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最恐のダンジョンマスター〜殺戮記〜  作者: TATUJI
第1章 アランベルト王国編
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17話 ポーションと貨幣




「いいかげんしなさい!私を誰だと思っているの!此処から出しなさい!」



これはどうしたらいいんだろうか…女の子がこちらに気づいたようでギャーギャー言い出したぞ



今、目の前にある少し大きめの檻の中には2人の女性が入れられている



1人は鑑定の結果から、メイドだろう。メイド服っぽいの着てるし



もう1人は…こっちが厄介そうだ



金髪色白くるんくるんのたて巻きロールに大きなリボン、服もフリルとリボンがたくさんついた高そうなドレスを着ている



2人共、両手両足が縛られた状態で目隠しをされている



「いいこと!わたしはハルバート家が4女、エリンザベートよ!覚悟しておきなさい!絶対に殺してやるんだから!!!」



どうしたらいいんだろう



「なんとかいいなさい!そこにいるのはわかっているわ!覚悟なさい!我がハルバート家は伯爵家よ!それにわたしは貴族ギルド「上流階級(ジェントル)」に所属してるんだから!わたしの仲間が大勢であなたたちを殺しにくるわ!覚えておきなさい!」



…ギルド?ギルドってなんだ?



「ミレイさんギルドってなに?」



「ギルドはですね、魔物を倒す自治団体の1種ですね?」



「自治団体?」



「魔物を倒す、狩るということは戦闘を意味します。戦闘に特化しているのはいつの時代も軍人です。しかし、大変危険な魔物ならともかく弱く数だけの魔物には軍は動きません。軍は国を守るのが仕事ですからね。そのために国は民間に魔物の討伐を任せました。それがギルドです。言わば我々の天敵ですね」



「…魔物を狩ることが専門の人達がいるってことか、猟友会みたいなものかな?貴族ギルドってのは?」



「…そこまではちょっと」



そう言ってミレイさんは申し訳なさそうな顔をする



「そうか、じゃあいいや」



まぁ、わからないなら仕方ないな



「なにをごちゃごちゃ言ってるの!はやくここから出しなさい!」



ごちゃごちゃ言ってるのは君じゃないか



俺は檻に手を触れ



「いいこと!もういっかいだけいうわ!わたしはハルバート家が4女!エリンザ」



めんどくさいからボックスにしまう



「どうするのですか?」



「まぁとりあえず持って帰る」



他の檻も次々とボックスに入れていく。みんな静かだな、唯一叫んだのあのたて巻きロールくらいだ



「とりあえず、これでもう人はいないかな?」



あたりを見渡す、檻があった場合は広い空間になっていた



俺は倉庫の入り口の方に戻り、そこにある大量の木箱を見て回る



大半の木箱は蓋が開かれており、中には沢山の果物、加工された肉、大量の小瓶に詰められた謎の液体や酒樽なんてのもあった…小瓶があるってことはガラス製品があるのかな?



小瓶を1つ取り出し、軽く振る。小瓶は1つ1つが手の平に収まる程しかなく、なんていうだっけ?三角形のフラスコ?みたいな形をしている



こんな香水入れがどっかで売ってたな…瓶は無色透明ではなく霞んだ色をしていた



「なんだろう、これ」



そう思いながら、蓋に手をかける。蓋はコルクだ、この世界にもコルクがあるんだ



コルクをつまみ、引っ張る…開かない



「?」



再度引っ張る。開かない、全然開かない、開く気がしない



そもそも前の世界でも缶か紙パックばっかりでコルクなんか触れたこともなかったし、触れたとしてもコルクスクリューだっけ?あれがあった



俺が小瓶で四苦八苦していると、ミレイさんが来て開けてくれた。一瞬だった



「…ありがとうございます」



「いえいえ、どういたしまして」



そう言ってミレイさんは倉庫の中をウロウロし始めた。そういえば先程からウロウロしてるけど何をしてるんだろ?



まぁいいや。せっかく開けてくれたんだ、俺は小瓶の匂いを嗅ごうと手で仰ぐようにして嗅ぐ。学生時代、調子に乗って科学の授業で酷い目にあったからな、このやり方は忘れない



小瓶からはなんとも言えない、青臭い匂いがした



「…なんだこれ?」



「先程から何をなさっているのですか?マスター」



ミレイさんが聞いてくる



「ああこの小瓶、何が入っているのかなって思って」



そう言うとミレイさんは困った顔になり



「…鑑定は使わないのですか?」



「…………あー」



なるほど、鑑定はこういう時に使うのか、そう1人で納得していると



「…あー、ではありません…それに毒だったらどうするのですか…以後気をつけてください」



そう言ってミレイさんは頭を抑え、頭痛が痛いと言った顔になる。頭痛は痛くて当然なんだろうけど



とりあえず、鑑定



ーーーーーーーーーーーーーーーー


回復のポーション(下級)


飲んだり傷口にかけることで、傷を癒すことができるポーション。このポーションは下級のため、打撲や切り傷など小さな傷にしか効果はない



ーーーーーーーーーーーーーーーー



どういうこと?



