閑話休題2 我の名前は「ベルゼブブ」
※グロいシーンや人が死ぬ描写があります。ご注意を
「次の物!」
兵士に呼ばれ、前に出る
ここは王都にある平民用の城門
両サイドに均等に並んだ永久奴隷兵士達にジロジロ睨まれながら進む
彼らは街に入る者を魔道具に記録しているのだ
「銀貨1枚!!!」
城門の中央に立ち、私に剣を向けながら白騎士が大声で言ってくる
私はマスターに貰った金を小汚い布袋から取り出し、少し多めに銀貨3枚を白騎士に渡そうと差し出す
これは町に入る為の金だ
入街税と言い街を出入りする者が払う金の事である
「………ちと多くないか?」
白騎士が下卑た笑みを浮かべ、ニタニタとしながら聞いてくる
…面倒な
「…その金はいつもお世話になっている白騎士様への金です。どうぞお納め下さい」
そう言って私は頭を下げる
これは賄賂だ
賄賂を払うから何かあると言うわけでもないが平民用の城門を守る様な白騎士だ、賄賂を払えばスムーズに事が進む
王都の様な大きな城壁がある街では基本的に城門は平民用、貴族用と分けられている
他にも商人などが使用する運搬用や軍専用の城門などもある
城門は沢山あるのだ
そして、その一つ一つに責任者となる白騎士がいる
白騎士は他にも部隊を率いたり、王族、貴族等の護衛などもしている
白騎士達は多忙なのだ
そして城門の守りなど兵士にやらせておけばいい、彼らは魔法で縛られている為不正もしなければ犯罪も起こさない
そんな中で城門を、しかも、わざわざ平民用の城門を守る白騎士がいる
正確に言えば、それしかさせてもらえないのだ
白騎士は兵士の中から選ばれる
それなのに契約魔法にはかけられたくないと言い、家の力で白騎士になる様な者が後を絶たないのだ
そういった者は他の兵士達が止められない事をいい事に、大小様々な問題を引き起こす
過去には他国の姫だかなんだかを犯罪者に仕立て上げ、犯し殺してしまい戦争になった事もあるそうだ
そんな輩が後を絶たない
だから多少の問題を起こしても大丈夫な様に平民用の城門を任されるのだ
私は白騎士に賄賂を渡そうとすると
「ふむ…良い心掛けだ」
そう言いながら白騎士は銀貨では無く、布袋を奪い取った
「そ、それは!?」
私は驚き声を上げてしまう
「ん?何か問題でもあるのか?」
白騎士が私に剣を近づけ睨んでくる
「…いえ…なんでもありません」
私にはそう言うしかなかった
「そうであろう。そうであろう。平民はそうで無くてはな」
白騎士は嬉しそうに何度も頷く
「さっさと通れ、いつまでもその小汚い顔を私に見せるな」
白騎士にそう言われ私はトボトボと歩きながら裏路地に入っていった
………
思ったより上手く侵入出来たな
白騎士によっては意味も無く殴られたり気に入らないからと言う理由で牢屋にぶち込まれたりするのだが
あっさり侵入出来た
私はトボトボと歩いてる様に見せながら裏路地を進んでいく
ここはアランベルト王国にある王都
私はマスターの命により此処にいる
さてと、何処で計画を………うむ?
誰かが私の後を着いてきている?
誰だ?
まさか私の存在がバレたとでも言うのか?
