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最恐のダンジョンマスター〜殺戮記〜  作者: TATUJI
第1章 アランベルト王国編
35/56

35話 問題発生




side 宮廷魔導師長、ザクリス・ソート



2台の魔車を街道の脇に止め、開けた場所で野営をする事になった



結局、あの後。ハロルド達は魔動車から出てくる事も私を中に入れてくれる事もなかった



冒険者共の野営の準備が終わった頃合いを見て、焚き火の前に敷物を敷いて座っているシュナ殿に声をかける



「あれ?魔導師様?どったの?」



この女は通称「灼熱のシュナ」



真っ赤なボサボサ髪と燃えるような赤い瞳、赤を基調とした装備をしている全身赤色の女だ



王都にある戦闘ギルド「魔剣の誓い」の上級冒険者であり、今回参加している冒険者達のリーダーでもある



当然ながら「上流階級(ジェントル)」とは別だがな



「いや何、私もお主達と一緒にいても()いかな?」



冒険者の中には貴族や王族に対して不信感を抱いている物が多い、その為に 下手(したて)に出ておく



こう言う小さな事をコツコツとやっておくと後々助かるのだ



「良いかと聞かれたら当然良いのですが、上級冒険者と言っても我々はただの平民。飯も粗末な物ばかりです。それでもよろしいですか?」



シュナ殿の前にある焚き火に大きな鍋を置き、ドロドロとしたスープを調理しているジル殿が聞いてくる



この男は「冷徹のジル」



青色の髪と青い瞳のつり目が特徴であり、青と黒色の装備をしている



シュナ殿の弟であり、彼も上級冒険者である



2人共、見た目からして人間だろう



「ああ、大丈夫だ」



私がそう言うと、シュナ殿が敷物を渡してきたので



敷物をシュナ殿から少し離して座る



あまり近くに座るとそう言ったことを要求していると勘違いされるからな



冒険者の女など汚くて触りたくない



「…………言っておきますけど、味の保証はできませんよ」



ジル殿は断られると思っていたらしく、驚いた様に聞いてきた



「何、心配せんでも良い。貴族と言っても元はただの平民、高級品ばかりでは飽きがきてな、時たまこういった料理が食べたくなるのだ」



「へぇー貴族様にもそう言った気持ちってあるんだね〜」



ある訳無いだろが!!!



今は少しでも貴様らに気に入られる必要があるため食べるだけだ



この私が、こんな料理とも言えないゴミを好き好んで食う訳無いだろう!!!



そんな会話を2人としていると



「あれ?なんで魔導師様がここに?」



声がするので私は振り返る



背後には大量の薪を両脇に抱えている、2mは軽く超える筋肉質の大男「不動のゴードン」と



華奢でヒョロヒョロ、どこか頼りなさそうな見た目で先程まで魔車の御者をしていた「何でも屋のジョー」がいた



「ああ、私もお主達と一緒させてもらおうと思ってな」



「へえ?なんでまた」



そう言いながらジョー殿は私の隣に座る



ゴードン殿はひと言も話さず、薪を何処かに持っていった



「色々とあるのだよ」



ハロルド達に追い出されたなどと、そんな事、口が裂けても言えるか!ここは言葉を濁すしかない



私がそう言うと「はぁ〜色々ね〜〜」とジョー殿が溢す



「…そう言えばもう1人の「シルかい?」そうそうシル殿はどこに?」



私は辺りを見回す



最後の1人、緑色の髪をした()()()()()()()()()()()()()()()()長身の女、「疾風のシル」



この5人が今回、依頼を受けてくれた戦闘ギルド「魔剣の誓い」の上級冒険者達である



「シルならどっかで吐いてるよ」



シュナ殿がなんでも無いように言ってくる



「それは大丈夫なのか?」



「大丈夫だと思うよ?昨日、酒を飲み過ぎたのとシルは魔車に弱いから」



なんだ、ただの魔車酔いと二日酔いか



全く心配させおって、いざという時戦えないのでは私が困るでは無いか!



これだから平民の冒険者は!!!



