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英雄の旅路  作者: トンヌラ
21/30

音楽

―――――――――――アトランティス/コンサートホール



「ダイアナ様ー♪やっと我々も戦場に復帰できますよぉー。全くもん。」


そう言いながらピシッとかっこいいタキシードを着ている女性の人魚がダイアナ女皇に話しかける。

彼女はアトランティスが誇る【ファイナルフロンティア軍楽隊】の指揮者である。

ラーズグリーズの召喚前に人間に対してもっとも猛威を振るった集団でもあり総勢5810名の人魚で構成されている世界最大のオーケストラでもある。

といっても全員が同時に出陣することはめったにない。

何故こんなに所属人数がいるのに今まで出てこれなかったというとやはりあの勇者との戦闘があったからである。




「楽器の修理が終わったのねー。よかったわぁ。」

「みんな少なからず負傷や破損が発生してましたからね。修繕に時間がかかる人もいましたし。」


二人でほのぼのと話していれば楽団員の人魚が各々楽器を担いでコンサートホールの集まってくる。

皆久しぶりの再会に感動する者や楽器を見せ合って戦場の苦労を慰めあったりしていた。

今この時点で集まった人魚は約700名ほどである。それほどの数を管理しなければならないため指揮者になれる人材はとても貴重である。



「しかしこんなに団員多いのねぇ。戦場に出てくるのってこの中の100人くらいでしょー?」

「んー。そうですね。100人くらいの時もあれば40人くらいの時も。」



指揮者の彼女が首を傾げながら周りを見渡す。

そして頷けば全員に聞こえるように手を軽く数回叩く。

それを聞けば話していたり楽器を手入れしている人魚が指揮者の彼女を見る。



「みんな。えーと。まず集まれたことに感謝致します。・・・・先の戦闘において我々は大きな痛手を負いました。・・・勇者による無差別な魔法攻撃。雨のように降り注ぐ矢。他にも・・・・それにより多くの楽団員が戦場にその命を散らして逝きました。彼らの魂は今人間界のあらゆるところに散っています。我々はその魂を受け継ぎそして鎮めなければなりません。・・・・彼らと共に演奏した日々を忘れないように今後も私は戦場で演奏を続けようと思います。・・・・ただの指揮者風情がこのようなことを言うのはおこがましいかもしれません。が、また皆様と戦場で演奏がしたい。無理に出陣しなくてもよいので私のこの命が尽きるまで共に歩んでくれませんか?」



そう言い頭を深々と下げる指揮者の人魚。

彼女はもう自分以外戦場に演奏をしに行く者はいないのではないのか。

そう考えていた。

確かに楽団員の人魚達は周りと相談をし始める。ザワザワとコンサートホールが小さい話声で包まれる。

それもそうだ。別に無理に戦地に出て命を落とすなんてことはしなくてもいいのだから。




「・・・・ま、私はついて行きますよ。最後まで。」


コンミスの人魚が微笑みながら指揮者に微笑む。

その瞳は戦場の怖さより音で戦闘を止めることが出来ると信じている瞳だった。

実際彼女に見とれて戦闘を止めた兵士は人間と魔族両方に多数存在する。

それもあってか彼女は命を賭けてもこの戦争を終わらそうとしている。

自分の音色で世界を変えるために。


「・・・・・・・・・・」

「指揮者が頭下げっぱなしじゃ話進まないんだからさ。・・・・てかさー。みんなもみんなだよ?やるなら楽器出す。やらないなら帰りなさいよー。こっちだって次の出陣のために必死こいて練習してんのにさ。」



そう言いながらヴァイオリンの弓や弦をじっと見つめては軽く試奏をする。

コンサートホールにヴァイオリンの透き通る音が響けば次々に慌ただしく楽団員が楽器を用意する。



「さ、次戦場で流す曲はなにかしら?そろそろ貴方みたいに戦場のど真ん中でソロ演奏かましてみたいんだけど。」

「あはは・・・・あれは単純にテンションが・・・」




コンミスと指揮者の会話を聞きながら軽く安堵の表情を浮かべながらダイアナ女皇はコンサートホールから離れた。




―――――――――――――――アトランティス/???



