26話 絶望の始まり2
side白騎士長、ゼパイル
町が割れた…だと?!
「一体どうなっている!!!」
通りが割れたために地下が見える。町の下は巨大な空間になっていた
もう訳が分から無い
何故こうも簡単に足元が崩れるのだ!地盤はどうした?地下は?下水道は?どこに行ったと言うんだ!!!
パニックになり頭の中を様々な疑問と文句が行き交う
「ゼ、ゼパイル様!」
はっ!
リーゼルトの声を聞き、何とか冷静さを取り戻す
リーゼルトは魔物から降りていた
私も魔物から降りてリーゼルトのもとに行く。私の行動を見て動けずにいた他の騎士や兵士も集まってきた
町を見ると町は地獄とかしていた
大きく立派な建物は次々に倒壊していき、地下の空間に飲まれていく
建物があった場所には巨大な穴が開き、そこからまた罅が走っていく。そして新たな建物を倒壊させて行く
「なんなんだ一体」
私は町を見ながら思う
これが私が今まで守ってきた町だと言うのか!!!
「ゼパイル様!どうしますか?!」
リーゼルトが聞いてくる。かなり慌てている様子だ
クソっ!せめてリーゼルトだけでも逃さなければ
そう決心するが
ズゥゥゥゥゥゥンンンッ!!!!!!!!
再び振動が響く。巨大ゴーレムは城壁沿いに移動を開始していた
その振動が町に響く度、町の崩壊は悪化していく
ゴーレムの狙いはこれだったのか!!!
私たちのいる場所も視界の先でゆっくりと地面が盛り上がっていき、大きく傾き始める
私はリーゼルトを抱え剣を地面に刺す
「…ゼパイル様?」
「皆の者!なにかに捕まれ!!!…落ちるぞ」
我々のいる場所は区域ごと地下に落ちていった
「ぎゃー!!!」
リーゼルトが叫ぶ
クソっ!なんなんだこの穴は!
町の下には巨大な、町1つ飲み込める様な大きな空間が広がっていた
穴の底には大量の水と先に落ちた瓦礫が山になって連なっている
このまま落ちたら死ぬ!何か手は
なんとか状況を打開する術はないかと考えていたが
私たちと一緒に落ちていた区域が突然、砕けちった
「なんだと?!!」
そのせいで剣が抜け、私はリーゼルトと共に吹き飛ばされる。他の騎士や兵士も散り散りになってしまった
どこから攻撃されたのか!?
吹き飛ばされながら辺りを見回と犯人がわかった
「クソっ!冒険者か!!!」
私達だけで無く、区域ごと落ちて行く者があちこちにいる
彼らは生きようと、死にたくないと努力し邪魔な瓦礫を吹き飛ばしている
しかし、自分たちのことしか見えていない
吹き飛ばされた瓦礫は別の瓦礫にぶつかり飛んでいき、また別の瓦礫にぶつかる
その連鎖で地獄とかしていた
上から下から前から後ろから、瓦礫が飛んでくる
瓦礫は縦横無尽に飛び交い凶器とかしている
普段なら気にもしない小石が、今は敵兵が放つ魔法よりも恐ろしく感じた
しかしそれだけではない
「ゼパイル様!!!下です!」
リーゼルトの声に反応し下を見ると水面に叩きつけられた
ドッボォオン!!!
大きな水飛沫が上がった
「ゴボッ?!!」
水の中は幸いにも何もなかったが水により強い衝撃を受けたため、意識が飛びそうになる
…いかん!
