5話 スキル
新章スタートです
「とりあえず、何から始めればいいんだ?」
地球の創造神に異世界に連れてこられて、ダンジョンマスターとして働くことになった
「では、ダンジョンを作る場所を決めますか」
この女性はミレイ、ダンジョンマスターのサポート役だそうだ
「場所?ここじゃなくて?」
今は1LDKほどの広さの、白いコンクリートようなもので出来た部屋にいる。出入り口はなく、部屋の中央にはダンジョンコアが浮いている
「ここはですね、マスターをコアとリンクさせるためだけの部屋です。マスターにはリンクが終わり次第、ダンジョンの作成に入ってもらいます。ダンジョンを作る場所は人が多く、人が集まりやすい場所に、ランダムで選ばれます。その後、準備期間が1ヶ月与えられ、ダンジョンが始まります」
「ランダム?なんでランダムなんだ?ある程度決められた方がいいんじゃないのか?」
「そうですね。確かに当初はそうでした。しかし、フィアリスの人々をダンジョンマスターにした結果、ランダムになりました」
「失敗したダンジョンのせいって事?」
「そうなります…獣人をダンジョンマスターにした時、故郷の近くがいいと故郷近辺でダンジョンを作りました。しかし、故郷が近くにあるから暴れられないなどと言い出したり、人間をダンジョンマスターにしたら、敵戦国の中にダンジョンを作り、その国は滅したものの、他の国には手を出さなかったりと」
「いろいろ失敗してんだな…準備期間ってのは?」
「準備期間はですね、エルフをダンジョンマスターにした時、準備に30年費やした事がありまして…ちなみにこのフィアリスはマスターのいた世界とほぼ変わりなく1日は24時間、1月は30日、12ヶ月で1年となっています」
「そのエルフのせいで準備期間が30日と…」
時間が一緒ってのは正直有り難い。訳が分からなくなるから
「とりあえず、そのようなところでしょうか」
「まぁとりあえずダンジョンを作ればいいんだな」
「そうです。では、メニューと言ってください」
「…メニュー?」
俺がそう言うと、目の前に透明な板が現れた
「うおっ?!なんだこれ」
「それはメニュー画面といい、ダンジョン関連を制御することができます、ダンジョンと書かれている場所があると思うのですが」
つまりこのメニュー画面とはリモコンみたいなものか
メニューにはいくつか書いてある
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メニュー
・ダンジョンマスター
・DP交換
・ダンジョン
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「あー…あるある」
他にもあるけど
「ダンジョンをタップすればダンジョンが開始されます」
「つまり押せばスタートってことか」
「そうなります」
「…………タップ?」
スマホとかタブレットみたいだな
「はい、指で触れることができます」
メニュー画面にふれ、人差し指で軽く上下させると画面が上下する。本当にスマホみたいだ
「スマホそっくりだな」
「スマホって四角い小さなものですか?」
「そう」
「なら、ほとんど同じだと思いますよ。メニューはスマホをもとに作られましたから」
「マジで?」
「はい」
「…スマホを持ってきたのも地球の創造神?」
「そうです、地球様です」
本当に色々と手を出しているんだな地球の創造神
「他の2つは何?」
「とりあえずタップしてみてください」
…上から順に押してくか
人差し指でそっとふれる
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ダンジョンマスター
・スキル
翻訳 Lv10
鑑定Lv10
ホムンクルス生成Lv10
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「なにこれ?」
「その3つはマスターのスキルです」
「あー…スキル」
技術と知識の集合体だっけ?
「はい、例えばこの翻訳スキルLv10と言うのはですね」
ミレイがとなりにきて一緒にメニューを見ながら教えてくれる…近いな
「私が今何語で話していると思いますか?」
「何語って…日本語だろ?」
さっきからずっと日本語じゃないか
「いえ、私はずっとフィアリスの言語で話していますよ」
「え?」
「それが翻訳スキルです」
「…つまりミレイはずっとフィアリスの言葉を話していて、俺の翻訳スキルの力で日本語に聞こえてるってことか?」
え?スキル半端なくないか?
「そうなります。ちなみに、Lv10なのでフィアリスで翻訳できない言語はないと思いますよ」
「どんな言語でもフィアリスなら日本語に聞こえるってこと?」
「そうなります」
スキルすごいな、なんてんだっけこういうの、バイリンガル?…違うか
「他の2つは?」
スキルの凄さは分かった、 Lv10ってことは他のもすごいはず!
「その2つはですね、まず鑑定のスキルです」
「鑑定?鑑定眼、的なやつか?」
なんかのプロが持ってるやつだろ?
「そのようなものです、しかし鑑定眼は知識や経験、環境、人によって変化します。ですがスキルなのでそういったことが一切ありません。また、 Lv10なのでこの世界のありとあらゆるものを鑑定することができます」
「つまり、見るだけでどんなものでも調べられるって事?」
「そうなります」
スキルってやっぱ半端ないな、あれだろ?頭の中にグー◯ル先生がいてしかも教えてくれる人が専門の科学者みたいなものだろ
「スキルってどうやって発動するんだ?」
「なんでもいいのです」
「なんでも?」
「スキルの発動に必要なことは基本的にはございません。頭の中で使いたいと思うだけで発動しますし、声に出しても良い、なんとなく使おうと思えば発動します、それがスキルです」
「適当でいいってことか」
「そうなります」
…………鑑定
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☆%〆あ
すjf#$
+|がaw#@o29や
なはh@t'p=〆々1
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「ありゃ?」
なんだこれ?
