
他国の間者か兵士が兵糧を買っていた可能性があると、留意されたしとの事です
兵糧ってなんでしたっけ?ああ、兵士のご飯か
でも買っていた物の多くは王都の特産品の様です。食べ物だけじゃ無くて工芸品も買っていますし武器等は買っていないと
そこまで気にする事では無いですね
どうせ金持ちの道楽でしょう
適当にまとめて報告書を上司に提出します
ーーー
その3日後
なんか此処の所、取れる魔物の量が増えているそうです。沖で何かあったのでしょうか?
まぁ漁師も王都の人もみんな喜んでいます
王都はお祭り騒ぎです
屋台が立ち並び、人々が沢山行き交っています
私もお祭りに行きたいので今日は適当にまとめてさっさと帰ります
お祭りだー!!!
ーーー
その2日後
王都が物凄い数の魔物に襲撃を受けています
どうしたのでしょうか?
見た事の無い数です
兵士や冒険者、漁師さん達が頑張って戦ってくれています
頑張って下さい
妙に怪我人が多い気がしますが、こんな物ですかね?
今日は真面目に書きましたよ、頑張りました
ーーー
そのまた5日後
今日も今日とて魔物が王都を襲っています
今日は上司と共に貴族様のお供です
なんでも光神教や水神教で治療中の兵士が沢山死んでいるそうです。その直談判に行きます
面倒ですが、今日は見学なので頑張ります
「どう言う事だ!何故こうも兵士が死ぬ!!3人に1人は死んでいるではないか!!光神教は我が祖国を馬鹿にしておるのか!!!」と貴族様
「その様な事はございません。我々とて必死にやっております」と光神教の司祭様、初めて見ました
以下、会話記録
「では何故こうまで死ぬのだ?」
「それが我々にも分からず」
「分からないだと?」
「ええ、不思議な事に突然血を吐いたり、体調不良を訴えたりと原因が不明で」
「魔物と戦って負傷したのだろう?毒では無いのか?」
「それはありません。王都を襲撃している多くの魔物は毒持ちではありません。なので別の原因としか」
「そうか…それにしても何故こんなに平民がいるのだ?」
「はい、それが平民の中にもかなり多くがそう言った症状を訴えておりまして」
「戦って無いのだろ?」
「はい、避難していたそうです」
「………ふむ、流行り病だろうか」
「分かりません。ですが我々も全力で努めさせて頂きますのでこれからも宜しくお願いします」
「ふむ」
握手を交わす2人
…私の兄も体調を崩して光神教にいます。大丈夫でしょうか?
私達はこのまま水神教に行きます
水神教の司祭も同じ様な事を言っていました
ーーー
5日後
王や貴族の多くが別の町へ避難しました
ーーー
3日後
兄が死にました。母も体調を崩しました
私も近頃、体調が変です
怖いです
ーーー
5日後
恐ろしい事が起きました
光神教が我がアトランティルートから撤退すると報告したそうです
王都では大規模な暴動が起きました
魔物はまだまだ来ています
人がいっぱい死にました
これから王都はどうなるのでしょうか
ーーー
3日後
上司の命令で王都から避難する事になりました
母を連れて別の町へ行きます
国のあちこちで移動した者達と町の者達との抗争や貴族へ対しての暴動や内乱が起こっているそうです
怖いです
私は知り合いがいるのでなんとかなりますが、アトランティルートはどうなるのでしょうか
ーーー
2日後
母の体調不良が毒である事が判明しました
知り合いが解毒のポーションを飲ませたら症状が落ち着きました
この事を直ぐに上司に伝えに行きます
ーーー
20日後
病人のほとんどが毒によるものだったそうです
多くが解毒のポーションで治りました
しかし、その為に解毒のポーションの取り合いが起こっているそうです。死者まで出ているそうです
しかし残念な事に王都の水を調べると多量の金属が発見されたそうです
私にはよくわからないのですが、人が住めなくなるとかどうとか
この国に一体何が起こっているのでしょうか
ーーー
10日後
王都からの避難民が物凄い人数になりました
毎日、数千人がやってきます
人殺しや泥棒がどんどん増えているそうです
上司も…強盗に殺されました
避難民に対しての町の人の当たりが強くなっています
町の人にしか商品を売らないと言う店も増えてきました
この町も大丈夫でしょうか
ーーー
5日後
母を連れて別の町へ逃げます
私がいた町で大規模な暴動が起きました
知り合いが2日帰って来ませんでした
もしかしたら知り合いは死んでしまったかもしれません
持ち出せる物を持てるだけ持って逃げます
ごめんなさい
ーーー
2日後
強盗に会いました
母が殺されました
荷物を取られました
………酷い事をされました
ごめんなさい、許してください
助けてください
ーーー
1ヶ月後
今日、初めて人を殺しました
酷い事をされそうになったので仕方ないのです
仕方ないのです
仕方なかったんです
………仕方なかったんです
ーーー
2ヶ月後
最近、人を殺す事に何も感じなくなってきました
王都がどうなったかは分かりません
今はどの町でも暴動が起き内乱状態です
殺さなければ死にます
死ぬくらいなら私は殺します
誰であろうとも
ーーー
3日後
王が他国へ逃げようとしたそうです
そんな事、絶対に許しません
大勢が王を追います
兵士や騎士が沢山いる場所がありました
みんなでそこへ襲いかかります
どんどん死んで行きますが知りません
どうでもいいので
ーーー
6日後
王が討ち取られました
我々の勝利です
兵士が物凄い数の解毒のポーションを持っていました
皆殺しです
兵士は片っ端から殺しましょう
兵士は敵です
ーーー
3日後
水神教や光神教跡地を襲撃します
お金が沢山ありました
やっぱり持っていましたね
ちょっと!それは私のお金です!!
