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黄色い夜

作者: 山田阿片

ルイスの結婚式で、メキシコシティから西に5時間ほど、バンプだらけの道を、排気ガスを撒き散らして走った街に、数カ月滞在していた。

 ウゴの庭で、大ルイスの妹達にしこたま飲まされ、暫く草原で寝ていが、牛や馬がやたらにうろうろして、踏みつぶされそうになったので、懐中電灯とピストルを借りて、独り、ホテルに戻った。

 ソファーに座りこんで一服しているうちに、テレビの中から、小さい人が列になってぞろぞろと出てきた。西部劇のガンマンみたいなポンチョと麦わら帽をかぶり、黒々と髭を生やした、皮膚の真っ黄色のやつらだった。黄人達は遠慮なくずんずん出てきて、部屋はどんどん窮屈になってきて、間もなく窒息するか押しつぶされそうな具合だった。

 仕方なく、冷蔵庫から冷凍のイグアナを出してきて、レンジで解凍しようとしたが、レンジが小さすぎて入らない。そこで、シンクにお湯を張ってイグアナを漬けてやると、暫くしてそれは大きな口を開けて欠伸した。そして水を撒き散らせて床に跳ね下りると、再度、欠伸をした。すると黄人らは自らイグアナの大きく開けた口の中に入ってゆき、あれよあれよという間に、消え失せてしまった。

 部屋の窮屈さが解消され、安堵したのもつかの間、今度はイグアナの肛門から黄人の列がずんずん出てきて僕の肛門に捻じ込入ってきた。僕は慌ててトイレに駆け込み、便器に頭を突っ込んだ。案の定、連中は、僕の口から飛び出してきたので、すかさずフラッシュレバーを引いた。最後の一人まで丁寧に吐ききり、流しきる頃には日が昇ってきたので、ベッドに潜り込んで眠った。

 次に起きた時には、小ルイスが、馬鈴薯とセロリのスープとイグアナのサンドウィッチを作ってくれた。


※ 吾の皮膚を破りて若き蟲いずる   阿片 

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