24話 復讐者とリック
※胸糞展開?あります、ご注意を
死体を捨てに行くと言う描写がありますが、世界観と時代を合わせた為にこの様な言い方をしてます。ご容赦ください
ゼン爺はこれ以上光神教について教える気が無いみたいで、黙り込んでしまった
少々気になるが光神教の事は諦め、教会については別の角度から聞く事にする
「教会は他にどんなことをしているんですか?」
「ん?…そうじゃの…後は…先程も言った墓山とかかの…」
「教会が管理している山でしたっけ」
集団墓地で姥捨山の
「そうじゃ。先程も言った通り死体は魔物の格好の餌じゃし、魔物になってしまう。じゃから教会の管理している墓か墓山に捨てることが決まっているんじゃ。しかし、大半の奴が墓山に捨てる。教会が管理している墓は高く金持ちや貴族しか捨てられん。しかしの、それだとかなりの数が墓山に入る事になる。じゃから教会は協力して墓山になっている山を結界と聖魔法で覆っているんじゃ」
「結界と聖魔法で覆うですか?」
「そうじゃ。そうすることにより死体を漁る魔物は近づけず「アンデット」は外に出れなくしたんじゃ」
それだと墓山は「アンデット」の巣窟になるんじゃないか?
そんなところに年寄りを捨てに行くだなんて事実上の殺処分だろ
「それに「アンデット」や死体は病気をばら撒くからの。墓山には助かっておるわい」
死体は病原菌にとっては格好の住処だもんな。昔はそれで伝染病が恐ろしく広まったと聞いた事がある
と言うかこの世界にも病気があるんだな
「…協力してやっているんですか?教会は仲が悪いのでは?」
「時と場合によるな。山1つ覆う魔法じゃ1つの教会での管理は無理なんじゃろう。それに仲が悪いのは上層部や上の連中で下の方はそこまで気にしておらん」
「なるほど」
いざとなったら教会は上の命令を無視して手を結ぶ可能性もあるって事かな?
だったら何で信者の面倒しか見ないんだろう?何かあるのかな?
兎に角覚えておくか
「それと…そうじゃな、復讐者も教会の管轄じゃな」
「復讐者?」
復讐者ってリックが言っていたコルクボードの前にいた3人組の事だよな?
「復讐者とはな…そのままの意味じゃが、復讐する者じゃ。魔物の中にはなゴブリンや『オーク』、『オーガ』と言った人型の魔物がおる。そ奴らはな…人と交配出来るんじゃ」
「人と交配」
「人型の魔物はな、人との間に子を成すことが出来る。その為に時々、村や町を襲って女子を攫うことがあるんじゃ。自分たちの仲間を増やす為にな」
「そうなんですか…」
その方法ならDPを使わず魔物を増やせるんじゃないか?
ダンジョンに戻ったら人型の魔物のDP調べてみるか
「まぁ当然、女子を連れ去られたと助けて欲しいとなギルドに依頼が来る。そして依頼を受けた者が討伐に行くんじゃがな…ほとんどが間に合わん。しかしの、運悪く生きておる者が時々おる。そう言う者は大半が心を壊しているため。もう家族の元に戻っても普通には生きられない。奴隷として売られるのが最後じゃな」
最後には奴隷として売られるとかこの世界は本当に夢も希望もないんだな…さすが創造神
「じゃがな、冒険者としても助けた女子がそんな扱いを受けるのは後味が悪いと…わしらは教会に泣きついたんじゃ」
「泣きついたですか?」
「そうじゃ。わしらとて助けた女子の面倒を見る余裕はない。しかし何とか出来ないかと、教会に頼み込んだんじゃ。教会なら世界中にあるしお布施で生活が出来ると思ってな。それによって教会は魔物や犯罪者に犯され心を壊してしまった女子を保護する様になった。そのおかげでそう言った女子が奴隷として売られることは無くなったんじゃ…しかし教会とて働かない者を養うことは出来ない、じゃから教会は時間をかけ保護した女子を教会の職員か復讐者にするんじゃ…復讐者の方が多いがの」
「復讐者は何をするんですか?」
「復讐者は簡単じゃ復讐をするんじゃ。ゴブリンに犯された女子はゴブリンを狩る。オークに犯されたものはオークを、犯罪者に犯されたものは犯罪者をとな。教会は心を取り戻させるために復讐心を駆り立てて、それに執着させるんじゃ」
「ああ、だから復讐者なんですか」
「そうじゃ。復讐者は皆が皆、顔に大きな傷をつけておる。それが復讐者の証じゃ、女であることを捨て復讐に身を委ねるとな…」
「だからあの3人には顔に傷があったのか」
しかし…教会も考えたもんだな。復讐心を駆り立てる事で復讐に走らせ、人をよく襲う人型の魔物を殺させる。そのことで教会の威厳や勢力は強くなり生き残りがいれば討伐しに行った復讐者が同情し連れ帰る。そして連れて帰ってきたものは、新たな復讐者になるのか
「男嫌いなのが難点じゃがな」
「それは仕方のない事ですね」
だから睨まれたのか
「でも何故このギルドにいるんですか?教会の管轄なのに」
「それは簡単じゃよ。目的の依頼が来るのを待っているんじゃ。魔物の討伐などはギルドに依頼が来からの、復讐者は復讐したい魔物の依頼をあちこちのギルドを回って集めているんじゃ」
「それは…色々と問題が起こりませんか?」
様は全く関係ない人がこの仕事をしたいからさせろって来る様な物だろ?