意識が飛ぶ前に体を無理矢理動かし、なんとか瓦礫の山にたどり着くことができた
「ぜぇ…ぜぇ…無事か?リーゼルト」
「はぁ…はぁ…なんとか、ゼパイル様!危ない!」
リーゼルトが私を庇い、空から降ってきた瓦礫にあたる
リーゼルトの頭から大量の血が舞った
「リーゼルト!!!」
空中で縦横無尽に飛び回っていた瓦礫は、掠っただけでも大怪我をするような威力になっている
それがまるで雨のように降ってきていた
クソっ!瓦礫を避けながら倒れたリーゼルトを抱え、瓦礫を避けれる場所に移動する
心許ない場所だが近くにあった
そこでリーゼルトの容体を確認する
リーゼルトは頭から血を流し意識を失っていた
そうだ!ポーションを!
腰につけていたポーション入れを漁るが、水に落ちた時の衝撃で全てが割れていた
クソ!そうだ!教会の連中なら!
教会の連中なら治癒魔法が使えると思い、辺りを探そうとする。が、私たちのいる場所に倒壊した大きな建物が落ちてきてまた吹き飛ばされた
吹き飛ばされる際に頭を強く打った様で意識を一瞬、失っていた
痛む体を無理矢理動かして身体に降り掛かった瓦礫をどかす
なんとか這い上がり、辺りを見回すが…リーゼルトはどこにもいなかった
「…クソ!クソ!クソォォォォォ!!!」
あまりの怒りに咆哮する
なんなんだ!一体私たちが何をしたというんだ!
私は怒りに身を任せる叫び続ける
すると
「ゼパイル様」
慌てて振り返る。もしかしたらと
しかし、その声の主はリーゼルトではなく1人の騎士だった
「生きておられましたか!ご無事でなによりです!」
それから続々と騎士や兵士が集まってきた
皆なんとか生きていたのか
集まってきた者たちを見回す…しかし、そこにリーゼルトの姿はなかった
私は上を見上げる
…どうやら町のほとんどが穴に落ちたようで、瓦礫はもう落ちきっていた
見える感じからいつのまにか穴の中央の方に落ちていたようだ
巨大な穴は、町の城壁に沿って綺麗に掘り進められている。城壁の1部も穴の中に落ちていた
もしこの穴が町と同じ大きさで掘られたのなら…9割以上が落ちたことになる
そう考えると私はショックのあまり、膝をついてしまう
「ゼパイル様」
騎士の1人が手を差し伸べてくる
その手を受け取り、無理矢理立ち上がる
脚に力が入らなくて笑えて来る
「…すまない…何人生き残った」
「現在、ここにいるのは騎士20名、兵士32名です。死んだと思われるものは両名合わせて100名以上、残りは不明になっております」
「そうか」
先程まで300名以上いた私の部下が経った50名余りになってしまったのか
「…よし!お前ら!これより我々は!?!!?」
生き残ったものを元気つけようと、再び鼓舞をしようとする
しかしその瞬間、訳の分からない悪寒と恐怖が全身に走った
慌ててその方向見る部下達も感じたようで全員がその方向を見ていた
巨大なゴーレムが穴を覗き込んでいる
違う!!!
あれじゃない!あのゴーレムの向こうに何かがいる
「…全員よく聞け!我々はどうにかしてこの穴を登るぞ!全力でだ!」
「「「「はっ!」」」」
今のは普通じゃない!ようやく理解できた
私たちは戦わなくてはならない何かと戦っていたんだ。何があっても殺さなくてはなら無い何かと
「全員武器を構えろ!障害となるものは全て破壊しろ!市民は出来るだけ助けるつもりだが、今はあの化け物が先だ!私に続け!!!」
そう言って私は走り出す
地下に張ってあった水は瓦礫のおかげでほとんど無くなっていた。おかげで穴の端にたどり着けそうだ
最初の方に落ちてしまった人は水と瓦礫に埋もれて死ぬかもしれない
すまない
瓦礫伝いに走っていくと意外と多くの人が生きているようだが、大半が瓦礫の下だ
助けを求める声があちこちからするが
すまない
私たちはあのゴーレムと何かを殺さなくてはならないのだ
振り返らず、走り抜ける
しかし
ドォン!
