ピエロは笑わない
ここからさきは、現実世界とあなたの顔を想像して読んでほしい。
人間の喜怒哀楽はハッキリしている。
顔を見ればわかるからだ。
だが、顔が笑顔でも気持ちは怒っている人間はいる。それは、自分の気持ちを表に出さない人間だ。
そんな人間どこにでもいる。これを読んでいるあなただって、この小説を読んでいる時真顔でも気持ちまで真顔ではないはずだ。
では、人間は顔だけで気持ちが出ないなら、顔なんかいらないではないか。
言葉で言えばいい。喋らなくても紙とペンがあれば伝わる。
仮になくても今は携帯が普及してるから、文字を打てる。
それが無ければ手話だ。顔がいらないだけで、手はある。
なら、手話で話せばいい。つまり、顔なんていらない。
でもそしたら、誰が手話を見るんだ?
顔には見る、聞く、臭う、味わう、体では出来ないことを顔はできる。
じゃあ、顔は必要ではないか。
じゃあ、顔以外はいらないのか。
そーでもない。
何かを持ったり、掴んだり蹴ったり、そーゆー事にも必要だ。
全部必要じゃないか。
「なら、表情はいるか?」
誰かがふと言い出した
確かにそうだ。見る、聞く、臭う、味わう、痛む、など感覚や必要な事が揃っていたら、表情なんていらないじゃないか。
例え怒っていても、顔は真顔で怒ればいい。言い方を強くすれば怒るようになる。
泣きたいなら、顔が真顔でも悲しい言い方をすれば悲しく聞こえる。
そうだ、表情はいらない。表情は体からいらない部分なんだ。
ピエロは答える。
「僕らはみんな大変なんだ」
何を言い出したのかわからない。
だが話を聞くと
「ピエロは、いつも笑ってる。笑顔だ。どんな時もなにをされても。子供が無邪気でも。理不尽な大人がいても。笑顔だ。 逆を言えば笑顔しかだせない。気持ちは辛くても笑顔なんだ。これは、とてつもなく辛いんだ。」
ピエロは笑顔だ。
楽しませる仕事。
ピエロが笑顔じゃなかったら、みんなも笑顔じゃない。でも辛いらしい。
表情はいらないのに。
僕らはピエロに問いかける
「なら無表情ですればいい。もっといえば、ピエロをやめればいい。表情がいらない、実力や力だけの世界に行けばいいさ」
ピエロは応える
「それは無理だ。今更僕らは無表情だのピエロをやめるだのできない。
なぜなら、それが僕らの仕事だからさ。今までずっと笑顔だった。だから、怒り方がわからない、泣き方がわからない。
ピエロの仕事以外スキルはなにもないんだ。」
なら、ピエロをすればいい
たとえ、表情がいらないとして芸としては一流だ。食べていける。
さぁ、世界から「表情」をなくそう
表情がない世界
そこにあるのは、喜びも悲しみも怒りも笑顔も楽しさもない。
無表情の人間が歩く世界。
笑いが命の芸人でさえも、客も笑わなければ芸人も笑わない。
でも、世界から表情が無くなったから、スベったとは思わないらしい。
だが、表情がないからって生活出来ないわけではない。
不自由なく生活している。
これで、いらないものが消えた。
我々は喜んだ。
でも、恨む力が見えた。
ピエロだ。
見ればわかる。あんなに無表情でも、悲しみと怒りがある事を。
我々は、見て見ぬ振りをしようと思うが出来ない。
あの無表情の顔から出てくる、悲しみと怒りのオーラ。
ただのピエロに我々も負けるわけにはいかない。
だが、ピエロはずっとこちらを向いている。
我々から見たら、ただの人間。
でも、何か違う力を持っている気がする。
その時、周りが騒がしくなった。
人が死んだのだ。
おそらく交通事故だろう。
だがその光景は最悪だった。
警察や救急は呼ぶものの、全ての人間が無表情なのだ。
車で引いた男は無表情。それを見ていた目撃者達も無表情。死んだ男も無表情。
こんな光景を我々は果たして望んでいたのだろうか。
我々はまたピエロを見た。
ピエロは、「だから言っただろ」
とゆう目で見ている。
我々は世界を変えた。
表情がある、元の世界へ。
やはりこれが1番いい。
笑顔があるとこちらも笑顔になる。
これが望んでいた世界なのだと改めて実感した。
ピエロはいつも笑ってる。
例え怒っていても、泣いていても…
だから、笑わない日もある。
でも、顔はいつも笑っていた
この作品は頭の中で思った事を、なにも考えずに文字だけを打って完成した短編小説です。
約30分くらいで出来ました。
人間にはいらないものなんてない。そー考えてほしいんです。
1つが無ければ、色んなものが欠けていくんです。
それを理解してほしい。