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英雄の旅路  作者: トンヌラ
25/30

進軍

――――――――――――――平原


ソル「うーん。やっぱり期待しているような演説はなかったねぇ」


 首を捻り軽く頭を掻くソル。演説の内容を要約すると【平和のために各々手を結んで戦ってほしい】という今の環境では中々に厳しいものである。

 少なくともハーピーとケンタウロスの関係がぎくしゃくしているのにどうやってお互いに手を取って戦えというのだ。


ソル「ま、私達は私達に与えられているお仕事をこなすだけね。攻撃目標と攻撃開始時刻の再確認を。ブリーフィングやるわよ」


 そう言いソルは他のハーピーの元に行ってしまった。そしてサンセットは屈伸などの準備運動をし始める。彼女からすれば戦争が大事なのであってケンタウロスとか人魚とかの他種族は多少なり興味はあるけどそれほどまで深くは興味がないというのが正しい状態だ。


サンセット「ラーズグリーズ。改めて作戦内容を言うね。わし達への被害をなるべく出さんように敵の対空兵器を潰すこと。ソルもやってくれるじゃろうけど期待はしとらん。任せたよ」

ラーズグリーズ「ふん。敵の総数がわからない以上無策に突っ込むのは下策だと思うが」

サンセット「総数がわからんけど平野一面に対空兵器は流石にありえんじゃろうし。それに何千万と雑兵がおってもわし達の爆撃にゃあ対抗できんじゃろう。それにわし達は生半可な索敵では見えんけぇのぉ」


 笑いながら羽根を軽く振り全てを消し飛ばす気満々の態度を取るサンセット。最終的に信じられるのは己の力だというのか。その考えもありだろう。


ラインハルト「全軍!間もなく出陣する!!力の限りこの困難に立ち向かい早期に戦争を終わらせよう!人間にも平和を望む者達がいるはずなのだから!」


 その言葉と共にケンタウロス達が進軍を始め、ハーピーが空に上がっていく。我もそれに続いて空に上がる。地上はケンタウロスだけではなく龍人や獣人も多数いることがよくわかる。寝ていた間にこれほどまで集まったのかと感心する。


サンセット「ええ戦いにしよう。どう転んでもこれが最後のチャンスであり最高の戦力が揃うとる。これで負けたらわし達魔族の衰退は確実になるじゃろう。全機、ありったけの爆弾を人間どもにプレゼントしてあげんさい。それがわし達が出来る最高の仕事なのじゃけぇ」


 サンセットが自分の部隊の僚機などを鼓舞する。綺麗に編隊を組んで飛行するハーピーは確かに恐ろしいだろう。


キティート「こちらはAWACSスカイアイ。全機編隊長機の指示に従って生きて帰ろう!……あぁ。ラーズグリーズ。貴方は指揮権があります。孤立している迷子のハーピーを発見出来た場合、なるべく指揮下に入れてあげてください。一部の新米さんはきっと不安でしょうから」

ラーズグリーズ「了解した。サンセットの護衛と並行して地上を掃討する」


 遠くの方で人魚の艦隊が話し合いながら南下していくのが見えた。やはり艦隊支援は受けられないのだろう。


♯♯♯♯♯♯♯♯♯


キティート「敵要塞まで、残り4マイル。気を引き締めて飛んで頂戴。」

ソル「レーダーに敵空軍の影が映ったわ。航空魔導士はこんなに存在していなかったのにねぇ。私達がのんびりしている間に増員したのね。」




 そう言い散開していくハーピー達。それと同時にソルが対空魔法弾を発射する。弾は勢いよくロックオンした敵に向かって飛んでいく。


キティート「ソル。FOX3発射。命中はしているよ。」

ソル「全機、特殊兵装は好きに使用していいからね。魔力切れだけは注意しておいてね!」

アクティラ「敵からの反撃が来ないね。……いや。来るか。回避!!回避!!」


 多数の弾が空中を飛び交い始める頃、地上ではケンタウロスが野営地に向かって進軍している。それと同時に後方で人魚の様々な楽団が演奏を開始する。


ラーズグリーズ「サンセット。前方でハーピーが交戦した。敵部隊はこちらに気が付く様子はない。そのまま進軍してくれ。」

サンセット「了解。まぁわし達を補正無しで見ることが出来るなんて人はあまり存在せんけぇいちいちそがいな報告せんでもええよ。しゃーなーけぇのぉ。なんならソル達のてごししに行ってもええよ。」