地球なら警察沙汰だな
「まぁ多少はな…じゃが復讐者は復讐しか興味が無いからの報酬などはギルドに置いていく。復讐の相手を殺して手に入れた金など汚くて使いたく無いそうじゃ、じゃからギルドは見て見ぬ振りをしてるんじゃな」
多少問題が起きたとしても金を置いていくから認めているのか
「復讐者同士で依頼を奪い合ったりはしないんですか?」
「いや、それはない。教会の仲が悪くとも復讐者は争わない。それどころか同じ復讐をする復讐者は手を組むことの方が多いぞ。そこにいる3人組もバラバラの教会から来ておるがいつも一緒におるし、討伐も一緒に行っておる」
ゼン爺はコルクボードの前にいる3人組を見てそう言う
「そうなんですか」
復讐者同士は仲良いいのか…なにか感じるものがあるのかな?
「教会はこんなところじゃな、他に聞きたいことは?」
「…とりあえずはこんなところですかね」
「そうか?やっと終わりかの?」
そう言うとゼン爺はニコニコしながら酒の入ったコップを渡してきた
話に夢中になっていて気づかなかったけどかなりの時間が経っていた
みんなかなり出来上がっている
「すげえ!あの嬢ちゃんもう5人抜きだぜ!」
大声がするのでそちらの方向を見ると
「次の挑戦者どうぞ」
ミレイさんが5人の男を飲み潰していた…あんた、なにしてんの?
「まぁまぁ、お前さんも1杯」
ゼン爺がすすめてくる
「あ、すみません」
ミレイさんのことは…見なかったことにしよう…ミレイさんどんだけ食うんだろう?町に来てからずっと何かしら食べている気がする
…龍の肝酒か、どんな味なんだろう
コップに口を当て、飲む
ゴフッ?!!!!?!
飲んだ酒は全部吹き出してしまった
「かっかっかっ。強いじゃろ?」
強いって、あんたな…俺はむせながらゼン爺を睨む、この酒、若い頃調子に乗って飲んだスピリタスと同じくらい強いぞ…どうなってんだ
「かっかっかっ。この酒はリーンヘント王国にある商家しか扱っておらんからな…特別なものなんじゃぞ」
知るかそんな事!喉と胃が焼けるように熱い…え?つーか、ここにいるやつら全員これ飲んでんの?馬鹿じゃない?ミレイさんこれで飲み比べしてんの?馬鹿じゃない?
「なーリック頼むよ」
噎せていると、リックの名前が聞こえてきた。そっちを見るとリックがゴツいおっさんに何か頼まれていた
「おう!いいぜ!といっても俺は融合させるだけだ!魔法は他のやつに頼んでくれ!そいつが駄目って言ったら駄目だ」
融合?…リックの種族特性か!
