54話 水の国、アトランティルート
お待たせしました
注意事項
この話を載せるかは正直に言って悩みました。しかし展開や考えていた設定上ではこの展開しか無い為、載せる事にします
不謹慎かもしれません。それでもよろしければ宜しくお願いします
今、俺達が居るのは水の国、アトランティルートの王都
アトランティルートは国土の8割が海に面しており、王都も例に漏れず海に面している
と言うか海と街がくっついてる
あれだ水上都市ってやつだ
水路とかがあって、街の中を船で移動してと
地球にもこんな街無かったっけ?イタリア…だったかな?
そんな街
そんな街で金持ちのおぼっちゃま風の俺と普段通りのメイドの格好をしたミレイさん
この格好なら敬語とか使っても大丈夫だろう
ちなみにこの服はアランベルト王国のお城にあった物だ、割と気に入ってる
アトランティルートの王都に付いたのでいざダンジョンマスターとして仕事を始めようとした所、ミレイさんから待ったがかかった
と言うのもこの街、漁業が盛ん
採れたて新鮮な魔物が沢山売られていた
つまり食べ物………よって
「嬢ちゃん!!こいつはどうだい?虹色烏賊の姿焼きさ!」
「全部買います」
「千年貝の一夜干しを持ってきたよ〜」
「全部買います」
「海流魚はどうだ?珍品だよ?」
「食べ物で美味しければなんでも良いです、全部買いますのでじゃんじゃん持ってきて下さい」
「「「「おおー!!!」」」」
大歓声が巻き起こる
何してるんだろう、あれ
ミレイさんは港で大勢の商人に囲まれていた
ちなみに商人達は俺の方にも来ている
ミレイさんが頑なに食い物しか買わないから俺の方には
「龍王貝の加工品よ、お兄さんどう?」
と大きな貝を持った叔母さん
「ああ、はい。貰います」
竜王貝は銀貨8枚だって
「青真珠で出来たネックレスさ!高いがあのベッピンなねーちゃんにどうだい?」
と海の色をした真珠を持ったおっさん
「ええ、もちろん」
青真珠は金貨6枚
「お兄ちゃん、これ買ってください。綺麗な貝殻を集めました」
物売りの子供までやって来る始末
「ええ、もちろん」
まぁ買うけど
全部で銀貨1枚だって
俺は手当たり次第に買い、手当たり次第に払って行く
金には困ってないので勘定も適当に払った
面倒な場合はお釣りも受け取らない
商人達はとても喜んでいる
それを見て俺も喜ぶ
と言うのもミレイさんが払っている金も俺が払っている金も
全部、偽物だ
偽金って奴
ミレイさんが魔法を解けばただの土塊に戻るそうだ
放っておいても1ヶ月もすれば自動的に土塊に戻る
だから幾ら払っても俺達は痛くも痒くも無い
なるべく国中に広がって混乱します様にと、願いを込め商品を買って行く
と言うかどんだけ来るんだ!!!
買っても買っても商人達がやってくる
すげーなおい
数時間程そんな事をしていると
「マス…旦那様、そろそろ」
ミレイさんが戻ってきた
いや、止まってたのミレイさんだからね?
「もう良いの?」
「ええ、今日上がった分は粗方買い占めましたから」
なるほど
すると周りの商人達から「ええーっ」と言う声が湧き上がった
どうしようが俺達の勝手だろうに
商品は買った側から俺もミレイさんもボックスに入れている
俺達は商人を無視して歩き始めた
…なんか商人達がぞろぞろついて来るんだけど
鬱陶しかったので金貨をばら撒いて逃げた
さすが商人、金への飛び付きが凄い
金を取り合って殴り合いを始めた
「乗ってくかい?」
水路から声をかけられる
「船?」
手漕ぎ船よりも一回りくらい大きな船
その運転手に声をかけられた
「おうよ、この街だったら何処でも乗せてやるぜ」
ほー、商人達も面倒だし乗るか
さっさと金を払って出してもらう
もちろん偽金
「何処に行くんだい?」
「とりあえず、此処から離れた場所へ」
船はスーッと水面を滑る様に流れて行く
俺の横に並んで座るミレイさん
早速、買った物をボックスから取り出して食べ始めた
魚の串焼きを両手に持って齧り付いている
「目的が無いなら王都の観光でもするかい?安くしとくぜ」
運転手が声をかけてくる
「そうですね…人の居ない場所って有りますか?」
「人の居ない場所?船でか?」
そう、船で
「あるにはあるが、何も無いぞ?」
「そこでお願いします」
運転手は不思議そうな顔をするが金を払ったらすぐに、にこやかに運転してくれた
長い長い梶棒が川底を押し返す
しばらくすると海がよく見える眺めの良い場所に出た
沖の遥か遠くで水飛沫が上がる
なんだ?
「にいちゃん達、運が良いな。ありゃ俺達、アトランティルートの民が崇める水の神様さ」
ああ、例の氏神か
「今日のは比較的小さい神様だったな」
比較的小さい神様?どゆこと?
「水の神様はいっぱいいるんだよ。海の遥か遠くで水飛沫が上がればそれが神様さ」
なるほど
神様の見た目は特に決まって無いのか
巨大な水飛沫が神様みたいな感じか?
