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英雄の旅路  作者: トンヌラ
22/30

軍隊

数週間の平和が訪れていた。

人間はラーズグリーズに対抗する対空兵器を。魔族はお互いに信用を築き上げるために族長や貴族達が魔王の呼びかけに応じ会議を行っていた。



―――――――――魔王城/大会議場


「まず、集まってくれてありがとう。」


魔王の一言で会議が始まる。

円卓を囲んで静かに言葉の戦争が開始する。

内乱での溝もまだ埋まっていないのにこのようなことをすること自体危険極まりないのだ。


「・・・ケンタウロスって私達のこと頼ってくれないよねー。自分が一番って考えてるのー?」



沈黙を破りそのような発言をしたのはハーピーの族長のサマ=カビラである。彼女の種族は飛龍族とほぼ同じような環境で過ごしている。そしてドラゴンとの交流も盛んである。

ハーピーは立地の悪さとその体躯の影響かこれといった特産品も無くそして生産している物も少ない。そんな種族が何故今までこの世界で過ごすことが出来ていたのか。

それは単純にハーピーが傭兵として魔界の物流の護衛を担っていた。それ故にその報酬で生計を立てている者が殆どを占めいている。そのため貿易商が多いドラゴマウンテンとの関係は良好。しかし猛者が集うということは実力主義の社会であるケンタウロスとは言ってしまえば気が合わない。

そのため今回の会議の目的は二つの種族の和解か双方の理解を深めるためと考えてもおかしくない。


「ふん。開戦直後の大規模な戦闘で真っ先に全軍撤退させた弱小種族に頼るなんて考えられねぇな。」

「それは貴方達の無差別な攻撃のせいでしょ!!巻き添え喰らったこっちの身になってよね!」


サマと風月が睨み合う。その様子にうんざりしているシルエスタ。苦虫を噛み潰したような顔をするウィーヴァ―。心配そうに頬に手を添え軽く首を横に振るダイアナ。


暫くして会議の場はまた静まり返った。




――――――――――クリティ山脈/シティホール


「大丈夫かしらねぇ・・・」

「絶対喧嘩する。族長がケンタウロスに殴りかからなかったら誉めてあげたい。」



その言葉にうんうんと頷くハーピーの面々。

彼女らは開戦時に最前線でケンタウロスの攻撃に落とされたハーピー達である。

そしてハーピーの中でも精鋭に入る面々のため部族内での強い発言権を有していた。



「だいたいケンタウロスってなんであんなに好き勝手に戦場を荒らすんだろうねー。やってられないよー。」

「こっちが索敵終ってないのに突っ込むんだもんね。ありえないよねぇ・・・」


ガヤガヤと雑談を始めるハーピー達。

勿論ただの雑談ではなくて次戦場に参加するときに誰がどう組むのかなどの相談なども兼ねている。

そのためはっきりとした戦術が取れない。それ故に軍を纏め上げることが出来るAWACSのハーピーがいないと大軍相手では各個撃破されてしまうという弱点がある。


「ねぇねぇ。ソルはどう思うの?」

「だってさ。ケンタウロスの邪魔が入らなきゃ私らが地上爆撃して占拠して終了だったわけじゃん。ある意味プライドが許さなかったんだろうねー」



一際体の大きい女性のハーピーがそう答える。

そしてその話し相手はクリティ山脈トップのAWACSであるキティート=ファーライガーである。

この二人は開戦前からずっと組んできたため開戦直後に大活躍したペアであることは周知の事実である。



「・・・次の大規模交戦の時はしっかりと最後まで攻め落としたいけどねぇ。」


ソルと呼ばれてる大柄の女性のハーピーが首を傾げながら周りのハーピーを見る。

そして少しあくびをして退屈そうな表情をする。


「演習する?新兵の練度も気になるし・・・・」

「そうねぇ。・・・・キティートはひよっこはどう思う?」


そう聞かれれば少し首を横に振るキティート。


「残念だけど今年のひよっこは期待できないねぇ。爆装して突撃できれば御の字よ。」

「そっかー・・・」



―――――――――――アールバシオン共和国/兵器試験場/格納庫



「出来た―。出来た・・・・」


シャルロッテはずっと研究していた。

ラーズグリーズから受け取った外殻と滅茶苦茶な設計資料。

それらを組み合わせては数値エラーに対応したりと様々な苦労があった。

しかし今日この瞬間にその兵器が完成したのだ。



「α型自走レールガン!とうとう出来たー!理論上なら弾丸を高速で遠くまで貫通できるはず!」


そう言いながらガッツポーズをしてから椅子に座る。戦場に立てる人数が限られている以上このような大型の兵器といえどもなるべく搭乗人数は減らしておきたい。

その結果いかに1人で管理と運用が出来るかを念頭に入れた設計になったが当然ながら魔術系統が面倒くさくなった。


「まずは走行した際の・・・・」


ひとりでぶつぶつ言いながら試験内容をまとめたリストとにらめっこする。

一つずつ丁寧に潰していき引っかかったならまた初めから。

修正を重ねなければいけないのも新造兵器の辛い所でもある。


「ま、やってみますか。」


そう言いながらα型自走レールガンに乗り込んだ兵士の感想を聞き始める。

量産も視野に入れて運用と性能テストをしなければならないため体力的にも辛い面がある。

が、私にはそんなもの関係ない。今は一刻でも早くこの兵器の開発の最終性能テストをクリアしなければならない。

とりあえず3台作ってみたものの不安要素しかないし何かが狂えばまた一からやり直しなのである。



「レールガン!配置につきました!!」


通信機から聞こえる声に返答しながら射撃や運動性能のテストをこなしていく。

そしてわかったことはただ一つ。

α型自走レールガンの最高速度が遅すぎる。


「んんーーー」


最高速や加速のことに目を瞑れば実は期待以上の性能をしっかり発揮してくれているこの3台。

つまりこのまま戦場に出してもいいがどうしても歩兵との連携が遅れてしまうのだろうか。

というかそもそも歩兵とレールガンの通信手段も無線通信機携帯という手段で確保しなくてはいけないのか。

通信兵がいたとしても他の部隊との連絡も考えたら通信機材の改修も必要になってくる。



「うあぁーーやることいっぱい・・・」



一瞬やる気がなくなったがここで踏ん張らなければきっともっと戦場が酷いことになる。

そもそも魔族に我が国を防衛させていること自体が本来異常だということに気が付かなければならない。

なぜ自分の国が自分の国の兵士で守れないのか。それは単純に練度と兵装の結果だと思った。

魔法の概念があるため数の差をひっくり返される。それも考慮しなければならない。



「新兵でも操作できるように組み直さないとなぁ」


そう言いながらまたリストに新項目を追加して今回の性能テストを終わりにしたのだ。

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