マスターに頂いた新たなスキルにより私の変装は今まで以上にに完璧なはず
私は疑問に思いながらも怪しまれない様に背後を確認すると、小汚い格好をした数人の男が隠れた
………考えすぎだったか
そう言えばそうであろう、この変装が見破られるはずがない
では何故後をつける?見るからに野盗や追い剥ぎの様に見えるが…
私の格好は平民ではよく居る使い古された服を着たただの一般人
持っている物も取られなかった銀貨3枚と特に何も入っていない背負い袋だけ
何故私を狙うのだろうか
まぁ確かに銅貨や鉄貨の為だけに殺される者も居ると聞くが
………まぁ良い、計画の邪魔にならなければそれで
私はそのまま裏路地を進み、誘導されている様に装いながら袋小路になっている空き地に出る
すると早速、私を囲む様に複数の男達があちこちから現れた
「な、何者だ!」
私が怖がるそぶりを見せながら声を張り上げると
「「「へっへっへっ」」」
男達は白騎士が見せた様な下卑た笑みを浮かべ、笑い出す
「俺達はよぉ〜豪腕のジョゼって知ってるだろ?そのジョゼの部下だぜ〜。さあ〜死にたくなかったらよぉ〜有り金全部置いてきな!」
男達はそう言いながら木の棒や剣を抜いて凄んでくる
数は20人と言った所だろうか
自分達が勝つ事を微塵も疑ってない様子だ
「豪腕のジョゼだと…そんな…そんな」
私は膝をつく
豪腕のジョゼが誰だか知らんが微塵も興味がない
「リーダー、こいつ逃すんですか?」
小汚い男の1人が唯一剣を持った男に聞いている
「あ?そうだな〜やっぱり殺すか〜。死体だって金になるしな、持ち物や服だってあるしな〜」
リーダーと呼ばれた男はそう言いながら笑い出した
ふむ
私は立ち上がりスキルを解除する事にした
私は一瞬で執事服を着た紳士に戻る
「何だこいつ!?」
「見た目が変わった!?」
男達は大変に驚いている
私は一瞬で移動し、1人の男に背後から襲いかかる
背後から殴りかかると、腕が胴体を貫き男は絶命してしまった
………おっと、勢い余って殺してしまいましたな
気絶させるつもりが殺してしまうとは…マスターに頂いたスキルが此処までとは
「化け物だ!!!」
男達が騒ぎ始める
私はすかさず走り出し、殺さない様に腕を握り潰したり脚を砕いたりしながら男達を潰して行く
うむ…難しい
10人程倒しましたが、手加減しているのもかかわらず6人も殺してしまいました
「ひいいい!!!」
残っていた男達が悲鳴を上げ一目散に逃げ出した
私は分身を召喚し逃げた男達を襲わせる
………ん?
ふっふっふっ…これはこれは
召喚された分身は大きな黒い塊となり、次々に男達を押さえ付けていく
「ま、待ってくれ。俺達が悪かった」
分身に襲わせなかった唯一の男、リーダーの男が腰を抜かし動けなくなっている
私が男に近づくと
「悪かった!悪かったって!あんたがこんなに強いだなんて思わなかったんだよ!許してくれ!俺達はただ雇われただけなんだ!」
命乞いを始めた
「雇われた…ですか?」
どう言う事だ?やはり私の存在がバレていた?しかし…一体どうやって
まぁ特級悪魔の力を解放してしまったのだから遅かれ早かれバレていただろう
現に複数の白騎士や冒険者、兵士が私の存在に気付き此方に向かって来ている
「雇われたとは一体誰に?」
私が男にそう質問をすると
「光神教の奴らにだよ!!!どんな奴でもいいから兎に角、殺せって!!!」
………ふむ?
「私を殺せ…では無くですか?」
「ちげーよ!誰でもよかったんだよ!それなのにこんな強いだなんて!それと俺達は豪腕のジョゼともなんら関係ねぇ!勝手に名前を借りてただけだ!!頼む!許してくれ!!!」
男はペラペラと喋り始める
つまりこの男は私が特級悪魔だとは知らず、光神教に雇われ弱そうだったとの理由で私を殺そうとしたのか
ふむ、私は手を伸ばし男が首から下げていた物を取り上げる
「あ、それは」
男が驚いて手を伸ばしてくるが軽く睨むだけで「ひぃぃ」と悲鳴を上げる
「………これがなんだか分かりますか?」
私は男に聞く
「………分からねえ、その、依頼主の光神教の奴から貰った物だ」
ふむ
「これは魔道具ですね。発動すると使用者を爆発物に変化させ爆発する自爆式魔道具です」
私がそう言うと男は真っ青になる
光神教が犯罪者を雇い人を襲わせ自爆式魔道具をばら撒く?
