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英雄の旅路  作者: トンヌラ
10/30

帰還

――――――――――アールバシオン共和国/技術省/最新極秘研究所


とりあえず座ってシャルロッテになるべく顔を近付ける。

意思疎通こそ大事なことだから。




「電磁誘導砲・・・?なんじゃそりゃ。大砲の仲間?」

「まぁ、そう捉えてもらっても構わない。まぁ厳密には戦車の一種だろう」

「戦車?戦闘馬車のこと?」


戦闘馬車。まぁそれに近い物か。と、思ったが全然違う。

何か書けるものをが欲しい。そうすればもっと意思疎通が出来るはずだ。


「・・・何か書けるものが欲しい。絵にかけば言葉は不要だ。」

「なるほど。じゃあこの羊皮紙に書けばいいよー。」

「紙はどうした。万年筆はあるだろう。」

「残念でしたー。私は紙より羊皮紙派でーす。」


少し顔をしかめれば笑いながら紙を持ってきてくれた。

そして差し出してきた紙を少しペシッと軽く音を立てて奪えば描く物を要求する。流石に素手で描くなんて出来る訳がない。

シャルロッテは持っていた万年筆を我に手渡した。


「ふふーん。」



ニヤニヤしながら我をずっと見るシャルロッテ。

そして我は眉を顰めながら記憶の片隅に眠っている物を掘り起こす。

多少のミスは勝手にシャルロッテが修正するだろう。


「・・・・残念だが曖昧すぎる。雑多な個所が沢山出来てしまった。」

「いいよいいよ。こっちでてきとーに脳内補完するよ」


そう言うので適当に書いた設計資料を手渡しする。

あくびをしながらシャルロッテをぼんやり見る。

固まってる。・・・・どうしたんだろうか。



「ねぇ。これ冗談でしょ?」

「冗談ではない。雷魔法と重力魔法を使いそして使う弾は貫通力を重視。一発一発を重くそして正確に。」

「・・・・ラー君の世界ではこんなのが戦争に使われていたのね・・・」


少し強張った顔をしながら我を見るシャルロッテ。

我はゆっくり首を横に振る。



「そうだよね。これ・・・少し考えるだけでも生産費とかすっごく高いもん。魔術回路だってこれ・・・大型のカラクリに使っているのでも足りないし。ラー君。もうチョイ手伝ってくれる?」

「何故だ。」

「いろいろ実験したいことが出来たんだー。いいでしょー?」



猫なで声で我のことを上目遣いで見つつお腹にすりすりと頬ずりをするシャルロッテ。

鬱陶しいし炎王との約束もある。早く魔界に帰らないといけないし魔王にももう一度会わねばならない。

そう言った理由を言っても無駄だろうがまぁとにかく我は早く帰らなければならない。


「断る。」

「破瓜。」


・・・・・・・まだ引きずるか。この小娘は。




―――――――――――――アールバシオン共和国/技術省/兵器開発部専用大型平原



「・・・ここか。」

「うん。ま、幻術魔法による新兵器開発が主かな。・・・さて、ラー君!キミのその無尽蔵に等しい魔力であの兵器を再現してくれたまえー!」

「対価は。」


真顔でそう言う。シャルロッテはドン引きしたような顔をしていたが設計図とこれとは違うだろうということを理解したのか溜息を吐き穿いていた下着を脱ぎ顔を赤くしながら我に見せつけた。



