特殊部隊
――――――――――――――要塞内中庭
この要塞を陥落させてから数日が経った。人間との交戦は今のところこの戦線では発生していない。ケンタウロス達は他の戦線が押し上がるまで待機することに納得いかない表情をしていたが、変に孤立して包囲されることを伝えたら待機命令に従ってくれた。
キティート「はいはい。私らのような最強部隊には休憩時間なんてありません!残念だったね!」
キティートが笑いながら集合場所である中庭に着陸する。キティートが右翼を広げれば空中に今まで判明した地形が描かれた地図が映し出される。
キティート「昨晩、人魚の艦隊から支援要請があったわ。海での戦闘では負けなしなはずの彼女達が支援要請をしてくるのは珍しいことなの。つまり、何かあったに違いない。」
ソル「人魚にはうちから特殊訓練を合格した艦載機達が配属されているはずでしょ?空の敵には負けることなんてありえないし人間のサイズを考えたら船のサイズだって人魚の方が勝ってる。」
ラーズグリーズ「勇者が召喚されたのなら話は別だがな。そういった報告も上がってきてないのだろう?」
他のハーピーも口々に疑問を言う。合同訓練もしたことがあるほど国同士の関係も良好のためお互いの戦力のことはよく把握している。大雑把に考えれば魔界の中で一番強靭な国家であるアトランティスが苦戦するなどありえない。
ネクサス1「つまり私達は人魚の手伝い?」
キティート「ネクサス隊とネメシス隊と夕日隊はここから東に飛んでケンタウロスの支援攻撃。人魚の方はラーズグリーズとガルダ隊よ。ひよっこ達はお留守番だぞ!」
そう言いキティートが羽根でポンポンと手を叩く動作をすればガルダ隊と我を除いて皆慌ただしく準備をし始める。
ソル「んで。人魚の状態はどうなのよ。」
キティート「いやぁ~……それがね。対艦攻撃が激しすぎて先に進めないんだって。既に何隻か撃沈してるらしいわ。軽空母も小破してるって。」
スノウ「なんだって!?なら地対艦か……?嫌な予感がする。早く行こう!」
ソル「キティート。貴女はどっちに飛ぶの?」
スノウとアクティラが準備に入ると同時にネクサス隊とネメシス隊が空に上がる。その後サンセット達が上がってくるのを空中で旋回しながら待っている。
キティート「私は東。サンセットを見てないと何やらかすか心配だし。ガルダ隊とラーズグリーズは西に飛んで当海域にいる空母【ケストレル】の指揮下に入って頂戴。」
ソル「へぇ~。【ケストレル】が来てるのね。あの子絶対自国から動かないと思ってた。」
ケストレル。ウィーヴァ―の資料に載っていた。種別は魔界に2人しか居ない超弩級ヴァルハラⅡ大型空母。全長849mを誇る最大の空母だ。同時に150人近いハーピーを発艦したとの記録も残っている。
ソル「ラーズグリーズ。今回は長距離飛行に海戦の支援になるからちゃんと考えて飛んでね」
ラーズグリーズ「愚問だな。」
そう言い先に空に上がる。我が空に上がった後キティートが空に上がり我に羽根を振ってから東の方へ飛んで行った。その後にソルから順番に僚機が空に上がってくる。そしてソルを先頭に西へ向かって巡航を開始する
ソル「ラーズグリーズ。行くわよー。」
スノウ「こいつが例の黒鳥か。ご立派な身体してるじゃないか。さぞ強いんだろうね。」
アクティラ「スノウ。そんなこと言う心の余裕があるんならもう少し魔力を積める特訓でもしたらどうだい?」
スノウ「勘弁してよ……」
一番遅いスノウが置いていかれない速度だがそれでも音速は超えている。慣れているのか全然平気そうな顔をするガルダ隊の面々。流石精鋭部隊といったところか。
ソル「しばらくはこの速度を維持。約30分後に目標地域に到着するわ。」
スノウ「相変わらずわざわざ合わせてくれてありがとうね。ソルならマッハ8まで出せるのにさ。さっさと先行けば良いのに。」
ソル「置いてけぼりは嫌でしょ。それにスノウは目が良いんだからついてきてもらわないと。観測手が居ない戦場は敗色濃厚なんだから。」
