龍妃
――――――――――――――ドラゴマウンテン/九頭龍城/執務室
「炎王様・・・おに・・」
そう言いながら衛兵が息絶える。
なにごとかと騒ぎ立てる別の衛兵。
物々しい雰囲気の中その巨体で次々に衛兵を薙ぎ払い炎王の部屋に近づいていく。
「なにごとか。襲撃を受けるようなことは現状ではありえないはずだ。・・・・あ。あったな。」
軽く苦笑いをしながら炎王が部屋から出る。
そして衛兵の話を聞きながら侵入者の後を追う。
「おぉ。やっと追いついた。」
「・・・・」
ラーズグリーズが衛兵を握りながら立っていた。
その姿は巨人が小さな生き物を今まさに捕食しようとしているような場面のため軽く微笑みが溢れてしまう。
弱肉強食の世界で生きる者らしく力でねじ伏せようとするのが行動の節々から伝わってくる。
「炎王殿・・・・」
ラーズグリーズが呟くようにこちらを見ながら言う。
きっと私の部屋がわからずあちこちの衛兵に聞いていたのだろう。
「あぁ。ラーズグリーズよ。まずは無事魔界の戻ってこれたことを喜んではどうだろうか。」
「・・・・まぁ。否定はしないが。・・・それより生きていたら頼みたいことがあると言ってたであろう。それを言ってほしい。」
「そうだな・・・まずここじゃない場所で話そう。立ち話は長時間話すのには向いてはおらぬ。」
ラーズグリーズは頷く。
そして私は歩き出す。私が抱えているある一つの大きな問題。
それは今後この国のことを考えるうえで非常に重要なことだ。
なぜなら私の世継ぎに男がいない。
それすなわち時期王は王女ということになる。
この国の龍達はそれで納得するのだろうか。
きっとしないだろう。私自身結婚を進めてはいるが娘が嫌がる。
嫌がる理由は話してくれない以上どうすることもできない。
ならば思いつく限り手を打たねばならない。最悪娘が家を出ていくのも承知の上だ。
「ラーズグリーズ。儂の娘に会ってみないか?」
「・・・・・・・・」
ラーズグリーズが少し複雑そうな顔をしたのはあえて無視する。
きっと人魚達にもみくちゃにされたのだろう。
「人魚はどうだった。」
「・・・・何とも言えぬ。だが一つ言えるとしたらあの種族は性交渉に積極的すぎる。」
「はははっ。そうだろうな。ラーズグリーズ。君のような魔性で美形の雄は人気があるだろう。・・・・なにより強い。」
ラーズグリーズを誉めながら娘の部屋の前に立つ。
今の時間なら娘は勉学に勤しんでいるだろう。
「さて。ラーズグリーズ。後は任せたぞ」
「・・・・・・・・・」
ラーズグリーズは不機嫌な顔をしながら部屋に入っていった。
後はどうとなれだ。
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「・・・・・・・・・」
部屋に入れば炎王も入ってくると思ったが入ってこなかった。
挙句逃げ道を塞ぐかのように結界を張ったらしい。
小癪な真似を。まぁいい。娘は丁重に扱い炎王には後で文句を言っておこう
「・・・む。誰じゃ。ここは妾のぷらいべえとるうむというやつ故男は父上といえども・・・・」
そう言いながら若い龍人の女性が机から顔を上げる。
言葉使いは年老いた女性のそれだが体は若々しくそして凛々しい。
「ふむ。そなたが噂の豪傑。”らあずぐりいず”とやらじゃな。人魚との乳繰り合いは聞いておるぞ♪」
「・・・・まぁ、ほぼ無理矢理に等しかったんだが。」
「ふぅーむ・・・」
メガネ越しにまじまじと体を凝視する炎王の娘。
そういえば名前は聞いていなかった。失礼になるかも知れないが聞いておこう。
「炎王の娘よ。貴様の名はなんだ」
「まぁそう焦るでない。ふむふむ・・・・ちょっと待ってくりゃれ。よいか。妾が見てないことをいいことに出ていくでないぞ。出て行った際は許さぬからな。地獄の釜に放り込んで出汁をとるということをゆめゆめ忘れぬように。」
そう言うと立ち上がり我に近づいてきた。
・・・・意外に大きい。身長も高い。角を含めればもっと身長を高く計測できるだろう。
「らあずぐりいず。そなた全裸で恥ずかしくないのかえ?」
「・・・服を纏うことは否定はしない。しかし動きが鈍くなる。」
「なるほどの。はあぴいの連中らも服は無いに等しかったの。良く乳や恥部を丸出しにしているのを見かけるわい。」
