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英雄の旅路  作者: トンヌラ
19/30

探究

――――――――――――――ドラゴマウンテン/九頭龍城/資料室



「さて。らあずぐりいずよ。まずはここの資料を全部暗記するまでこの部屋から出さぬぞ。飯は家来に持ってこさせる。・・・・排泄は・・まぁそれはその時でよいじゃろう。」



目線を泳がせながら我にそう言うウィーヴァー。

軽く見積もっても百冊は保管されているだろう。

これ全部暗記なんて短時間で出来るのか。そう感じるがウィーヴァーのような人物なら簡単に暗記できるのだろう。

我に出来るのだろうか・・・・


「さて。らあずぐりいずよ。まず我が国の士官がすべて書かれている書物を探すと良い。・・・そこからはお主が自力で見聞を広めるのじゃな。」

「なぜ我がそんな面倒なことをせねばならんのだ。」

「・・・・・・・・お主は戦場で舞う鳥じゃ。現場の空気と作戦を考える策士共の空気が違うことくらいその肌に染みついておるだろう?・・・・まさか独断で暴れまわってたのかぇ?」


意外そうな声で目を丸くするウィーヴァー。

軍隊を動かして戦うことはつまり大将など複数の将軍などが協力してまるで一つの生き物のように動かす。

ラーズグリーズは初戦で3部隊も率いておいて負傷者は6名。人間側に勇者も居たのにこの被害の少なさである。



「・・・・そもそも我の傍における軍師など存在しない。」

「嘘をつけ。それはお主の勘違いじゃ。・・・・まぁお主位なら5部隊は率いれそうじゃが・・・」

「戦場において必要なのは即断即決を可能にする頭の回転とそのための情報を収集する視野の広さ。そして何より部隊の兵士の命を大事にすること。・・・・敵の実力もわからねばならない。」



色々言うと頷くウィーヴァー。納得したこともあれば納得しないこともあったらしく複雑な顔をしている。

なにが納得しなかったのだろうか。そう聞こうと思い聞こうとしたらウィーヴァーが手で我を止めた後に目を閉じてゆっくりと首を横に振り溜息を吐く。



「やはりお主は単独で暴走しておっただけじゃったか・・・お主の戦い方では陸で戦う者が尻拭いする羽目になるかもしれぬのだぞ。」

「どういうことだ。」

「お主が上空で暴れるのは確かにいいことじゃ。しかしお主がもし敵地ど真ん中で意識を失い墜落したらどうする。お主が率いていた部隊が瓦解するということじゃ。それすなわち各個撃破されるということ。それ位は自覚しておろう。」


そのままツラツラと流暢に指摘していくウィーヴァー。

他にも言われたことは他の兵士との飛行能力の差である。

確かに我は空を舞うように飛ぶが他の兵士はどうだったか思い出すように指示された。



「とりあえず今日はそんなところじゃな。自分で考えたことがあったら羊皮紙に書くがよい。妾はこれから仕事がある故。この部屋から去るとするが。・・・・逃げたらただじゃおかぬぞ。」