「…もしかしまして、今、私を鑑定しました?」
ミレイがジト目を向けながら近づいてくる。近い近い
「あ、いや、だって鑑定できるものないし」
「…まあ、今回は許しましょう。次にするときは一言断ってからにしてください」
ジト目を向けられたまま言われる
「あ、はい、ごめんなさい…鑑定って悪いことなのか?」
「…悪いことといいますか、マナー違反ですね」
「マナー違反?」
「相手の断りもなく鑑定することはマナー違反です。家の中に突然入ってくるようなものです」
「ほとんど犯罪じゃん」
えー使い辛いよ
「と、言ってもこの世界の人々は皆殺しにする予定なので意味はないですけどね。それに Lv10なので例え鑑定したとしても相手は気づくことはないと思いますよ」
「なんだ、よかった」
せっかくのスキルなのに使い辛くて仕方なくなるとこだった
「ん?だったらなんで怒ったんだ?」
「私に対してはダメです!」
胸に手を置き、どうだ!と言わんばかりに胸を張る…あーなるほどミレイの性格がだんだんわかってきた
「わかった、気をつける。…ところでミレイの鑑定結果がぐちゃぐちゃになってたんだけどこれは?」
「わかっていただけたのなら幸いです。鑑定結果がぐちゃぐちゃだったのはフィルターのせいですね」
「フィルター?」
「私が創造神様の使いであることが人々に気づかれると面倒ですから」
なるほど、神の使いみたいなもんだからか、面倒な連中がやって来そうだな
「なるほど…それで、ホムンクスル生成ってスキルはなんなんだ?」
「ホムンクスル生成ですね…マスターはダンジョンを作った後、外に出たくなった場合どうしますか?」
「え?外に?」
「はい。そのような場合にホムンクスル生成のスキルを使うのです。マスターはダンジョンマスターです。そしてダンジョンマスターとはコアとリンクしています」
「あの痛い奴な」
「その結果からダンジョンマスターとコアは一心同体になってしまうのです」
「…つまり?」
「もし、外でダンジョンマスターが死んでしまった場合、コアも使えなくなります。またその逆もしかりです」
「…俺が死んだらコアは使えなくなりコアが破壊されたら俺は死ぬってこと?」
「そうなります」
ダメじゃん
「ダメじゃん」
「そうならないためにもマスターにはコアを守ってもらわなければなりません」
「それだと外に行けなくね?それにトイレとかさ」
「マスターはダンジョンマスターになった時点で排泄も睡眠も必要ありません。またコアの近くにいれば常に健康状態のままでいられます。それにその時のためのホムンクスル生成なのです」
「え?俺、トイレとか腹減らないってこと?」
「食べたり寝たりすることはできますが必ず必要というわけではございません」
「おお…マジか」
「ホムンクスル生成のスキルは、人と全く同じ人形を作ることができるスキルです。このスキルで作り出した人形には、リンクを繋げる事により、体を変えることができるようになります。私も同じスキルを持っていますので、とりあえずやってみます」
ミレイはそういうと右手を前に出し
「ホムンクスル生成、種族、人間、性別、女性」
掌から光のようなものがでてきてどんどん大きくなる。光は徐々に人型になっていき、完全な人型になると光が弱っていく、最後には人間の女性の死体?が横たわっていた、ちなみに布が巻かれている……残念!
「とりあえずこれがホムンクスル生成です」
「おおー!」
人形って言ってた割には完全に人間だ。パッと見では全くわからん
「そしてこれが」
ミレイは屈んで横たわっているホムンクスルに手を添える、すると
「リンクを繋げた状態です」
横たわっていたホムンクスルが起き上がった
「うわっ?!」
「どうでしょう、これがホムンクスル生成のスキルです」
さっきと全く見た目が違うのに、なんとなくミレイだとわかる。まあこの状況でミレイ以外だったらやばいけど
「…お、おう。すげーんだな…で、なんの意味があるんだそれ」
「私の元の身体をみてください」
「ん?」
言われたままに見てみると、さっきまで動いていたミレイの身体は屈んだままピクリとも動かない
「えっと?」
「ホムンクスル生成のスキルの欠点は、元の身体が無防備になってしまうことなのです。しかし利点の方が多いのです。例えばですね、ホムンクスル生成の…面倒なのでこの状態のことをホムンクスル体と呼びます。ホムンクスル体の状態でもダンジョンマスターとしてのスキルは全て使うことができます、またダンジョンの外で死んでしまった場合でも強制的に元の身体に戻されるだけでコアやマスターが死ぬことはありません」
「つまり、外に行きたい時はホムンクスル体で身体はコアと一緒にしまって置いて。もし死んでも元の身体に戻るだけってこと?」
「そうなります。ちなみにホムンクスル体の状態で死ぬというのは少し違いますね…どちらかといえばリンクが切れたと言った方が正しいですね」
そんな充電が切れたみたいな言い方されても
「まあ、とりあえずホムンクスル生成ってスキルもすごいってのはわかった」
「 Lv10なので魔物以外のどんな種族にもなることができますよ、年齢や性別、容姿や服装など変えることもできます」
「…………やっぱスキルすげえや」