「なんでした?」



ミレイさんが聞いてくる



「なんか、下級の回復ポーションって出たんだけど何これ」



「ああ、ポーションでしたか。ポーションはですね、言わば薬です」



「薬?」



「ポーションは様々な薬草から作られ、様々な効果を発揮する薬です」



「様々な効果?」



「はい、そうです。例えば今、マスターが持っているポーションは回復草(かいふくそう)と呼ばれる植物から煎じて作られたポーションで、傷や怪我を治すことができます。他にも解毒のポーションや魔力を回復させるポーションなんていうのも存在します」



「なるほど、傷薬みたいなものか…下級ってのは?」



「ポーションにはランクがあり、階級なしの粗悪品から、下級、中級、上級となっていき最後は特級となります。階級が上がれば上がるほど効果が強くなり、回復ポーションの特級なら手足の欠損や壊死した部分を治すことができます」



「それはすごいな」



異世界じゃあ手足がなくなっても治せるのか、すごいな



「と言いましても当然階級が上がれば上がるほど価値は高くなる為、ごく一部の人達が独占していたりと数が限られてしまいますが」



「そうなんだ」



どこの世界でも欲深い人はいるって事か、まぁ創造神にとっては都合がいいんだろうけど



そう思いながらポーションをボックスにしまっていく



他の木箱をボックス内にしまっている途中、形が少しだけ違う小瓶があった



鑑定をしたらそっちは下級の解毒ポーションだった



効果はちょっとした毒なら治せる程度だったけど



倉庫にあるものが仕舞い終わり、犯罪者共がいた部屋に戻ると大量の物が1箇所に山積みにされていた



そういえば積む場所を1箇所しか命令してなかった。まぁ大半が元から使い物にならなそうなものばかりだったので、諦めて次から次にボックス内にしまっていく



途中、よくわからない機械みたいなものもあったけどあれが魔道具なのかな?まぁ後で調べればいいか



高く積み上げられたものをボックス内にしまっていると、倉庫の方から



ビキッビキビキビキビキ



なんかすごい音が倉庫の方からする。そういえばミレイさんがいない



慌てて倉庫に戻ると



ミレイさんが床の1箇所を無理矢理引っ張って、引き剥がそうとしていた



何をしているんだろう



「ミレイさん、何してんの?」



「こ、ここに!なにか!あります!」



ミレイさんは床を引き剥がそうとするのを、やめようとしない



何かあるのはいいんだけどさ、どんな力で引っ張ったらそんな床が伸びるのだろうか?どんどん盛り上がっていますよ?



バコンッ!!!



床がすごい音を立て、瓦礫をばら撒きながら外れた



「取れました!!!」



ミレイさんは嬉しそうに言う。どちらかと言えば取れたというよりも引きちぎったようにしか見えないけど



ミレイさんは引きちぎった床を放り投げ、空いた穴を覗き込む。ミレイさんって、その…結構、ガサ…豪快だよね



ミレイさんはなんだか落胆した様子で戻ってきた。手には大きな皮袋を2つ持っている



「それ何?」



「お金でした、もっと面白いものが入っていると思ったのですが」



「お金?」



そういうと、ミレイさんは皮袋を少し開けて中のものを取り出す。中には金色の硬貨がギッシリ詰まっていた



「これは?」



「金貨ですね、鑑定の結果からリーンヘント王国金貨のようですね」



「リーンヘント王国?ここはアランベルト王国じゃなかったっけ?」



「リーンヘント王国はアランベルト王国の隣に位置する王国です」



「なんで隣国の貨幣を?」



そういうとミレイさんはニコリと微笑む…これは知らないって顔だ



それにしても金貨か…金貨ってことは金だろ、金ピカだし



1つミレイさんから受け取り観察する。金貨は変なオッサンが両面に掘られてるだけの簡素な作りだった



「…金貨ってことは金なんだろ?DPになる?」



「DPになったとしても1枚1DPがいいところですね、不純物も多いですし」



「なんだ」



お金としては価値はあっても、DPの価値は0に近いんだな



「お金は金貨以外にもある?」



日本ではお金は9種類に分かれていた。異世界でもそうかもしれない



「ありますよ。この世界の大半が、下から鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、大金貨、白銀貨、紅貨の順になっており、その全てが十進法になっています」



十進法…つまり、鉄貨が10枚で銅貨、銅貨が10枚で銀貨、銀貨10枚で金貨、金貨10枚で大金貨、大金貨10枚で白銀貨、白銀貨10枚で紅貨っていうことか…わかりやすくていいけど十進法なんてものまであるんだな



とりあえず、ミレイさんからお金を受け取りボックス内にしまう



ミレイさんが引きちぎった床は、金庫だったのかな?お金しか入ってなかったようだし



…皮袋1つに300枚くらい入っているけど、これはかなりの大金なんじゃないかな?2つもあるんだけど



なんでこんな奴らが大金を?



…まぁどうでもいいか



俺は辺りを見回し



「…もうやることないし、ダンジョンに帰りますか」



大半のものはボックス内にしまったし、人は全員捕まえた。もうここに用はない



「はい、かしこまりました」



俺はミレイさんを引き連れて犯罪者共のアジトを確認していく。ボックスに仕舞い忘れはないか、隠れている人はいないか



…大丈夫みたいだな、倉庫に確認しに行くと床に空いていた大穴が綺麗さっぱりなくなっていた



「ミレイさん、あそこの床」



「綺麗に直しておきました」



ミレイさんはにこやかに言う



ミレイさんちょっと万能すぎじゃない?




三角形のフラスコとは、円錐フラスコのことです

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