………何故だ?
私がそう考えていると私の存在に気付いた者達が続々と近づいて来る
まぁ私が考えても仕方ない、後でマスターとミレイ様に報告しよう
そう思い、私は両手を広げる
…やはりな、先程分身を召喚した時にも感じたがレベルが力がスキルが違う
これは素晴らしすぎる
今までに感じた事のない魔力量!!!
あのお方、マスター様に感謝しなくては
この力は特別だ!私が!私が生まれ変わった最高の日の記念にしよう
「さぁ!!!ゲームの始まりだ!無限増殖「蝿の王」!!!!!」
私がそうスキルを発動した瞬間、視界が黒くなる
黒い層が猛スピードで広がっていきリーダーの男を私に気付き近づいていた者達を吹き飛ばしながら街中に広がっていく
素晴らしい!
素晴らしい!!
素晴らしい!!!
私は分身が見つけた高い建物に一瞬で移動し街を見下ろす
黒い蝿の波が路地を覆い尽くしながらどんどんと広がっていき街を覆う
なんと言う力だ
今まではどんなに魔力を込めても街一角を覆えるかどうかが限界だったのに
軽くだ、軽く魔力を込めただけで街一つ飲み込める程の分身を生み出せるなんて
素晴らしい!!!!!
私が見下ろしている下では分身の蝿達がどんどん広がっていく
愉快!実に愉快だ!!!
私が興奮し喜んでいると、あちこちで分身が殺されるのを感じる
おっと、興奮しすぎましたな。計画を次の段階に進めなくては
私は分身達に命令を下す
人に襲いかかれ!兎に角ぶつかれ!転ばせろ!手足の関節を破壊しろ、と
街に広がっていた分身達は特に何もしていない、ただ単に街中に広がっていただけだ
それが今下した命令で人を襲いだした
全方位から無数の蝿がぶつかってくる、手足の関節に噛み付いてくる、脚を絡めて転ばせる
ただでさえ悲鳴で騒がしかった街がより一層、阿鼻叫喚に包まれた
うむ、殺せないのがちと不満だが実に素晴らしい
分身達は人を殺す為にやっている訳ではない、この行動はマスターの命令通りであり、マスターが言うには副次効果が期待できるとかなんとか
なんだったか…確か…私がマスターの説明を思い返していると街のあちこちから煙が上がり始めた
なんと…マスターの言った通りではないか
私がマスターからの頂いた命令は、まず王都に潜入し我が分身を大量召喚し街中の人を襲わせる事
襲い方は2つ、兎に角ぶつかり転ばさせる事と手足の関節?を破壊する事
マスターが言うにはなんでも蝿の様な小さな虫一匹でもぶつかればかなりの衝撃を与えられるとの事
そして人と言う生き物は大変単純な構造をしており関節にある筋だの靭帯だの神経だのを切ってしまえばそれだけ動けなくなるそうだ
これの効果はよくわらないが確かに動けなくなっている者が多い
と言っても手足を破壊しただけだから引きずる様に蠢いているのはいるが
それよりもう一つの方が驚きだ
街のあちこちで人々が自らの手で街に火を放っているではないか
虫型の魔物を殺す時、最も活用されるのが火の魔法である
虫は火に飛び込む習性があり、他の魔法を使うよりも1番効果的で効率がいいからだ
だが今、街の人々はパニックに陥っている。落ち着いている人もいるにはいるが身体中に蝿がぶつかりまともに行動が取れていない
相手は虫だ
多くの人が火の魔法やスキルを発動しまくる
魔法を発動しようとすると蝿がぶつかり手元が狂う、転んで全く別の方向に魔法を発動してしまう
その結果がこれか
蝿にでは無く建物に火がついてしまい轟々と燃えだす