他のハーピーも笑いながらスノウの方を見ては我の隣に飛んできて自己紹介をしてくる。数日前に共に飛んだはずなのに覚えていないのか。
ガルダ隊1番機がソル。2番機がアクティラ。3番機がスノウ。4番機がシアリー。5番機がゴルト。
よく考えたらこの部隊は全員個別に名前がある。ケンタウロスみたいに効率よく点呼する仕組みがないのかそれとも全員名前付きに相応しい実力があるのか。
ソル「ラーズグリーズ。お手並み拝見させてもらうわよ。」
ラーズグリーズ「獲物を横取りされたと文句を言うなよ?」
――――――――――――――海
ソル「ケストレル!こちらガルダ隊1番機ソル=ミーティア!ケストレル応答されたし!」
しばらく飛行を続ければ海が見えてくる。海には大小様々な人魚が陣形を整えて砲撃をしている。
ラーズグリーズ「機能しているではないか。支援要請は虚偽だったのか?」
ケストレル「此方はアトランティス空母ケストレル!東空から来た戦友諸君。まずは感謝を伝えよう。現在の状況を説明する!」
現在ケストレルとU.S.AとU.S.S.Rを中心とした大規模艦隊が3隊に別れて敵封鎖線を突破しようとしていたが、海中に魔法陣が設置されており既に一撃で何隻か沈められたという。そして敵艦隊は居ないが陸から対艦攻撃が続いているとのこと。
スノウ「やれやれ。私の専門分野か。仕方ないなぁ。」
ソル「頑張ってね。スノウ以外は艦載機が発艦されたら攻撃を開始するわ。それまで空中待機!」
ケストレル「艦載機の発艦を急がせて!U.S.AとU.S.S.Rに通達【太平洋の嵐】!」
U.S.A「【太平洋の嵐】了解~。サンディエゴとフィラデルフィアは前方をエドモントンとカルガリーは右舷頼めるー?……さて!いきましょう!世界の果てまで私達が齎す安息があらんことを!」
U.S.S.R「了解した。同志たちよ!我ら赤軍の恐ろしさを知らしめる時が来たぞ!同志スターリングラード及びシベリアを先頭に突撃する!奏でろ!世界を覆いつくす我等の威光に!!」
ケストレルが攻撃の合図を送ればケストレル周辺の随伴艦の陣形が手早く変更すると同時に指揮者と思われる人魚が指揮棒を構えれば演奏が開始される。
ソル「艦載機が上がってきたわ。やっぱりケストレルは発艦能力凄いわよねぇ。」
ブルーインパルス1「こちらはブルーインパルス!ガルダ隊だね!一緒に飛べて光栄だよ!派手な戦いは出来ないけど派手な飛行ならお任せだよ!」
ブルーエンジェルス1「こちらはブルーエンジェルス。精鋭中の精鋭部隊の実力を見せてもらうよ!今後の展示飛行の参考にしたいんだ!」
ケストレル「ブルーインパルス及びブルーエンジェルスはラーズグリーズの指揮下に加わるように!」
青い羽根のハーピーが10人空に上がってくる。羽根以外にも服も青色で統一されており他のハーピーの部隊とはまた違った雰囲気を醸し出している。我を見ても臆せず飛行を続けるがどうやらその場で止まるということが出来ないのかグルグルと高速で周辺を旋回している。
そして最大の特徴は他のハーピーとの距離が異常なほど近い。少しでもブレれば接触するくらいスレスレで飛行している。
ラーズグリーズ「もっと間隔を開けて飛行できないのか。というかホバリングも出来ないのか。」
ブルーインパルス3「仕方ないのだよ!私達はこういうハーピーなんだから!!」
ブルーインパクト2「そうだそうだ!美しく飛び続けてカッコよく飛び続けて素晴らしく飛び続けるのが私達の使命!息を呑むなよー?」
ブルーエンジェルス4「ラーズグリーズも一度私達と共に展示飛行どうー!?戦果は知ってるよー!!」
我の周りに一気に増えたハーピー達に囲まれないように飛行を再開する。すると我を先頭にしっかり編隊飛行する2部隊。雰囲気や行動こそふざけているが真剣な時は空気がガラリと変わるのを感じる。
ケストレル「ラーズグリーズ。ファーストコンタクトは大丈夫だったかしら?貴方には陸に居る対艦部隊を掃討してもらいます。可能な限りではありません。全滅をお願いします。」
ラーズグリーズ「承知した。では行こう。」
ブルーインパルス・ブルーエンジェルス「了解!」




