11話 ダンジョン開放
「マスター時間です」
ゴーレムを作っていたところ、ミレイさんが起きてきた
「時間って…ダンジョン開放の?」
「そうです。こちらに来てください」
そう言ってミレイさんは通路に戻っていく
現在ダンジョンは、10部屋が縦列に並んで繋がっている状態だ。部屋と部屋の間には3mほどの通路があり仕切りや扉などはない
ダンジョンコアと布団は9部屋目に移動しており、10部屋目はゴーレムが絶賛掘り進めている
ミレイさんの後を追いかけると、1番手前の部屋に連れてこられた
「この部屋に入り口を作りたいと思いますがよろしいですか?」
「はい、お願いします」
まぁここ以外作れる場所ないからな
「入り口の希望はありますか?」
「希望?」
「はい、例えば3mの大きさの豪華な物が良いだとか大理石、レンガ造りが良いだとか。ただの扉だとか色々できます」
「ほぉーなんでもいいのか?」
「なんでもです。おススメは3mの大きさの大理石のやつですね!せっかくですから豪華に行きましょう!タダですし」
豪華にね…?今大事なことをさらっと言ったぞ
「タダなのか?」
「はい、タダです。1番最初の入り口はプレゼントになりどんなものを作ってもタダになります。そのかわり他の入り口を作ろうとしたり数を増やす場合は1つにつき1000DPが必要となります」
「なるほど、なるほど」
タダなのか
「それでどうします?大理石にしますか?」
豪華にしたいんだな
「んー…そうだな…小さな穴でいいんじゃない?」
「…………は?」
ミレイは信じられないと言った、何言っているのかわからないと言った顔で固まってしまった
「え?いや、だからね、小さな穴でいいんじゃないかなーと」
「…………言ってる意味わかってますか?ダンジョンの入り口ですよ?」
「うん」
ミレイは再び信じられないと顔になった
「…………はぁ…わかりました、マスターのご希望通りにいたします」
ミレイさんは心底、疲れたといった顔になったが俺の希望通りにしてくれた
「おうっ!」
「…」
ミレイさんが冷たい目を向けてくるが俺は何も気にしませんー
ミレイさんは両手を前に出し、メニュー画面を出して何か、し始めた
「…ダンジョン入り口、選択、縦横50㎝、下水道奥の奥、穴型…」
何かぶつぶつ言ってる
「…こういうのはどうでしょう」
そう言ってメニュー画面を見せてくる。メニュー画面にはまるで動物が掘ったような、巣穴のような穴が写っていた
「ああ、これがいい」
「…………本当によろしいのですか?」
「おうっ」
「再度確認します。本当に、よろしいのですか?」
ミレイさんしつこい
「これがいい」
はっきり言う
「…………わかりました」
ミレイがそういうと、ダンジョンの壁の一部が崩れ出し穴が開いていく
崩れた土はすぐなくなり、まるで最初から穴が開いていたようになった
「入り口が完成しました…これから頑張っていきましょう…」
ミレイさんは小さく手をあげる、本当に疲れた様子だ
「おおー!」
俺は元気に返事する
「はぁ…」
ミレイさんは深いため息をつく
「…早速だけどさ、外に出てみたいんだけどいい?」
久々の外だ、楽しみ
「はい、どうぞ…あ、外に出るときはホムンクスル体でお願いします」
そうだった
穴に頭を突っ込んだ状態で指摘される
穴を出て9部屋目にまで戻り、ベットに腰を下ろしてホムンクスル生成のスキルを発動する
体から何かが抜ける感覚がして目の前に小学生くらいの子供が現れた。服装は適当に長袖長ズボンでいっか
ミレイさんはぶつぶつ言いながらスキルを発動するが、俺は想像すれば発動するので、いちいち口には出さない
すかさずリンクを繋げる
小学生くらいのサイズになったがLv10なので違和感なく行動することができる
走って行き、穴を潜り抜ける。穴が小さめだから子供の体がちょうどいい
穴を潜り抜けると、レンガで作られた通路の真ん中に出た。通路の両端には細い道が続いており通路の大半に水が流れている
本当に下水道のようだ。めちゃくちゃ臭い
鼻をつまみながら左右を確認していると入り口の真横にミレイさんがいた
え?
「どこに行ったのかと思ったらいつのまに」
「お待ちしていました」
「ここ通ったの?」
ミレイさん通れたんだ
「いえ、通ってません」
「?じゃあどうやって?」
「スキルを使いました」
…移動系のスキルがあるのかな?
「…狡くね?」
「狡くないです」
そう言うと俺に片手を向ける、するとさっきまでしていた鼻の奥にこびりつくような臭いがしなくなった
「…今のもスキル?」
「狡くないでしょ?」
ミレイさんは膝を折り目線を合わせながら勝ち誇った顔をする
「…狡くないです」
クソっ!スキルすごすぎ!
「それで何をするのですか?」
「ああ、そうだった。ゴーレムを連れてこなくちゃだった」
「ゴーレムですか?」
「うん」
そう言うとミレイさんはメニュー画面を開きボックスからゴーレムを取り出す
「…ダンジョンの外でもメニュー画面使えるんだ」
「はい、使えます」
「DP交換とかも使えるの?」
「それは使えません」
「ん?」
どう言うこと?
「DP交換はダンジョン内でしか使えません。また、ダンジョンの外でも使えるのはメニュー画面とマスターの取得スキル、ボックスの出し入れだけですね」
「…このゴーレムは?」
「ボックス内に入っていたのを取り出しただけです」
「なるほど」
ボックス内から出しただけか
「ボックス内からならいくらでも出せる?」
「欠点がありますが出せます」
「欠点?」
「1体ずつしか出せなくなります」
「ん?」
「ダンジョン内ではボックスから100体の魔物を取り出す場合、100体1度に取り出す事が出来ます。しかしダンジョンの外では100体取り出す場合、1体ずつしか出せなくなります」
「ほぉー知らんかった」
ボックスって入れる事しかしてなかったからなー1度に取り出せたんだ
まぁ時間がかかるだけってことか
ミレイが取り出したゴーレムに手を伸ばす
ゴーレムに触れ、人形創造者を発動する
ゴーレムの身体が崩れ、バラバラになる。バラバラになった部位は掌サイズのハツカネズミ型のゴーレムになり合計で100体いる
ハツカネズミゴーレムに命令する
「この階層にあるものを片っ端から集めてこい。生きて動いているもの以外で」
そう言うとハツカネズミゴーレムは一目散に駆け出していく
「合計で1000体くらい、いればいいかな?」
そう言ってゴーレムをボックス内からまた1体取り出す