例え蝿に当たったとしても火の付いた蝿がそのまま建物に移動すれば建物に燃え移る
凄いな
街のあちこちにどんどんと火の手が上がる
多くの建物は密集している、一つに燃え移ればどんどん増えて行く
これにより街の人は蝿だけで無く火の始末まで相手にしなくてはなるのだ
………マスターの言っていた通りになるとは驚きだ
蝿達をなんとか出来ていた兵士達や冒険者が火の始末に翻弄され始める
また街の人々は死んだ訳ではない
手足の関節を破壊され動けなくなっているだけ、蝿に翻弄され暴れているだけだ
彼らはその相手もしなければならない
街は完全にパニックに陥った
………凄いな
素直にその感情が出てくる
私がそう考えていると分身が大量に殺されるのを感じそこに一瞬で移動する
先程から一瞬で移動しているのは私の分身は分身であり私なのだ
分身の1部を私に置き換えればそれが私の本体となるし、本体がやられたとしても分身に置き換えればいいのだ
つまり分身がある程度残ってさえいれば私な何度でも蘇る
この移動方法はその応用である
実に素晴らしい
私が自身にそう自画自賛をしていると移動先では、結界に守られた城壁により兵士や白騎士が魔法を発動している
ふむ…城壁の中に城壁ですか
私は街中に散らばっている分身の目で見ながら考える
なるほど、言うなれば1番外側の壁は外壁
そして今、私の前にあるのが城壁と言う訳ですかな?
外壁と城壁の間は基本的な街並み、主に平民が住み着き少し道を外れれば裏町や裏街と呼ばれる野蛮な風貌になり変わりもっと奥に行けばスラム街が広がっている
簡単に入れる訳だ
しかしここからは違う
そんな輩を城壁の中には入れぬと5つの結界で守られ、ちゃんとした白騎士が統率を取り多くの兵士で守られている
空から見るに城壁の中は大きな家々が立ち並び、華麗に舗装され煌びやかな雰囲気をしている
俗に言う貴族街と言うやつだな
マスター様とミレイ様の知識を借りて言うなれば5つのシティーコアを使用しているのだろう
全く、王城までまだまだあると言うのになんと面倒な
私はすかさず転移魔法を発動し、一瞬で貴族街の中に侵入する
今までの私は分身を使った移動方法があるので転移魔法を使う気もなければ使う必要もなかった
しかしマスター様は「その移動方法で移動できない時様に」とこのスキルを下さった。しかもLv10でだ!
今がその時
私はすかさず
「無限増殖「蝿の王」!!!!!」
分身を大量に解き放った
「無限増殖「蝿の王」!!!!!」
念には念にともう一度発動する
貴族街も混沌に包まれた
転移の際、1つの結界に多少の抵抗を感じたが此方はLv10だ、関係ない
Lv10クラスを止められる結界など今まで聞いた事無いからな
私はそんな事を考えながら王城を目指し、移動しようとすると黒いドームがあちこちに出来ているのが見える
なんと城壁の中を守る結界だけでは飽き足らず個人の家までも結界で守るのか、驚いたな
まぁ見るからに質の良い結界では無い為、魔道具や魔法使いの類
それならば放って置いても問題は無い、時期に魔力が切れるだろう
私は再び分身での移動を発動し、王城の目の前に移動した
して、どうした物か
王城を見ながら思う
城自体に特別な魔法がかけられており簡単に侵入出来ない上、王城そのものが1つの魔法を発動する構造になっている
転移魔法を発動し様にも一体幾つの結界で守っているのだろうか皆目見当もつかない
転移魔法を発動しても大丈夫だろうか?
