49話 アランベルト王国の滅亡・前
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、事件とは一切関係がありません
これを使う日が来ようとは…
side マスター
隣に居たミレイさんが突然消えたかと思ったら直ぐに戻って来た
咄嗟に箱のスキルを解除出来たのは良かったと思っている
意味あったかは分からんけど
「マスター、聞いても宜しいですか?」
「ん?」
ミレイさんが、声をかけてくる
なんだろ?
「何故、この様な巨大な壁を作ったのですか?」
あー…先程、ミレイさんに頼んで作って貰った壁
アランベルト王国を国境に沿ってグルっと囲っており、ダンジョン産と言うかダンジョンの一部を伸ばして作っているので破壊は不可能
高さ50m、幅10mの超特大
今までに貯めに貯めたDPを、そして先程手に入れたDPの大半を使って作り出した
「壁を作った理由か…まぁアランベルト王国の国民が逃げ出さない様にってのが1番の理由だけど、本当の目的は別にある」
「本当の目的、ですか?」
「うん、勘違いさせるのが目的かな?」
「勘違いですか?」
ミレイさんはどう言う事でしょうか?と言った顔をする
「そう、勘違い。まぁその辺はおいおい。でだ、まずはこっちをどうにかしなくちゃね」
俺はそう言いながら振り返る
そこには桜の両腕より伸びた巨大な木によって雁字搦めにされている人達が
皆一様に片手が無く、血塗れである
地下から聞こえた悲鳴やミレイさんが戻って来たタイミングからミレイさんが何かしたんだろうな。きっと
雁字搦めにされている人達は此方を睨んでいるか震えているかのどっちかだ
俺は1人の男に近づく
鑑定
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名前:ラーバルト・ホォル・リッキンス・アランベルト4世/男/39歳
種族:人間(アランベルト王国、国王)
スキル:毒耐性Lv7、剣術Lv5、武術Lv3、帝王学Lv4、心理学Lv2、洗脳Lv4、演技Lv4、算術Lv2、名称鑑定Lv2、王者の威圧Lv3、支配Lv2、魔力操作Lv2、瞑想Lv6、短剣術Lv3、槍術Lv2、詐欺Lv6、収納Lv3
称号:アランベルト国王の国王、支配者、愚王、賢王、詐欺師、嘘付き、口八丁、強者、冷酷、怒り、恐怖
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………強いね、王様
そりゃそうか。地球ではいざ知らず、此処はスキルがある世界
死んで困る人はそれ相応の訓練やスキルを習得させられるのか
にしてもこの王、脳筋かな?戦闘スキルが妙に高い。あ、でも、詐欺関係のスキルも高いから頭は良いのか?
まぁ国王なんて嘘とか相手を上手い事操る方法を熟知しているだろうから、こう言ったスキルが増えても可笑しくはない
賢王と愚王ってが並んでるのがどうも気になるけど
「あー、あんたが国王?」
わざと国王がどうか聞く、さあどう出るか
「…!!!」
アランベルト国王はモゴモゴ言いながら何か言っている
…桜の木の枝で口を塞がれてるから喋れないね
「桜」
俺が桜にそう言うとアランベルト国王の口の部分の枝が移動する
「はぁはぁ………何者だ」
アランベルト国王は息を荒げながら俺を睨み静かにそう言った
おお〜!!
この国王………出来る!
これは、言ってみたかっただけ
アランベルト国王はこの状況で取り乱したり、暴言吐いたり、叫んだりしなかった
例えそんな事をしても意味はない。国王は生殺与奪の権を握られているから
つまり今現在、国王にはどうする事も出来ない
しかし、だからと言って落ち着いて行動出来るかと言われれば不可能だろう
それをこの国王はやってみせた。取り乱さない事で落ち着いている風を装い王の威厳を守りつつ、余計な事を言わない事でこれ以上の被害をださない様に気を使っている
その上で俺達が何者か調べようとまでしている
うーん、やりおる
何者か…折角だし久々に本名で自己紹介でもしてやるかな?あ、でも出来る限り情報を漏らさない方がいいのかな?まぁ俺の本名がバレた所で足取りを掴むのは不可能だけど
だって俺、この世界の人間じゃないし
………ん?と言うか俺の本名ってなんだ?あれ?なんだっけ?