なるほど。龍とハーピィは仲がいいのか。
それだから一番最初の侵攻の際ワイバーンとハーピィが部隊を組んでいたのか。
それで何をしたいのか。腕を組みじっと仁王立ちしていよう。
「あの服は着てくれたかぇ?妾が丹精込めて織ったのじゃが。」
「・・・残念だがこの世界に来てから一度も服は着ていない。」
「・・・・・・・・・お、お主は全裸で雌を犯しまくるのが生きがいの変人だったのかぇ?」
あらぬ誤解をされているようだが案外間違ってないので寡黙を貫く。
そうか。我に合う服を考えているのか。
初めに送られてきた服はきっとサイズが合わないのだろう。
「ふーぅん。妾が考えていたより胸板も厚いし腹筋も・・・・足腰も強靭じゃな・・・」
「新しい服でも作るのか。」
「当たり前じゃ。妾の服を着ておらぬ貴族は少ないぞぇー?」
なるほど。彼女は服を織りそしてそれを貿易の品として流しているのか。
この国は立地上中継貿易を主にしている。それ故に服の素材は大量に手に入る。
服の素材は確かに種類によっては希少だが貴族の一人娘となれば容易に手に入るだろう。
そんなことを考えながら時間を潰される。
彼女はそのまま大胆になりペタペタと我の身体を触ってくる。
「・・・・」
「ふむ。・・・やはりありえぬ。この体で大空を飛ぶ。言葉にすれば確かに簡単そうだがどう考えても翼の大きさが足りなさすぎる。」
「そこを気にするか。」
「らあずぐりいずよ。妾と一緒に空を飛んでくれぬか?」
唐突にそんなことを言う彼女。
確かに気になるっちゃ気になるだろう。
しかし何故小さいと思うのか。これでもワイバーンや大型のハーピィに比べればかなり大きいと思うのだが。
疑問に埋め尽くされてたが彼女が我の手を引き部屋から出る。
そしてそのまま宮殿の屋外にたどり着けば先に勝手に飛び始める。
彼女は魔力で飛んでいるらしい。
「らあずぐりいずよ!早う来い!名を教えてやるぞー!」
「・・・最初から教えてもらいたいものだ」
そう言いながら彼女の隣に向かって飛翔する。
そして隣に行けば彼女は耳元で我に囁く。
「妾の名はウィーヴァ―=フォン=ドラゴネットじゃ。まぁ服を織る子龍じゃな。妾にぴったりの名じゃ。」
嬉しそうに微笑みながらメガネの位置を直すウィーヴァ―。
風に靡かれる金の長髪が美しい。
「・・・・妾を娶りたいかえ?」
「その話はまだ早い。」
「ふふっ。雌には手をガンガン出すのに本命は決めておらぬとは罪作りな雄じゃな・・・」
くすくすと笑いながらゆっくりと飛び始める。
我は彼女の機嫌を損ねないように付き添うだけだった。
ウィーヴァ―=フォン=ドラゴネット
所属:ドラゴマウンテン
種族:龍人
性別:雌
身長:6m66㎝(角まで計測すると7m22cm)
体重:1844kg(角含め)
炎王唯一の娘であるため大事に育てられた。それ故にそこら辺の魔道書などは熟読している。
実はこの世界で初めてメガネを作り使用している人物。
赤い体に長く美しい金髪。そして澄んでいる翠色の瞳。育ちがいい証拠に乳も尻も巨大。超ムチムチ
本人は全く気にしていない模様。と言いたいがこの豊満過ぎる体を駆使し様々な商人へ容赦ない値切りを吹っかけたりする根っからの商売人。
ラーズグリーズに服を押し付けたのも自分が作った服を着てもらえば自分が口コミを広めれば希少価値からまた服の値段を吊り上げようとしたためである。
ウィーヴァ―の作る服は基本的に全てカスタマイズ品であることを考えると量産には向かないためやはり売る相手は金を持っている貴族が中心になる。
彼女が持っているスキルの中で一番注目すべきスキル
その名も【極上の女体】
【極上の女体】・・・・・異性同性限らず誘惑魔法が確実に効くようになり自分に対する状態異常は確実にブロック出来る。相手が自分の身体に気が向いた瞬間に交渉成功率が40%上昇する。印象度が270よりイベントの効果を除いて絶対に下回らない。そして店での購入価格が最大で-40%される。
欠点として歩く度に「ムチッ♡」「ブルンッ♡ブルンッ♡」という擬音が聞こえる人には聞こえるらしい。見える人には見えるらしい。
要はとてもエロいムチムチメガネドラゴンさん。
彼女の名言の一つに「失敗は失敗ではない。」という名言がある。