「…お前さん今から見るものは内緒にしてくれ。頼む」
ゼン爺がそう言いながら頭を下げてきた
「何がです?」
掠れた声しか出ないな
「…リックはな、生まれつきスキルが習得できない。そう言う体質なんじゃがな、スキルを習得出来ない代わりにユニークスキルを待っておる」
「ユニークスキルですか?」
「ユニークスキルはな、スキルを習得出来ない者が持つ常識からかけ離れておるスキルの事じゃ….ユニークスキル持ちは他のスキルを習得することは出来ぬ、その代わりに他のスキルとは比較にならない特別なスキルを持って生まれるんじゃ」
「それがユニークスキルですか」
それは完全に新種族の種族特性の事だな
種族特性はユニークスキルって呼ばれているのか…まぁ世界を作った神にすら理解出来ない物に呼称が付けられるのもおかしくないか
そう考えていると、リックがゴツいおっさんから剣を受け取り、掲げる
「誰か魔法を寄越せー!!!」
「ククのがいい!頼むクク!今度飯奢るからさ!!!」
ゴツいおっさんがそう言うとククと呼ばれた女性が出てきた
大きな帽子を被っており全身黒色の出で立ち。ガラスの結晶の様な物をいくつもぶら下げていて魔女って感じだ
「しょうがないわね…今回だけよ?高級店奢ってもらうんだから」
女性は手に稲妻を走らせる
「あれは、風魔法により生まれた雷魔法じゃ」
つまり風魔法の派生か
女性の手から稲妻が走りリックの掲げている剣に向かっていく、剣に魔法がぶつかる瞬間
「融合発動!!!」
リックがそう言うと剣が神々しく光る
シュゥゥゥゥゥ…
10秒程剣が光りその光が収まると剣から煙が上がっている
「成功だ!!!」
またギルド内は大歓迎に包まれた
「馬鹿者が…」
ゼン爺は忌々しそうに言う
「何ですか、今のは」
「魔剣を生み出したのじゃ」
「魔剣?」
「魔剣は魔法が付与されている剣の事じゃ、本来は凄腕の鍛治士かダンジョンくらいでしか見つからない。それをリックはユニークスキルで作ることが出来るのじゃ」
「大丈夫なんですか?それ」
凄腕の鍛治士やダンジョンでしか見つからない物を作りたい放題なんて…馬鹿げている。そんな使い勝手がいい物を金持ちや権力者が放っておくはずが無い
「駄目に決まっておる。魔剣は国に登録が必要な上に作れるものは特別な許可のあるものしか作ってはならないんじゃ。そういう法律がある」
「ならリックは」
「彼奴め、酔っ払って勢いで作ったな。あれほど代官に釘を刺されておるのに」
「代官にですか?」
「リックは剣と魔法があれば幾らでも魔剣が作れるからの。昔から奴隷商や犯罪者、貴族に狙われておるんじゃ。それから守ってもらうために代官に取り入っておる。定期的に兵士がリックの所に見回りに来るぞ」
ここでも代官か
「代官が守ってくれるんですか?」
「守ってもらう代わりに毎月、魔剣を1本を献上しておる。作りすぎると問題になるからの…それなのにリックめギルドの冒険者に頼まれるとすぐに作ってしまうんじゃ」
「なるほど」
ギルド員の仲がいいのも考えものだな
「マスター」
いつも間にかミレイさんが後ろに立っていた
「ミレイさんどうした?」
「帰りたいです」
ミレイさんをよく見ると血が出るくらいに手を強く握り締めている…殺したい新種族の種族特性を間近で見たから限界が来たかな?
「分かった。すまないゼン爺、色々と教えてくれてありがとう。金はここに置いていく」
取り敢えず金貨30枚あれば足りるだろう
「お、おう」
ゼン爺や他の冒険者が声をかけてくるが無視して出口に向かっていく。金も置いてきたため、無理矢理止められる様な事は無かった
ミレイさんを伴って外に出ると、いつのまにか夜になっていた。2人並んで夜の町を進んでいく
昼間は楽しげだった町並みは趣を変ており、酷く恐ろしく感じる
「…………マスター」
「何?ミレイさん」
「…前におっしゃっていましたが、知り合ってしまいました…殺せますか?」
「ん?…ああ、知ると殺し辛いって言ったやつか…大丈夫だよ、全く問題はない」
それが自分でもビックリするくらいなんとも思ってないんだよな…無だよ無
「…………本当ですか?」
「ああ、本当だよ。それよりゼン爺のおかげでいい方法を思いついたんだ」
俺がそう言うとミレイさんは嬉しそうな顔になり
「…信じていますからね、マスター」
身を寄せてきた
「ああ、楽しみにしていてくれ」
2人の楽しげな声が夜の町にどこまでも響いていった
注釈
この世界には平民向けの学校が無く、自分の名前すら書けない人が大勢います。マスターの様に一般常識すら知らない人が結構居る為、ゼン爺とリックはマスターに対し違和感なく教えてくれました。
次回より主人公、本気出します!タイトル通りになると思います。楽しみにしていてください
ゴブリンスレイヤー面白い