………思い出せん
困ったな、どう名乗るべきか。ダンジョンマスターって言って俺がダンジョンマスターとバレるのは避けたいしな
うーむ…よし!詐欺師には嘘で対抗だ
俺はすかさずDP交換で執事服を交換する
すかさず手の中に現れる執事服
ダンジョンコアの前以外で交換するとこう言う感じで現れるのだ
あ、国王ちょっと待っててね
直ぐに着替え…そう言えば服、脱げないんだった
今、俺の体はホムンクルス体。服も付属だ
付属って言うか皮膚とくっついている
どうしよう
新しくホムンクルス体を作るしか無いのか…それだったら執事服を着た状態で作れるな。執事服の分DPを無駄にしてしまった
そう考えて少し落ち込んでいると、見かねたミレイさんが近づいてきて一瞬で執事服に着替えさせてくれた
「おお〜!」
皮膚にくっついていた服をどうやって着替えさせたのだろうか。疑問は残るがビシッとした執事服で背筋が伸びる
俺は再びアランベルト国王に向き直る
「失礼しました、アランベルト王国、国王よ。私は神の作りし聖なる組織「世界の終わり」の1人にして第二部隊の隊長を務めさせて頂いております。コードネームをマスター、我らが王の命により参上仕りました。どうぞ宜しくお願いします」
そう言ってアランベルト国王に桜やベルゼブブがやってみせたお辞儀をする
頭を上げると、アランベルト国王は絶句していた
よし!思った通り
心の中でガッツポーズを決めていると、横にいたミレイさんに引っ張られる
「どう言う意味ですかマスター!何を言ってるんですか!」
無理矢理、屈まされて怒られた
ミレイさん国王に聞こえちゃう聞こえちゃ…ん?
周りの音がしない?もしかして聞かれない様に魔法でも使っているのか?
「ミレイさん、嘘、嘘だから!」
「嘘?」
「そう、嘘。国王を騙すだけだから安心して」
俺がそう言うとミレイさんは少し考える素振りを見せ
「分かりました」
そう言いながら一歩下がる。すると周りの音が元に戻る
俺がアランベルト国王に付いた嘘はまず、俺達が「世界の終わり」って言うヤバい組織のメンバーであると認識させる事
「世界の終わり」って名前は今適当に付けた架空の組織なんだけど、アランベルト国王はそんな事知らない
だからそんな組織があるのか、と簡単に騙される
そして騙されると同時に「世界の終わり」の恐ろしさを理解してしまう
たった数人でたいした時間もかけずに王都を、国の中枢を制圧した「世界の終わり」
俺は自分達の事を第二部隊と言った。隊長とは言ったがそれでも第二部隊の隊長
つまり第一部隊がいるのではないか?とアランベルト国王は考える
数人で王都を制圧出来る実力を持っていながらも第二部隊
第一部隊の実力は一体どれ程なのだろうか、と
そして本当に数人なのかも分からない。隠れていたり此処にいないだけでもっと沢山居るのかもしれない
だから俺達を例え殺せたとしても意味は無い
他に同等かそれ以上の実力を持った奴らが居る可能性の方が高いから
そして俺は王の命令で来ていると言った
このアランベルト王国は、絶対王制であり王様が全てである
そう言った機関で生きている人達だからこそ王の命令の偉大さ、重さ、強さを理解出来ている
俺達はそれを受けて此処に居ると言った
だからどんなに高価な物や地位を与えると言った所で俺達唆されない
そんな事言われたとしても、命はこっちが握っている。殺して奪えば良いだけの話だしな
そして駄目押しで俺は、「世界の終わり」を神の作りし聖なる組織と言った
つまり「世界の終わり」は宗教団体
いつの時代も宗教団体とは厄介な物である
宗教団体の人は神を信じている為、恐怖が薄らぎ死を救済や神の元へ行ける聖なる行いだと思っている場合が多い
だから例え手足が切れようが胴体が吹き飛ぼうがただただ真っ直ぐ向かってくる。命が尽きるその瞬間まで
攻撃しても攻撃しても立ち上がり向かってくるんだ。そんな面倒な連中とは誰も戦いたく無い
しかも実力があるなら尚更だ
つまり、あのセリフだけでアランベルト国王は雁字搦めどころが何一つ出来なくなってしまうと言う事になる
俺はアランベルト国王に向き直る
「失礼しました。相方に少々組織について話し過ぎだと怒られてしまいましたよ」
そう言いながら俺は何も無い空間に座ろうとする
すると蔦で出来た禍々しい玉座が現れた
俺はそれに座り込み偉そうに踏ん反りかえる
………ありがとう、桜
打ち合わせとかしてなかったからカッコつけたにもかかわらず、そのまま転ぶ所だった
後で何かお礼を言わなくちゃな
そう考えながら王達から見えない位置でありがとうと蔦に書く
桜はニコリと微笑んでくれた
伝わった様で良かった良かった
「グフッ」「ガッ」
ん?謎の声がしたので見ると、アランベルト国王とその横に居た男が目から血を垂れ流している
え?何?何?怖っ!?
まだ何もしていないのに苦しみ始めた2人に慌てているとミレイさんが耳元で話し始める
「どうやら国王と宰相はマスターに対して鑑定のスキルを使ったのでしょう」
あ、国王の隣の宰相なんだ
宰相ってあれだよな、王様とかの横で色々補佐をする。秘書的な立場の人だっけ?