「海にはとんでも無く大きな種類の魔物が数多く生息しています。アトランティルートは海に広く面している為、古来より海の魔物に大きな被害を受けていました」
ほうほう
「沖で水飛沫が上がる度に人々は恐怖します。それがいつしか信仰の対象となり、今では神として崇められる様になりました」
ミレイさんが小さな声で教えてくれた
へーそんな事が
おっさんはその後も色々と教えてくれる
基本はどうでもいい内容ばかりだが、アトランティルートには光神教と水神教の2つしか宗教が無いと言うとても重要な事も教えてくれた
2つしか無いのか、そいつは有り難い
しばらくおっさんの話を聞いていると袋小路になっている裏道ならぬ裏水路に出た
「此処なら人は来ないぞ。行き止まりだし、上がれる様な場所も無いからな」
やっと着いたか
「しかし一体何でこんな所に?まさかおっぱじめる気じゃねーだろうな」
運転手が下ネタをぶっ込んでくる
「はは、こうするんですよ。箱」
運転手を箱に閉じ込める
箱は小さくしてボックスに仕舞った、運転手はDPが勿体無いのでダンジョンに持って帰ってから殺す
俺はすかさず、ボックスからある物を取り出して川に離した
「何をしてるんですか?」
するとミレイさんが聞いてきた
「魚を離してる」
「魚?」
もう1匹をボックスから取り出して見せてあげる
「…毒魚ですか?」
「そう、毒魚」
毒魚ってのは魚の魔物
常に毒を生成、分泌し続けると言うフィアリス特産の変わった魚だ
この魚がいる水を飲むと腹を壊すとか
「何故毒魚を?そこまでの毒性は無かったと思いますが」
腹を壊す程度だもんね
「そこはスキルで改良済みだよ」
俺は水路に何匹も、何匹も毒魚を離して行く
「改良済みと言う事は、強い毒性が?」
「そう、毒だけじゃ無いけど」
変な色をした毒魚も離す
全部で30匹くらいかな?
鮎に似た毒魚達が王都中に広がっていった
「毒だけじゃ無い?では毒魚達は何を分泌するのですか?」
ミレイさんが聞いてくる
「金属」
「へ?」
そう、俺が離した毒魚達は毒だけでは無く金属を分泌する
金属は水銀に鉛、カドミウム、亜鉛、鉄、銅、ニッケルなど多種多様
重金属と言う奴だな
………何が重金属に分類されるのか分からなかったから金属は適当に選んだ
まぁ命に関わる水銀と鉛があれは大丈夫だろう
ちなみに他の毒魚は、ちゃんとした毒で
嘔吐下痢を引き起こす毒、目眩、頭痛、吐き気を引き起こす毒、吐血する毒、遅効性の様々な症状が出る毒、即効性の様々な症状が出る毒、死ぬ毒と様々だ
魔物が興奮、凶暴化するなんて毒もある
それが今、王都中に広がったんだ
「何故その様な事を?アトランティルートの王都で人が死んでもDPにはなりませんよ?」
ミレイさんが聞いてくる
「ああ、DPはさ、捨てようと思って」
「え!?」
ミレイさんが驚きの声を上げる
「だってさー、目的が変わるんだもん」
「目的?」
「俺達の目的は新種族を殺す事、人類を絶滅させる事だろ?」
「そうです、その為のDPなのです」
「でもさー、ギガントゴーレムの時も思ったけど、人を殺すのが目的よりもDPの為に殺すって感じになってたじゃん」
ギガントゴーレムをあんなに大きく作ったのは、町の外に居る人をイーリスの町に追い込む
追い込み漁としての役割もあった
はっきり言ってあそこまでする必要は無かった
じゃあ何でしたのか
より多くのDPを手に入れる為だ
もうね、途中から人殺しの為のDPじゃなくてDPの為の人殺しになってるんだよ
「し、しかしそれでは、生まれ変わりを阻止出来なくなります!」
あー俺が殺した人達は生まれ変わらない様になるんだっけ?
「生まれ変わりって言ってもさ、妊娠で最低でも1年、まともに動ける様になるまで3、4年はかかるだろ?大丈夫、大丈夫」
それに新種族は魂が死体から離れないんだから死人が沢山出た方が有り難い有り難い
………探す手間が増えるけどさ
「し、しかし…」
「大丈夫だよミレイさん。出生率より死亡率を上げる、それだけの事だから。俺が頑張れば良いだけの話だから、ね?」
ミレイさんを言い聞かせる
「はぁ…分かりました」
ミレイさんは軽くため息をつく
よしゃ!勝った!!!
「では聞きたいのですが?何故、毒や金属に種類を?」
「ん?混乱させる為」
「混乱?」
「症状がバラバラなんだ、果たして何人助けられるかな?」
俺が毒や金属に種類をつけたのは人を混乱させる為だ
ある人は目眩を起こして倒れた、ある人は吐き気を、ある人は吐血し、ある人はその日のうちに亡くなる
症状がバラバラ過ぎるんだ、毒なのか病気なのか分からなくなる
それでも手当たり次第に治していくはずだ
魔法を使ったりポーションを使ったりと
魔力やポーションを大量に浪費させ続ける
そのいずれかで治る人もいるだろう
しかし治らない人がいたら?