「やっほー!」

「おーおまたー。」



5人の人魚が各々の楽器を持ってくる。

が、全員ハープだった。ハープの音色は確かに美しいがその音色を引き出せる人魚は少ない。

そんな楽器を軽々と持ち運び軽く彼女たちも勿論戦場で演奏をしていた。

彼女達の演奏は人を誘惑させることで恐れられていた。そのため常に殺害の対象だった。

何故彼女達が殺されなかっとのか。それは至極単純なことである。


彼女達は自由気ままに戦場に現れてそして満足すれば勝手に帰るという演奏の仕方をしていたからである。



「そっちどうよー。弦ー。色変わってるけどー」

「聞いて驚けー!!やっとドラゴンの弦への張り替えが終ったんだよ!!」



そういいながら軽く人魚が試奏する。その音色は当然美しかった。



♯♯♯♯♯♯♯♯♯♯♯♯♯♯♯♯





「ファイナルフロンティア軍楽隊が復帰した。」


この一文は魔界全土にあっという間に広まった。

それもそのはず。彼女らの演奏に救われた部隊もあればとんでもない大暴走が起きた挙句両軍共に全滅という大惨事まで引き起こしたほどである。

今まで楽器を持って出陣した軍は居なかったため初戦の時は嘲笑され邪魔者扱いを受けていた。

そんな歴史があるにも関わらず彼女たちは演奏を続けた。

その結果彼女たちが出現した戦地は他の戦地よりも荒れに荒れていた。



勿論、人間もそのことを無視しているわけない。

すぐに魔術師などが研究した結果彼女達の音色は敵味方関係なく戦意を喪失させそれでも戦う者には祝福と加護を。敵には強力な弱体化補正が発揮されることが証明されていた。

人間もそれに模して臨時の軍楽隊を編成して出陣したが当然息など合わず聞くに堪えない演奏を戦場で奏でたのである。



「いきなり初対面の詩人とか集めて演奏しろってねぇ・・・」


戦場で演奏していた人魚達はその光景に苦笑いしたことを今でも覚えている。

人魚達も初対面でいきなり演奏しろと言われてもまずはどんな曲を演奏するのか決める。

そしてそれに沿った演奏を各々勝手にやるのだ。




少数の人魚ですら気持ちが高揚すれば強烈な効果を発揮する。

つまり百単位で大規模な演奏を繰り広げるファイナルフロンティア軍楽隊はまさに一種の化け物なのである。



戦場に強大な力を持つ軍団がまた降臨するのだった。

ファイナルフロンティア音楽隊


所属:アトランティス

所属団員数:5810名

種族:人魚100%



アトランティスが誇る最大の軍団。実は近衛兵より給料が高い。

そもそもこの軍楽隊はダイアナ女皇の複数回に渡る様々な試練を乗り越えてやっとの思いで編入されるという人魚の中でも有名な登竜門なのである。


編成は現代のオーケストラそっくりだが実は違っていたりする。

出陣の際に誰が集まったのか。そして現在集まっている人員でどの曲が出来るのか。

それを含め人間界ではどう動くのか。

そこまで指揮者は考えなければならない。



指揮者とコンミスはダイアナ女皇が直々に公募を無償でしている。

毎月天才や秀才の人魚が集うが合格できるものは片手で数えられるくらいしか存在しない。



現指揮者はスピリット=オブ=マーメイド

コンミスはジェネシス=ハーモニア

が担当している。



指揮者には固有スキルの1つである【blue ocean】を修得していることが最低条件として提示されている。

このスキルはそこまで珍しいわけではなく結構な比率で人魚は保有している。

効果は単純明快で”指定した人物を全員空気中でも水の中同様に活動できる”というものである。

つまり水中で演奏しているいつもの感覚で戦場の空を舞台に演奏をするのだ。


指揮者が不在の場合はコンミスが指揮を執るようになっているためコンミスも修得していないといけない。

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