「え?俺に鑑定のスキルを使うとああなるの?」
「マスターにも私と同様にフィルターが掛かっていますからね。我々はああはなりませんが、他の者が我々に鑑定のスキルを使えば目に多大なる影響が出ます」
マジか、フィルター超恐え
「どのくらいの影響?」
「一時的に失明します」
俺がそう聞くとミレイさんはあっさり答えた
…フィルター超恐え
そう言えば前に、何も考えずにミレイさんに鑑定使ったよね。一歩間違ってたら、俺もああなってたって事?
………気をつけよ
「マスター、国王と宰相は必要ですか?と言いますか何をしようとしているのですか?」
ミレイさんが聞いてくる
「ん?」
「あの王達が隠れていた地下を見てきましたが一部屋だけの小さな空間でした。食糧や物資等は確認していません。国王と宰相は共に収納と言うボックススキルの下位互換スキルを有しています。恐らく食糧や備蓄品などは2人が持っているのでしょう」
おお、なるほど。スキルの中に入れとけば場所を取らない。そして国王や宰相が備蓄品を持っていれば咄嗟に裏切れる心配や寝返えられる心配が少なくて済む訳か
「また、私は地下に居た者達にそれなりの怪我を負わせました。その傷が塞がっています。ポーションの類を持っている可能性もあります」
あ、あれやったのミレイさんだったか
「えっと、国王とかだったら近隣諸国とかこのアランベルト王国について詳しいだろうと思って、色々話して貰おうかなと」
大半の人が知らない裏の事とか隠し事とか、揉み消した事とかさ
俺がそう言うとミレイさんはキョトンとした顔をして
「つまりアランベルト王国に関してや近隣諸国について聞き出したいと言う事ですか?」
と聞いてくる
「そう。他にも何でもいいから役立つ事を話してもらおうかなって」
俺がそう言うとミレイさんは、胸を張り
「ならば私にお任せを。私にかかれば嘘かどうかも分かりますし、前の時の様に、その気になれば人生の生い立ちを全て吐き出させる自信があります!」
ミレイさんはやる気の様だ
………あれかな?縦巻きロールの裏切りメイドにやった拷問の事を言ってるのかな?あれは怖かったし凄かった
そう言えば縦巻きロールは…ああ、神創樹の養分になったんだった
「あ、うん。お願い」
怖いので任せます
「お任せを!!」
ミレイさんは元気に返事をして苦しんでる2人をボックスにしまい移動…ん?
すると、ミシミシと大きな音を立てながら桜の巻きついていた木が1人の女性から吹き飛ばされた
犯人は…王の、宰相とは反対側に居た女性
女性はその場から動かず光る球体の中で祈っている
「聖女の保護結界…ですか」
ミレイさんがそう溢した
「何?それ」
「一度発動しますと100日間の間、絶対に解除出来ないと言う結界を発動する魔道具です」
マジで?
「餓死しないの?」
「中の時間は止まって居ますのでしません。多くは貴族や王族の女性が持ち、身の危険に陥ったら使用すると言った魔道具です」
「女性だけ?」
「貴族や王族にとって血は大切な事です。盗賊などの犯罪者や敵兵、裏切り者などに犯されでもしたらその女性に価値は無くなってしまいます。なのでいざと言う時、この魔道具を発動してしまえば100日間は絶対に大丈夫ですので」
ああ、なるほど。その間に助けるなり見捨てるなりするのか
「また、貴族や王族の男が使用した場合は恥とされる為、男が使用する事は少なく使用するのは意地汚い恥知らずや愚か者とされます」
ほー、そう言った無駄な事はいつの時代にもどこの世界にも存在するんだな
男でも女でも助かる可能性が上がるなら使えばいいのに
国王とか王族なら使いそうだけどな…プライドとか体裁が悪いとかが邪魔して使えないのか
「聖女の保護結界の魔道具は小さく、ブローチ程のサイズです。下着の中にでも隠して居たのでしょう。舐められた物ですね」
あ、ミレイさん怒ってる。見落とした自分に怒ってるのかな?
「あーあれ、どうす「あの王妃も私に任せて貰っても宜しいでしょうか」…お願いします」
怖いよー、ミレイさん怒ってるよー
あの人王妃なんだ
「かしこまりました」
ミレイさんはそう言うと王妃に近づき、箱を発動
聖女の保護結界を囲んで縮小し小さくした
「では行ってまいります」
ミレイさんはそう言って、地下に続く階段に向かい降りていく
………地下でやるのかな?分からん
と言うか俺より箱のスキルを使いこなしているし
ミレイさんも使えるんだあのスキル
※マスターはもう、自分の名前が分からないくらいでは疑問にすら思わなくなって居ます
お久しぶりです。久々の投稿、お待たせしました
作者の最近の悩みなのですが、キャラの名前が覚えられません。主要メンバーは流石に覚えているのですがキャラの大半が居なくなるので…忘れてしまう