治った人と同じやり方をしているのに治らない人がいたらもっともっと混乱する
その混乱の中で何人が亡くなるのかな?
その亡くなった人の中には治った人と同じ様にすれば治る人もいただろう
そう言った死者をどんどん増やす
此処は水の国
毒魚のせいで水の全てが危険になるんだ
何人が気付くかな?気付いたとしても認めるかな?
水を讃えている国だ、信じるかな?
毒の発生元が分からないんじゃ病人は増え続ける
そこに興奮、凶暴化した魔物が町を襲う
この王都は海とくっついている
漁業の為に魔物を引き込むから城壁もシティーコアによる結界も無い
シティーコア、キングコア自体がこの国には無いのかもしれないな
まぁそん時はそん時だ
王都を襲う魔物の多くは海の魔物だ
水路から町の深くまで入り込まれるだろう
普段なら抑えたり留めたり出来るかも知れない
しかし町は病人だらけだ
はたして止められるかな?
病人の中には戦う人もいるだろう
体調が悪いのに戦うんだ
普段なら絶対に負けないのに、と言った不慮の事故で何人が死ぬだろうか
増え続ける病人、襲い来る魔物達
王都はぐっちゃぐちゃだ
そしてなんとか病人を救い、魔物から町を守ったとしても
そこに複数の重金属汚染が飛び込んでくるんだ
「金属をばら撒く理由はね。この王都から人を追い出す」
もちろん金属による中毒で混乱を増幅させる理由もあるけど
「人をですか?何の為に?」
「人の敵は魔物だけじゃ無いって事さ」
この土地を、水を、魔物を重金属で汚染する
魔物が、水が汚染されたらどうなる?
漁業で成り立ってるこの王都はどうなってしまうだろか
病人や魔物が襲ってきた時に金を持っている奴は逃げるだろう
しかし、全員がそう言う訳では無い
王都を離れない離れられないと言う人は沢山いる
だが、重金属汚染のせいで王都に住めなくなるんだ
逃げるしかない
王都から離れなければ死ぬだけだ
「この王都には何人が住んでる?」
「ざっと20万人程です」
「20万人!…毒や魔物に殺されたとしてもせいぜいが4、5万人…さて15万人が何処に逃げる?」
例え他の町に逃げたとしても15万人も面倒を見れる場所など無い
知り合いや親戚が居るならばいいだろう
しかし、全員にそう言う人がいる訳じゃない
逃げた人達に差が生まれるんだ
差は次第に格差、差別に変わって行く
金があっても食べ物を売ってくれない
これは町の人の物だと
高い物が端金で買い取られる
足元を見られる様になるんだ
逃げた人達は辛いだろう、苦しいだろう
その中で何人が死んでいくだろうか、何人が食い物にされるだろうか
人々にストレスが溜まっていく
他の町に移動しようにも同じ目に会うかもしれない、もっと酷い目に会うかも知れない
しかし此処にいてもと人はくすぶり続ける
町の人達が我慢の限界で騒ぐだろう、追い出せ、出てけと
逃げて来た人達は、なんで自分達がこんな目に合わなければならないのか、なんで自分達がこんな風にされなければならないのか
そう思う
弱っている人は死が間近に迫っているからな、自己中心的になるんだ
するとどうするか、死にたく無い、生きたいと
犯罪に手を染める
くれないなら貰えないなら奪うしか無いと思うんだ
するともう我慢ならんと町の人も暴れ出す
殺し合いだ
そうなると町は危険だ、死にたく無いと町を離れる人が増えて行く
逃げる人が増えてしまった
その逃げた人はそのうち同じ目に合う
逃げた先で同じ事が起きるんだ
何人が死ぬかな?何人が酷い目に合うかな?
アトランティルートはドミノ倒しで崩壊していく事になる
つまり、俺はアトランティルートで移民問題を引き起こそうとしているんだ
現代の地球ですら移民は大きな問題だ
法整備すらまかり通ってないこの世界ではもっと、もっと酷い事になる
楽しみだ
「では、今の毒魚を離しただけでアトランティルートは滅びると言う事ですか?」
ミレイさんが聞いてくる
「時間がかかるし、上手く行けばだけど」
ミレイさんが驚いた顔をする
まぁアランベルトの時とはやる事が恐ろしく少ないからな
アランベルト王国には時間をかけ過ぎたからな
「じゃあ、やる事無いから帰るか」
「はい、かしこまりました」
「………それとも、食べ物屋でも回って行く?もう食べられなくなるだろうからさ」
ミレイさんは嬉しそうな顔をする
「宜しいのですか?」
「うん」
「では行きましょう!」
ミレイさんに引っ張られる
ミレイさん此処、船の上!!!
水の上を走るミレイさん
俺は物の様に背負われていた
感想、誤字報告ありがとうございます。とても助かります。書いてる本人もビックリするくらい誤字があるので本当に助かります
これからもよろしくお願いします