キティート「ラーズグリーズ。貴方も戦いたければ前線へ飛んで行ってもいいわよ。数が多ければそれだけ勝利が近くなるからね。」


 それを聞けば我はサンセットから離れ、真っ直ぐソル達が舞っている戦闘エリアに進入する。既に迷子になっているハーピーがちらほら見て取れる。必死に敵の魔法弾から逃げ回るハーピーも居れば、敵陣に深く突撃し過ぎたため帰ってこれなくなっているハーピーも確認できる。


ソル「ラーズグリーズ!予想より数が多いの!私達でも大丈夫なんだけど兵装が強力過ぎて巻き込むから救出は任せたわ!」

ラーズグリーズ「救出したハーピーは我の僚機として編成するぞ。」

ソル「はいはい。迷子になってるとかはともかく奥深く突っ込んじゃった子達は全部回収してきて。何人たりとも殺されないようにしたいから!今回の戦争の目標に帰還率100%も入ってるんだからね!!!」



 曲芸をするように空を舞いながら的確にレーザーで反撃をしていくソル。よく見ると彼女は未だに特殊兵装を使用していない。彼女の編隊に属しているであろう僚機達は特殊兵装をこれでもと言わんばかりに使い戦場を荒らしているのに。


ラーズグリーズ「ソル。なぜ特殊兵装を使わない。」

ソル「いやぁ。私の特殊兵装ね【SDBM】……つまり超広範囲の散弾ミサイルだから味方ごと吹き飛ばしちゃうんだよね。威力も桁違いだからさ。なるべくなら使いたくないんだよねぇ。」

ラーズグリーズ「なるほどな。広範囲殲滅兵器か。味方諸共消し飛ばす訳にはいかないからな。」


 ソルと話しながら飛んでいると我にも魔法弾が飛んでくる。戦場は少しずつ前進しているため敵陣の対空兵器がこちらに照準を向けている。未だにフラフラと飛んでいる若いハーピーには少し荷が重いだろう。


サンセット「そろそろ突っ込む時間になるよ。前線の掃除は終わっとらんうだけどまぁええや。ケンタウロスは若干遅れ気味。やっぱり電撃戦出来んケンタウロスは遅いのぉ。それとキティート。どこに対空兵器があるかわかるかな。出来れば位置を共有してほしいんじゃけど。」


 サンセットからの連絡が入る。後方を向けば確かに肉体は見えはしないが味方の表示が見える。きっと早く仕事を終わらせたいのだろう。


サンセット「こちらサンセット。前方の掃除が終わっとらんけど仕事を開始する。目標は1400ヤード先の敵要塞とその周辺に展開する敵軍。一気に蹴散らして終わらせるけぇのぉ。投下順は誘導から無誘導でええかな。」

キティート「1400ヤード?もうそんなに近付いてるの?貴女達は今どの高さで飛んでいるの?」

サンセット「10万フィートぴったりのところで飛びよるよ。地上の様子もはっきり見えとるけぇロックオンは出来とる。外すつもりもないし無駄弾をぶちかます余裕もないわけじゃろ。」


 そんな会話が聞こえてくると同時に遥か上空から爆弾が落ちていく音が聞こえてくる。上を千里眼で見れば味方の表示が出ていないハーピーが5羽。綺麗に編隊を組みながら爆弾を投下している。