私がそう悩んでいるとガタッガタッガタッと辺りが揺れ始める
なんだ?何かの魔法か?それとも数100年に何度か起こる大地の揺れか?
私がそう思っていると王城にかけられていた魔法の1部が剥がれそこから膨大な魔力が溢れ出す
私は驚きすかさず転移魔法を発動する
移動すると
「ナッハッハッハッハッ!!さぁ!!!!一緒に死のうぞ!!!!!」
巨大な舌に腹を貫かれながら高笑いをしている男が膨大な魔力を垂れ流しながら何やらヤバそうな魔法を発動しているでは無いか
私はすかさず男の背後に駆け寄り腕で男の心臓を貫く
「ガハァ?!?!」
男が苦しみの声を上げると建物の振動が収まり、ヤバそうな魔法は消えてなくなった
ふう…これならば大丈夫か
私は貫いた腕が握っている男の心臓と繋がれた魔道具が砕けるのを見て安心する
「困るんですよ、そう言う事をされますと」
私は男の身体から腕が引き抜き心臓と魔道具を投げ捨てる
「ガバァッ!!………だ………れ…だ」
………誰、ですか
昔の私ならば「暴食を司る特級悪魔」だとか「最強の悪魔」だとか言っていましたが、今は単なる駒使い
そうだな…あえてだ、あえてでこう言おう
「…しがない通りすがりの…悪魔ですよ」
これは謙遜と言うやつだ、私も実に大人になったものだ
私は自身の成長っぷりに感銘を受けながら向き合う
「………ところで何故、あなたがここに?」
確か彼は…キングトロールだったか?私が断った実験の実験台だったはず
何故此処に?私よりも先にどうやって王城に?
………分からない
私が悩んでいるとキングトロールもどうして良いか分からない様で大人しくしている
………まぁ放置でいいでしょう、身内である事には変わらないはずですしね、たぶん
私は方向転換し通路を出て城の中を進む
何はともあれ王城の中に侵入出来たのだ、計画の方を
私がそう思っているとズシンっズシンっと背後から音がする
「………なんでしょうか?」
背後を振り返るとキングトロールが私の後をついてきていた
私がそう聞くとキングトロールはボーッとしている
………私の言葉を理解しているのだろうか
まぁそこまでの知能、トロールにはない
「ついてきたければついてこい、我々で国の中枢となっているコアを見つけるぞ」
私がそう言うとキングトロールはあっさりとついてくる
…私は無言のまま歩き出した
………
まぁ無限増殖「蝿の王」を使えばすぐなんだがな
王城内で無限増殖「蝿の王」を発動し城の中を調べさせる
怪しい場所は直ぐに見つかった
一見すると何もない通路だが妙に煌びやかであり広く他の部屋から妙に間隔が開いている
触れると分かる、見えなくなっている大きな扉があるのだ
私はその場所に移動し、扉を蹴破る
扉の中には何十、何百と言う結界に守られた巨大なコアがあった
私はすかさずミレイ様に通信魔法を発動する
『はい、なんでしょう』
直ぐに連絡がついた
「お疲れ様です、ミレイ様。予定通りに国の中枢コアを発見致しました」
私がそうミレイ様に告げると
『かしこまりました。直ぐに向かいますので少々お待ち下さい』
ミレイ様がそう言い通信魔法は切られる
………
どれくらいで来るのだろうか
「お待たせしました」
思ったよりもすぐに来た
私は頭を垂れ、膝をつく
「お待ちしておりました」
私は直ぐにそう答えた
…凄いな
素直にそう思う
このミレイと言う女、レベルが違う
スキルを貰った今だからこそ分かる
転移魔法を使ったはずなのに魔導残留が一切無いではないか
転移魔法を発動すると必ず発生する魔導残留
転移魔法は空間を歪めて繋ぐ魔法だ、その痕跡は必ず残る
魔導残留を調べればどの方向から、どのくらいの人が来たのか調べる事が出来る
それが一切無いとは…凄いな
「おーすげ〜、これがアランベルト王国を管理しているシティーコアか」
マスター様の声が聞こえる
私は頭を上げると、そこには3名の人がいた
………3人?