「・・・・これでいい・・・?」

「わかってるじゃないか。勿論下の世話もしてもらうからな。」

「変態!」


軽く蹴られるが関係ない。

少し集中して我の中に眠っている記憶を呼び起こす。

そして力を込めて幻術魔法でそれを再現する。



「・・・こ、これが電磁誘導砲?なにこれ。車輪にしてはなんか違うし。」

「無限軌道だな。それは。材料はミスリル銀やゴム・・はないか。」

「なんでこんなに前方がカチカチなの?」

「・・・ふつう考えて横向きながら大砲を撃つか?」



なるほど。と納得したようにシャルロッテが頷く。

そしてぐるりとまわりを見たり構造を見たりしては軽く唸り声を上げるシャルロッテ。



「ど、どこから入るの?」

「さぁ・・・?」

「えーー」


流石に出入りの場所を考えていなかった。てかどこに出入り口があるなんて覚えているわけがない。

とにかく幻術魔法で外見は適当に作ったのだからもう大丈夫だろう。多分。

少し心配だろうが我の知恵が役に立つのはこのくらいだろう。それに自分で作らないと意味がないだろう。

人間とドワーフは道具を作るのが上手い。ならばその二つの血を兼ね備えているこの小娘。シャルロッテならきっとできるであろう。



「・・・・我は他の用事があるから貴様を貪り食ってからその用事をこなしたいのだが。」

「うへー・・・まぁ、ここまで知恵とか情報貰えたしいいかぁ。」

「・・・・シャルロッテ。貴様軽すぎないか?いろいろ。」

「吹っ切れるのが早いって言ってよ。ほら。ラー君行くぞー。」



そう言いながら連れて行かれる。

そしてまた・・・・・




―――――――――アールバシオン共和国/大使館




その後我は大使館にてこの国を旅立つということをアイザックに伝える。

いつまでもこうしてはいられないと。

我がいないところでまた小賢しい戦略で人間魔族双方が傷つくのはこれ以上見たくない。



「我はそろそろ帰らせていただこうか。いつまでもここに留まるわけにはいかない。」

「ふむ。君のことだ。遅かったと言っていいほど滞在していたからね。大丈夫さ。君はもうこの国の良き隣人。君にはこの国の国境を自由に越えてもらっても構わないさ。」

「あぁ。さて・・・シオンのことなのだがこの国に滞在させておいて構わないか?」

「ふむ。まぁいいだろう。君が引き取りに来るまで私が責任を持って預かろう。」



そんな相談をシオンの前でする。

シオンも快諾してくれたのでそのままこの国に預けるとした。




―――――――――――王都フィヴァル


「ラーズグリーズ。シオンとの別行動を開始。」

「ばれたか?」

「わかりません。しかしここ数日ラーズグリーズの行動が不透明すぎる。」



王都は大変なことになっていた。

ラーズグリーズが暴れた結果異世界から召喚された勇者のハジメが死亡しさらに城下町の一部が全壊。しかもこの時期になって王妃と王女が懐妊なされた。王女様はまだ結婚すらしていない。

つまり王女様の腹の中にいるのはラーズグリーズとの子ということで確定する。



ラーズグリーズの悲劇


後にこの災厄はそのように伝えられている。普段から静かな者の逆鱗に触れたらどうなるか。

王都の人間は身を持ってそのことを思い知りそして更に各人の恨み。そして殺意が固まっていく。

いつかはあの悪魔をこの手で、王都の威光の元惨たらしく殺すために。




――――――――――――アトランティス/大海湖/魔界と地上をつなぐ穴付近/駐屯所


アトランティス。魔界の中に存在する水の7割近くの水を保有する巨大な湖。ここから川が無数に流れ魔界の至る所まで水が流れている。

地底には人魚の大国があり魔族の玄関として機能している。


人魚。人間との戦争前の内紛では絶対に他に地域に攻め込まなかった種族である。

そして人魚と言っても魚のような人魚以外にも鯱や海豚のような人魚もいる。






「魔界に来てからもう何日経ってるんだ・・・」

「知らん・・・」


兵士の士気はとても低い。

それもそのはずだ。攻めても攻めても何度も少数の人魚に邪魔されてしまうのだ。

その度に無能な指揮官は突っ込んだりさっさと退却を開始したりして軍は足並みが揃わない。

新型の武器が帝国から大量に配給されて軍の規模も大きくなったというが蓋を開けてみれば魔法が使えない農民や病人が扱える武器であり魔法が使える軍人には配給されなかったのだ。



「みんな!今日こそ進軍をしよう!これ以上ここに留まったら魔王の思うツボだ!それに全員力を合わせれば必ず突破できるはずだ!」



ハジメの死後王都に戻ってきた2人の勇者。

一人はミナヅキ。剣と魔法が得意というゲームならお馴染みな勇者である。ステータスもスキルもずば抜けてる。ラーズグリーズが現れる前には敵無しとまで言われ山のように巨大な人魚ですら殺したと言われる。

もう一人はサリー。彼女は大魔術師ですら赤子同然。魔術師の職業なのに並の兵士の攻撃を一切喰らわない。一説には平原を埋め尽くす魔物の軍勢を1人で全滅させたとも伝えられている。



今この駐屯所で軍の再編成と指示を出している二人。

ラーズグリーズが亡き今こそ絶好の攻め時である。

確かに最初は人魚たちの抵抗も弱弱しく魔物自体も抵抗は激しくなかった。

しかし何故かここ最近魔物の。しかも人魚の抵抗が激しくなってきた。

勇者にとってみれば人魚など歌を歌ってるような種族としか考えてない。そこが落とし穴とは知らずに。




そして士気が下がり勇者と領主と名誉の欲しい貴族しかやる気を出していない駐屯所の上を悠々と飛ぶ。


兵士が悲鳴のような声を叫ぶように言う。




「ラ、ラーズグリーズだぁぁあああ!!!!」

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