 そのまま地上を見下ろせば地上で展開している敵軍を勢いよく吹き飛ばしていく。


風月「爆撃確認!!全軍突撃だ!!一気に蹴散らしていけ!!」


 爆撃と同時に控えていたケンタウロスが一斉に前進する。地上があっという間にケンタウロスの波に飲み込まれる。


ソル「地上が攻撃を開始したわ!私も支援攻撃に移るわ!」

ラーズグリーズ「了解した。では敵航空勢力は我に任せろ。」

キティート「といってももう数少ないけどね。掃討が完了した後、地上軍が手間取りそうな兵器や陣形を蹴散らしてよ。……新米さん達。全員戻ってきなさい!ここから先は精鋭部隊の仕事です。ラーズグリーズについていきたい子は残ってなさい!」


 我の周りにはフラフラと飛びながらもしっかりと狙うところは狙って攻撃することが出来るので練度はそこそこだろう。勿論、人間の反撃があるが地上からの攻撃は今のところ支援機が軒並みあらぬ方向へ曲げて無効化しているので、今回が初めての戦闘のハーピーでもなんとか生き延びることが出来ている。


ラーズグリーズ「敵航空戦力の全滅を確認。引き続き敵要塞への攻撃を開始する。我以外はみな撤退しろ。足手まといだ。」


 そう言い急降下して地面すれすれを飛行する。我を狙おうと対空兵器が動くがその瞬間にソルがレーザーで薙ぎ払い倒していく。


キティート「地上部隊!進軍が遅れてるわよ!何しているの!」

風月「結界だ!!防御陣地にご丁寧に重ね掛けしてやがる!空から吹き飛ばせるだろ!早くしてくれ!」


「フットプリント隊!撃ち方始めー!!」

「撃ち方始めーー!!!」


 遠くの方で龍の咆哮が響くと同時に巨大な火炎弾が放物線を描き結界に亀裂を作っていく。


サンセット「バンカーバスターくらいぶっなげてもええじゃろ。硬いものを吹き飛ばすためにわし達爆撃機が空を飛びよるんじゃけぇ。キティート!どうなんじゃ!」

キティート「はいはい。味方に被害が出ないようにね!」

サンセット「よっしゃぁ!全機バンカーバスター用意!目標は敵要塞!地形変えるくらいぶっなげちゃれ!」


 嬉しそうにするサンセット。そして次の瞬間結界がいきなり割れ眼前に聳え立つ要塞が勢いよく砂柱が起こる。


キティート「バンカーバスター着弾を確認!これで先に進めるでしょ。地上部隊は早急に進軍するように。」

風月「ハーピーにしては火力が異常にあるやつが居るんだな。なんにせよこれで道は開けた!行くぞ!!」


 結界が破られた要塞が陥落するのはあっという間だった。要塞内に進軍したケンタウロスが要塞の旗を降ろしたのが確認できればハーピーが次々にゆっくりと着陸してく。


ソル「後はキティートね。あの子は一番奥深くから管制してるからねぇ……」

キティート「お疲れ様。欠員無し!上出来上出来。」


 しばらくすれば満足げな顔をしたキティートが降りてくる。ケンタウロスも要塞内で次の進撃の作戦会議を開始している。


ラーズグリーズ「我は引き続きお前の指揮下に入っていればいいのか。」

キティート「うん。よろしくね。英雄さん。魔王直属ってもみんなと一緒に作戦こなしてもらうからね。」


 少し深呼吸をして今回の戦闘に関しての流れを再確認する。音楽が流れるのが開戦の狼煙なのかわからないが地上のケンタウロスなどはそのように行動していた。


ラーズグリーズ「あの音楽は何なんだ。気持ちを高揚させるとかそういった効果があるのか?」

ソル「よくわかってるじゃない。あの音楽は私達戦う人を支援する部隊が演奏しているからね。軍楽隊見なかった?」


 演説前に人魚が居たのを覚えてる。なるほど。彼女らが演奏しているのか。音楽にはどんな効果があるのかはまだわからないが味方に悪影響が出ないのなら良いのだろう。魔王も使用を許可しているから戦場に居たわけだし。

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