私たちの前に何かが降ってきた
ゴーレム?
降ってきたのは通常サイズのゴーレムであった
手に武器を持っている以外、戦場などでよく見る普通の人工型のゴーレムだ
ゴーレムが武器を持つだと?
「ぎゃあああ」
悲鳴が聞こえた為、振り返ると兵士の1人が瓦礫の下から出てきたゴーレムに腹を串刺しにされていた
瓦礫のあちこちが盛り上がり瓦礫の下からゴーレムが、空中に突然現れたゴーレムが空からと次々に現れた
…一体何体いるんだ
視界に入るだけでも50体は超えている
ゴーレムに気を取られていると
「危ない!!!」
上から猛スピードで降ってきた城壁の1部を叩っ斬る
巨大ゴーレムめ!城壁を投げやがったな!
「巨大ゴーレムが投げてくる城壁に注意しながらゴーレムを破壊しろ!コアなど気にしなくていい!とにかく破壊すんだ!!!」
そう部下達に命令し兵士を串刺しにしたゴーレムに斬りかかるが
剣によって受け止められた
なんだと!?
慌ててゴーレムから離れる。今の動き…馬鹿な!ゴーレムが剣を使っただと!?
ゴーレムは基本的に攻撃が遅くゆっくり動くはずだ!それなのに私の剣が受け止められた?!
ゴーレムがこちらに突進してくる
早い!!!
私は咄嗟に剣に魔力を流す、剣は炎に包まれた
「炎剣!菊一文字!!!」
この技は、私の一族に代々伝わる技だ。本来なら横切りに鋭く切れるだけの技だが、私には魔剣『炎剣のブレッタ』がある
菊一文字と相まって高温になった剣がどんな物だろうと切り裂く。この技で私は白騎士にまで登りつめたのだ
ゴーレムが剣ごと真っ二つになり倒れる
ゴーレムに近づくと、ゴーレムの中で白ものが動いていた
私はそれを切り倒す
そして気づいた
「スケルトン…だと?」
ゴーレムの中からスケルトンが出てきたのだ
…そういうことか!
スケルトンという魔物は人の骨が魔物化したものだ
スケルトンは生前の記憶を身体で覚えいる個体がいる。そういう個体は武器を扱うことができるのだ
この世で1番死ぬのは冒険者と兵士だ。仕事は命をかけるものばかりだし、訓練だって運が悪ければ死ぬ
そのせいでスケルトンのほとんどが武器を扱える。未練が多く魔物になりやすいんだろう
しかし、スケルトンの唯一の救いは骨でできているところだ
骨は砕けばいい
足腰を砕けば立てないし、手を折れば武器は持てない。首を折れば頭しか動かない
スケルトンは倒しやすい魔物なのだ
そしてゴーレム。ゴーレムは身体の全てが土でできているため、とても硬く重い
その為、1撃1撃の威力が強い代わりに遅いのが特徴だ。なのでゴーレムは武器を扱わない
ただでさえ遅いのに武器など持ったらさらに遅くなるからだ
だがこのゴーレムは2体の魔物の利点だけを活かしている
スケルトンを軸にして武器を扱えるようにし、ゴーレムで覆うことでスケルトンの弱点の骨の脆さをカバーしている
言わばゴーレムの鎧を着たスケルトン兵士だ
もしかしたらここいにるゴーレムは全てが同じ作りなのかもしれない
私は周り見渡す。10体以上のゴーレムに囲まれていた
部下も思い思いに戦っているが複数のゴーレムを同時に相手にしているため、なかなか倒せていない
なんとか合流しようとすると巨大ゴーレムから城壁の1部が飛んでくる
増援の期待はしない方がいいみたいだな
私は剣に魔力を流す
炎は今までで1番強く燃えている
あまりの理不尽さに笑えてきたな
「はっはっはっ!…かかって来い!化け物共!!!」
私はゴーレムの中に突っ込んでいった