私は疑問に思い見知らぬ男を見る
1人は当然ながらミレイ様、そしてマスター様
もう1人の男は私と同じ執事服を着た男だ
誰だ?
「では早速」
私が疑問に思っているとミレイ様が結界に近づいていく
バチンッ
ミレイ様が軽く手を伸ばすと結界に弾かれている
「ほう?…この私に抵抗しますか………上等!!!」
ミレイ様が両手で結界を鷲掴みにする
「この私を誰だと思っているのですか!覚悟しなさい!!人の手に落ちたその下劣さその身で償わせてあげます!!!」
ミレイ様は高笑いを上げながら結界を次々に破壊していく
………怖い
ミレイ様から目を晒し、マスター様を見ると
「なぁ〜桜、あれってどう思う」
マスター様は執事服の男と話している
「どうとは?」
「いや、ミレイさんのあの…なんでもない」
「そうですか」
「うん…ん?あのコアの下にある扉はなんだろ?」
マスター様がなんとなく見たコアの下に扉を見つける
私も今気づいた
「複数の生体反応を感じます。結界の状態を見るにこの国の国王でも隠れているのでは?」
ピンク髪の男はマスター様にそう答える
生体反応?
私もスキルを発動する、見づらいが確かに数十人の生体反応を感じた
「ん?なんで?普通に逃げるだろ?」
マスター様が疑問を浮かべている
「国を管理するコアを失ってしまいますと国としては成り立たなくなります。また、城には不燃の魔法と破壊困難の魔法がかけられておりますので早々に城が破壊される事はありません。逃げるのは本当に危なくなった時やコアの近くにいられない時、どちらかと言いますとコアの結界の中に隠れた方が安全なのかと」
私も会話に混ざる
「ほぉーなるほど、国のトップは色々と大変なのな」
マスター様は納得した様に何度も頷いている
「所でなんで此処にキングトロールが?」
マスター様は近くにいるキングトロールを見て首を傾げている
「私が王城に着いた時にはもう居ましたが」
「え?マジ?どうやって来たんだろ?確かあのキングトロールにはダンジョンに向かって来ていた奴らを襲わせてたはずなんだけどな…」
マスター様は納得出来ない様で何度も首を傾げている
すると
「マスタ〜終わりました〜」
ミレイ様の声が聞こえる
ミレイ様を見ると全て結界を破壊し剥き出しの状態になったコアが
「おーありがと、そんじゃよろしく」
マスター様がそう答える
「かしこまりました」
ミレイ様がコアに軽く触れると、コアに無数の線が刻まれる
「貴方は今よりマスター様の一部にして我々の一部となります。跪きなさい、頭を垂れなさい。人の味方をするのは辞めなさい。貴方は今より本来の使命を全うし、神の元に戻りなさい!!!」
コアが一瞬、強く光輝くと消えてなくなった
消えた?
「終わりました。これにてアランベルト王国の所有する全国土その全てがダンジョン内に統合されます」
ミレイ様は落ち着いた声で言う
「マジで?!」
マスター様は大変に驚いている
「マジです。どうやらこのコアは通称をキングコア、マスターの想定通りにシティーコアを管理する機能があった様です。キングコアを統合した事により管理権、その全てを剥奪。結果としましてはアランベルト王国内の全てのシティーコアの管理権の剥奪、統合に成功しました」
ミレイ様のその説明を聞いて呆然としてしまう
国1つがダンジョンになっただと!?そんな馬鹿な!?