触らないで!!!
殺しますよ!!!
ーーー
10日後
いつのまにか自警団の幹部になっていました
自警団と言うには聞こえが良いですが、やっている事はテロリストです
今日は貴族の屋敷を襲撃しました。女も子供も皆殺しです
売れる物は全部持っていきます
我々の痕跡が残らない様に火を放ちます
お金がいっぱい手に入りました
ーーー
2日後
別のテロリスト組織が襲って来ました
皆殺しです
仲間が沢山死にましたが気にしません
どうでも良いので
そのテロリスト達が今いる町の自警団であった事が分かりました
報復です
町に火を放って逃げます
全員死ねばいいのです
ーーー
5日後
自分のいたテロリスト組織に追われています
金を持って逃げた事がバレた様です
これは私のお金です
誰にも渡しません
別のテロリスト組織の縄張りを通って逃げます
抗争を引き起こすのが目的です
上手く行きました
町1つ巻き込んだ大規模な抗争になりましたが逃げる事に成功しました
大成功です
ーーー
3日後
ミスをしました
まさか子供に刺されるとは思いませんでした
子供だけのテロリスト組織があるとは
荷物も金も全部奪われました
痛いです
苦しいです
死んでしまいたいです
ーーー
10日後
危なく死ぬ所でした
人って意外にも頑丈なんですね
今日は子供達に報復しました
金は使われてしまった様ですが仕方ないです
その分、報復に力を入れます
殺して殺して殺しまくります
私を刺した子供の妹を生きたまま燃やしました
まだ赤子でしたが苦しむ様を見せてやりたかったです
結構楽しかったです
ーーー
3日後
最近金ではなく土の塊をよく見かけます、どう言う事なのでしょうか?
そう言えばだいぶ前にお金が土に変わったなどと言う変な話を聞きました
あれが暴動に拍車をかけたとかなんとか
あの時はまだ私は普通に生活していて…母も生きて…
やめましょう
思い出したくないです
その辺にいた人をなんとなく殺してその日は逃げました
ーーー
10日後
前にいた町、知り合いのいた町に戻って来ました
なんでか戻って来ました
知り合いの家に行くとなんと生きていました
え?ずっと生きていたのでしょうか
知り合いは楽しそうに笑っていました
…あの人がちゃんと帰って来ていれば…私は…母は…
夜遅くに知り合いの家に押し入って知り合いを滅多刺しにしました
死んでもやめません
どのくらい刺し続けていたのかは分かりません
知り合いの家を漁って持ち出せる物を持てるだけ持って逃げます
ーーー
3日後
王都に戻って来ました
私の町です
魔物が沢山いましたが、気にしません
どうやら私には短剣の天賦の才能があった様です
調べた事がなかったので知りませんでした
そう言えば普通、あんな一方的に殺せませんよね
短剣を振り回す様になってからは負けた事は無いです
住んでいた家に戻って来ました
半壊していますが住めない事も無いです
今日から此処がまた我が家です
朽ちたベットに横になります
久々によく眠れました
ーーー
翌日
王都を散策します
人はどうやら残っていない様ですね
食べ物は魔物を殺せばいいだけです
職場に戻って来ました
ぐちゃぐちゃです
資料も記録もバラバラです
その日は整理整頓をしていました
1日誰も殺さないなんて久しぶりです
ーーー
5日後
息が切れる様になって来ました
これが王都の毒でしょうね
目眩もします
咳も止まりません
油断して足を失いました
私もそろそろでしょうか
ーーー
2日後
ベットから起き上がれなくなって来ました
吐き気が止まりません
目眩も止まりません
頭痛もします
私は眠りにつきます
このまま死んでも良い様に
ーーー
翌日
身体が痛すぎて眠れなくなりました
身体を引きずって母が着ていた服と兄の物を抱きしめます
家族の匂いがして落ち着きます
こう言うのが残っているなんて思いもしませんでした
会いたいな
話したいな
母のお小言を聞いて、兄と喧嘩して
兄は謝る時、高いご飯に連れて行ってくれるんです
あれがいつも嬉しくて楽しくて
わざと喧嘩する時もありましたね
怒っているかな?
謝ったら許してくれるかな?
許して欲しいな
………目が霞んで来ました
前がよく見えません
昔は私がこうして座っていると母がよく撫でてくれました
兄が毎回、文句を言いながらも私を抱っこしてベットに運んでくれるんです
…会いたいな
寂しいな
…会いたいよ
1人は寂しいよ
1人は怖いよ
死にたく無い
死にたく無いよ
身体がゆっくりと倒れます
不思議と痛みがなくなっていました
思考も上手くまとまらなくなって来ました
ボーっとしながら虚空を見つめます
恐怖も無くなって来ました
ああ、家族に会いたいな
会ったらまた喧嘩して仲直りして
今度は私がご飯を奢ってあげよう
母のお小言をもっとちゃんと…いや、まあ、うん
お母さんにも、もっと優しくしてあげて
職場にも連れてってあげよう
部外者は立ち入り禁止だけど上司は押しに弱いんです
なんとでも言い包められます
私の仕事っぷりを見せて
いっぱい褒めてもらいましょう
そうしてみんなでご飯を食べて帰って
もちろん兄の奢りです
そうです
そうしましょう
…それがいい………です
………楽…しみ………です
ーーー
2話で1つの国が終わっただと!?今までのは一体…