「…そう言えばずっと気になっていたのだがお主たちは上級冒険者だろ?その気になれば貴族になれるはず。なる気は無いのか?」



上級冒険者は1代限りだが、条件次第で貴族になる事が出来る



上級冒険者を貴族にする事によって国としては、地位とギルドで国に縛り付け優秀な戦力が他国へ流出しないように妨げる事ができ



貴族としては、戦力の為に余っている娘、息子を上級冒険者に充てがい柵によって縛ったりする



産まれてきた子に一族の血が流れていれば利用価値も出てくるしな



他の貴族に下山の出だとか地位を汚い手段で手に入れたクズ呼ばわりされてしまうが難点だが



「私らは貴族になる気は無いな〜〜考え方も合わないし、あんまりいい思い出はないからさ」



「そうなのか?」



「まぁ「魔剣の誓い」だからね、よく狙われるんだよ」



それを聞いて私は納得する



戦闘ギルド「魔剣の誓い」にはあるルールが存在する



それは魔剣を所有している事、しかもただの魔剣ではない



()()()()()()()()()をだ



ダンジョン産の魔剣は普通の魔剣とは全く違う



人の手により生み出された人工の魔剣は言うならば、ただの強い武器



製作者の力量によって差が生まれ、製作者の実力以上には決してならない



その点、ダンジョン産の魔剣は違う。ダンジョン産の魔剣は生きており、成長する



使用するたびにどんどん馴染んでいき、スキルとは逸脱した特別な力を使う事が出来る様になるそうだ



そんなダンジョン産の魔剣がギルド加入に必要である「魔剣の誓い」



犯罪者や貴族によって度々狙われている



ダンジョン産の魔剣は滅多な事では手に入らない



()()()()()()()()()()()()()()でさえ3ヶ月に1本しか生み出さない



3ヶ月に1本だから奪い合いだ。毎回魔剣を求めて数多くの死傷者が出ている



危険な目にあうよりも、人から奪った方が確実であり手っ取り早いと思うのだろうな



「…あの、私は貴族に憧れていますというか、なりたいと思ってます」



シュナ殿との会話を横で聞いていたジョー殿が口を挟んでくる



「ジョー殿は貴族なりたいのか?」



先程のシュナ殿の説明では全員貴族になる気は無いと言っていたが



「私とジル、ゴードンとシルはいつも一緒に仕事してるけど。ジョーだけは別さ」



シュナ殿が言う



「ふむ?ジョー殿だけは別とは?」



「ジョーは2つ名になっているくらいなんでも出来るからね、仕事の度にあちこちから誘われるんだよ」



なるほど、だから「何でも屋」で、多くの人と関わっているから1人だけ考え方も違うのか



「あー…マジ無理…2度と魔車乗んない」



2人とそんな話をしていると、いかにも顔色の悪そうなシル殿が戻ってきた



「おかえりシル、大丈夫?」



「無理」



シル殿は焚き火に近くと、敷物を何処からか引っ張り出して寝転がる



「シルさん、もう少しで出来ますけど食べれます?」



「…………ちょっとだけ貰う」



ジル殿が寝転がっているシル殿の体調を考慮して作る量を調整をしている



こんなのが本当に上級冒険者なのか?



「…あーん?…なんで魔導師がここにいんのよ」



私が怪訝な顔をしているとシル殿が寝転がりながらチラリとこちらを見て聞いてくる



「なんだ?私がいたらダメなのか?」



私がそう答えると



「…………ダメじゃ無いけど〜…貴族は嫌い」



シル殿はそう言いながら反対方向に寝転がってしまった



なんなのだ?この失礼な女は



「まぁそう言わんでくれ、少しの間だがお主らと共にするのだ。よろしく頼むぞシル殿」



私がそう言うと



「…………私の名前はシルフィン。間違えないでください」



そう答えてきた



…………なんなんだ、この女は?



折角この私が愛想よく接しているというのに、なんだその態度は!



私がシル殿を睨みつけていると



「ごめんよ魔導師様、気分を悪くしないでよ。シルは気に入った相手にしかシルって呼ばせないんだ」



シュナ殿が間髪入れず、弁解してくる



…………まぁ良い、今は許そう。



ただ、この仕事が終わったら覚悟しておくんだな、シルフィン殿



「ええっと、料理が出来ました」



少し悪くなってしまった空気を和ませようとジル殿が割って入ってくる



何処かに行っていたゴードン殿も戻ってきていた



その日の晩はシュナ殿達とどうでもいい世間話しをし、クソ不味い料理を食べた



「そうか、シュナ殿とジル殿の魔剣は両親から受け継いだのか」



「そうだよ、2人共もう死んでいないけど結構有名な冒険者だったんだから」



「ゴードン殿は一言も話さんな」



「ゴードンは人見知りだから」



「ジル殿、この料理はなんと言うのだ?」



「………え?…えっと…なんですかね?…シチュー?かな?」



なんとも言えん会話ばかりだったが、多少の点数稼ぎは出来たと思う



「じゃあ、魔導師様は男達用のテントで寝てね。一応、ジル達には起こさない様に注意させるし、しばらくの夜番は男達にさせるから」



シュナ殿の説明を受け、本日の寝床につく



何故この私がこんな冒険者が寝泊まりする様なチンケなテントで一晩を過ごさなければならんのだ!



しかもなんだこのテントは!貴様ら上級冒険者だろ!魔法が付与されているテントや魔道具のテントだって買えるはずだ!



棒切れの柱とそこから伸びる紐に布をかけただけの安物のテントではないか!



「………何から何まですまんな、また明日もよろしく頼む」



憤慨する気持ちをなんとか抑えてシュナ殿に礼を言う



今は冷静にだ、冷静に



全部終わったら命をもって償わせればいいだけの事



冷静に、冷静に



「わかってるよ。じゃあ朝になったら起こしにくるかんね。おやすみ」



シュナ殿は焚き火に戻っていく



「…はぁ」



私は小さくため息をついて眠りについた



〜〜〜



〜〜





「魔導師様、起きて起きて」



身体を揺さぶられて眼が覚める。私を起こしに来たのはシュナ殿のようだ



クソ、寝た気がしなくてイライラする



上体を起こし、テントの出入り口から外を見るとまだ薄暗かった



「…………どうしたシュナ殿、まだ予定の時間より早いではないか」



私がそう言うとシュナ殿は罰が悪いと言った顔になる



「…………ちょっと問題が」



「…問題だと?」



一体何があったと言うのだ?



「…………貴族達が何処にもいないんだよね」



「…は?」




注釈


フィアリスに生まれたハーフは種族特性もスキルを習得する事も出来ませんでした


しかし、時代と共に様々な血や種族が混ざり合い。いつしかほんの少しの種族特性と普通の人よりは倍以上の時間がかかりますが、スキルを習得できる様になっていきました


そんな中、新種族であるユニークスキル持ちが生まれる様になり


ハーフなのに特別なスキルを持っていないのかと、ハーフは能無し(能力無し)と呼ばれる様になりました

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