私が驚きの余り動けないでいるとミレイ様はマスター様に近づいてくる
「マスター、私頑張りました。頑張ったんですよ」
先程とは打って変わり甘えた声を出すミレイ様、彼女の本性を知っている身としては恐怖心が勝つ
「あ、うん。ありがとミレイさん、じゃあ…これでいい?」
マスター様はスキルから…茶色い…袋?皮袋か?いや…紙?袋を取り出した
ミレイ様はすかさず受け取り袋の中身を漁る
中からは茶色?のあれは菓子か?が出て来た
「………これは?」
ミレイ様が手に取り不思議そうにマスター様に質問する
「カヌレってお菓子、プリンが好きなら好きだと思うよ」
やはり菓子の類か
「それは楽しみです!!!」
ミレイ様はそう言われると茶色い袋を抱きしめて嬉しそうにし始めた
………
なんだろうこれ
国1つをダンジョンにしたのだぞ?そんな話聞いた事もない
歴史的偉業を成し遂げたと言うのに…その褒美が焼き菓子?
私が再び呆然としているとキングコアの下にあった扉がガタガタと揺れ出す
「そこにいる者は誰だ!?一体キングコアに何をした!?いいかそこから動くなよ!直ぐに神の鉄槌を喰らわせてやる!!!」
扉の中から声が聞こえる
どうやら管理権とやらが奪われたのに気付いた様だ
「覚悟しておけ!!!貴様らはどんな手を使っても徹底的に調べ上げ一族郎党、その末端に至るまで皆殺しにしてやる!!!!!」
扉をドンドンと叩きながら叫び声を上げている
どうやら鍵かなんかで塞いでいて、中々開かない様だ
「………神の名を語りましたね、マスター殺しましょう」
マスター様から貰った茶色い袋をスキル内に仕舞い、再び冷たい目になったミレイ様がマスター様に聞いている
「…国王の可能性が高いんだろ?だったら何かに使えるだろ?それに色々とやりたい事あるし…」
マスター様はどうやら乗り気でない様だ
「ですが!!!」
「まぁ待ってちゃんと殺すから…そうだ、ベルくん王都って今どうなってる?」
マスター様が突然、声をかけて来た
「は、はい!王都は今、マスター様の命令通りにパニックに陥っております」
私は素直に答える
「それじゃあ、手始めに王都の人達をDPに変えるか。ベルくん頼める?」
「はい!!!かしこまりました」
私は直ぐにキングコアのあった部屋から出ようとすると、キングトロールも動き出す
………着いてくる気か?
私はマスター様を見る
「ん?よくわかんないけどキングトロールも行きたいのか?まぁ良いか、ベルくん頼める?」
「は、はい!かしこまりました!!!行くぞキングトロール!!!」
私はキングトロールを引き連れて部屋を飛び出した
………
キングトロールを引き連れて王城から飛び出す
すかさず私は分身達に命令を下す
内容は単純、殺せと
王都中で暴れていた分身達はその命令を聞き、より一層暴れ出す
手足ではなく首や足の太い血管を、口や耳から体内に侵入し皮膚を食い破る
物凄いスピードで分身達がどんどんと絶命させていく
実に素晴らしい
私はふと横を見るとキングトロールが、めいいっぱいに口を開いていた
何をする気だ?
キングトロールの口に光の集合体が集まるかと思うと光の線が打ち出される
打ち出された光の線は城壁を吹き飛ばし、外壁を吹き飛ばし飛んでいく
これは!?!!?
神級魔法の「煉獄」!?!!?
馬鹿な!!!どうやって
しかもレーザー状態で打ち出しただと?!!?!
そんな馬鹿な
私が呆然として見ているとキングトロールに複数の口が出来ていく
その複数の口全てに再び光の集合体が集まっていく
何度も打てるのか!?!!?
ふっ…ふっふっふ
面白い!!!!!
私は走り出した
キングトロールなどに負けてたまるか!!!!!
久々の投稿です。なんかだかとても長くなってしまいました
ピンク髪の執事服の男は一体!?
名前は桜、一応新キャラです