そういい最後まで我を見ながら去るウィーヴァー。

呆れたとしか言えないがたまにはこうやって戦地から離れていろいろな知識を深めておくのも重要なのかもしれない。

戦後、もしかしたら小さな領地を任せられるかもしれないのだから。



そう思いながら我は棚の中に詰め込まれている資料集に手を伸ばした。



―――――――――――――――平原



「ぐぅっ・・・」


風月は苦戦していた。

わかっている。対処も出来ている。ぶっちゃけ首を撃たれたときは驚いたがそれ以降は特に傷を負うことはなかった。



「不気味だな・・・」


そう呟くと同時にまた発砲音。的確に盾で弾く。

今まで俺が攻撃を喰らっていたのは要はあの勇者二人が攻撃してきたからだ。

そして今その二人が死んだ以上これ以上戦っていて俺に傷を与えられる可能性は少ないのだ。


「やいっ!こそこそ木の陰からチマチマご丁寧に撃ってきてるそこの勇者っ!いい加減諦めやがれっ!!」



そう叫びながら木々を消し飛ばし大地を裂き土埃を這い上がらせながら戦う。

気がつけば勇者は居なくなっていた。

それに気がつけば立ち止まり深呼吸をする。冷静になることこそ重要なことだ。



だがケンタウロスに冷静なんて文字は似合わない。

しっかり暴れまくってやる。

と、言いたいところだが正直萎えた。超萎えた。

人間界で暴れてやろうと思ってたのに開幕あんな勇者と戦闘になった挙句首をしっかり撃たれたから。



「・・・・・帰るか。」


そう呟きのっしのっしと歩き始める。

ケンタウロスは確かに強気の時は物凄いがそれ以外の時は大人しいのさ。

気分が乗らないなかで暴れてもいい気分にはならないし。



しかしイライラしているのは事実である。

なので俺はまた人間に占領された要塞都市に向かった。



――――――――――――要塞都市テールドフェル



「お。あったあった。ここだな。」


地面を揺らしながら堅固な壁に囲われた街を見つける。

街の兵士は俺を見つければすぐに攻撃を仕掛けてくる。

矢に魔法に大砲に。何が何でもこの街を守りたいらしい。


「おうおう。健気だなぁ。・・・あの青二才はこういう要所を押さえている街をどうしてぶっ壊さねぇんだろうな。」


そういいながら軽く威嚇するように剣を振り回す。

そして軍隊が集まってきたところで一旦離れる。

勿論逃げる訳じゃない。ケンタウロスは下半身が馬。つまりこれからやろうとしていることは気が付く奴は気が付くだろう。


「はぁ・・・・あぁー!なんだっててめえら人間は面倒事をそう発生させまくるんだよ!!」


そう叫び俺は要塞都市の壁を走って蹴り飛ばす。

そしてそのまま街の中に入り暴れる。

普通のケンタウロスならあの壁は確かに突破できないだろう。

だが俺は違う。この圧倒的質量があればあんな壁なんて楽勝だ。


あとはこの街の人間を

皆殺しするだけだ。



「おらおらぁ!!泣け!喚けっ!己の無力さに気が付きやがれっ!!」


叫び。建物を蹴り壊し。逃げ惑う市民を踏み潰す。

勿論四方八方から攻撃はされる。だが効かない。

正直こんな三流以下の攻撃じゃ俺の防御を崩せるはずがない。



「はぁ~・・・猿がいくら頑張っても効かねぇよ!!」


そう言い挑発がてら剣と盾を地面に置き鎧を脱ぐ。

勿論鎧の下に着ていた軽装備もだ。

つまり。俺は今この瞬間全裸だ。



そして軽く舌なめずりをする。

まずは目についたモノからだ。



「・・・ここかぁー?」


そう言い視界の端で確認していた非戦闘員の避難場所の屋根を持ち上げる。

簡単に屋根は俺に持ち上げられて外される。中には大量の女子供。老人などがいた。

皆俺を憎らしそうに見ている。そりゃそうだ。帰る場所を壊され、友人や隣人を無残に踏み潰す魔物なんだからな。俺は。


だがその顔がまたいい。憎悪に包まれた生き物を圧倒的な力でねじ伏せることこそ夢も希望もぶっ壊す良い材料だ。



「おいごらぁー!!俺に攻撃している猿共!!これ以上攻撃してもここにいる猿はぶっ殺すぞ!!」


そう叫ぶと同時に俺はその建物に向かって勢いよく足を振り下ろす。

一瞬の悲鳴が聞こえるが知ったことじゃない。

そもそもあの青二才が来る前に俺達魔族は勇者や人間の王に同じようなことをされてるんだ。


魔族の捕虜は良くて監禁拷問肉便器。基本的に斬首。そして更には自爆特攻までさせられていたんだからな。

こっちだってそれ相応のことはやらせてもらおう。



「ひ、酷いっ・・あれが生き物のやることなのかよっ・・・」

「に、逃げるぞっ!あのケンタウロスは異常だぁっ!!」



各所から響く悲鳴が実に心地よい。圧倒的強者こそ今の時期に必要なのだから。

しかしまだ抵抗する猿がいるのが驚いた。そんなに死にたいようなら殺してやろう。



「死にたい奴はこれだけか―?じゃあ一匹ずつ処分してやるよ。喜べよー!」



そう言い俺は街に備えられている監視塔ごと丸呑みした。

今になっても逃がすか。

丁寧に逃げる猿を捕まえてはスナックを食べる感覚で飲み込んでいく。



気がつけば要塞都市の人間は全滅していた。ちょっと暴れすぎたかな。

勿論都市がそこにあったというのはわかるだろうが。



「はぁーーーー。実に虚しい。悲しい。俺と同じ大きさの強者と戦いたいもんだな。」



そう言いながら脱いだ装備を回収して俺は魔界に戻った。

そろそろ嫁が俺を心配する頃だろうし。

てか、電撃戦をするならあの勇者を何とかしないといけない。

俺は歩きながらどう暴れてやろうか綿密な計画を頭の中で組み立てていく。



「・・・・・・俺って異常性癖者だな。」


正直なところ俺も人間とは手を取り合いたい。

てか今後のためにも手を取り合って生きていかないとケンタウロスはきっと生存できないだろう。



「だぁぁーー!!あんの猿共未来について考えないのかよっ!このまま魔族と人類が消耗しつづけたら反乱革命祭り直行だぞっ!!」



頭をボリボリ掻きながらアトランティスを通りエリアアルカディアに帰還する。

いつも通りの市場。騒がしく自重を知らない知識の合戦が繰り広げられている。


そんな光景をみてふと笑みがこぼれてしまう。

暴れん坊の俺達ケンタウロスも見方を変えれば人間らしく生きているんだな、と



そう思っていたら遠くから俺を呼ぶ叫び声が聞こえる。



「ふぅぅうううげぇぇつぅうう!!!」



あーーーー。見つかった。もうチョイ何とかならんかね。

溜息を吐き顔を上げる。

遠くから衛兵や市民のケンタウロスを体当たりで蹴散らし挙句関所を粉砕させ俺に飛びかかってくる。

俺はそれを受け止める。


「たでーま。」

「おかえりじゃっ!」


下半身が蛇。つまりラミアのこの女性。


俺の自慢の嫁さんだ。

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