英語の時間!?
新任の英語教師は教室に入るやいなや、こんなことを宣った。
「それじゃあ今日はいきなり問題っ。
I think that that that that that boy used is wrong.
とはどういう意味でしょう」
唐突な質問にクラス中はうーん、と唸る。
すると、クラスのオタクな生徒が手を挙げた。
「私はそそそそその少年が使っているのは間違っていると思いますっ!」
クラス中が大爆笑に包まれた。
「そんなわけないでしょう。じゃ次、誰かっ」
はいっ、と化学マニアの生徒が手を挙げた。
「僕はこの5つのthat付加重合を起こしているのだと推測します。
ですから『私は少年が使っているポリthatは間違っていると思う』と訳すのです」
しーん、とクラスが静まった。
どこからか「ポリthatって何よ」「ポリゴンみてえなモンじゃね」
という声がする。
「今は英語だから化学は持ち込まないように、じゃあ次っ」
するとクラスの大人しい女子が控えめに手を挙げた。
「あのっ、仮に5つのthatを前から12345とすると、
I think 12345 boy used is wrong.
となります。また1のthatはおそらくI think that のthat でしょうから省略できます。
すると
I think 2345 boy used is wrong.
となります。そして23のthatは『そのthat』という意味でとりますと、
I think そのthat45 boy used is wrong.
それで5のthatはthat boyのthatだと思うので
I think そのthat 4 あのboy used is wrong.
最後に4のthatは関係代名詞のthatと考えると、
結局
『私はあの少年が使っているthatという言葉は間違っていると思います』と訳す……のではないでしょうか……」
その答えを聞いた新任教師はにやり、として
「せいかいっ!」と言った。
クラス中からおおーっと感嘆の声が漏れる。
「じゃあ次、
Buffalo buffalo Buffalo buffalo buffalo buffalo Buffalo buffalo.
とはどういう意味でしょうっ」
するとクラスの一人の野球少年が手を挙げて
「うしっ!!うしっ!!うしっ!!うしっ!!うしっ!!うしっ!!うしっ!!うしっ!!」
と言った。クラス中がどっと笑いにつつまれる。
女教師は腹を抱えて笑いながら、
「ははは、面白いけど違うの、じゃあ次っ」
するとまた化学マニアの男子が手を挙げた。
「このbuffaloはやはり付加重合、」
「じゃあ次っ」
と教師が言葉を遮った。するとクラス委員の女子が手をあげ
「私は大文字のBuffaloは州の名前だと思います。だから仮にAとすると、
A buffalo A buffalo buffalo buffalo A buffalo.となります。
そしてAの次のbuffaloはそのままの意味の『水牛』でしょうから、
仮にBとすると、
A B A B buffalo buffalo A B.
そして残ったbuffaloは動詞「いじめる」でこれをVとすると
A B A B V V A B.
ABをまとめて前から1、2、3として
1 2 V V 3.
ですから
『1に虐められている2は3を虐める』という意味になります。
ですから答えは
『バッファローという町の水牛がいじめるバッファローという町の水牛は、バッファローという町の水牛をいじめる』という訳になります」
と言った。クラス中からすげーという声が聞こえた。
女教師は感心しながら
「せいかいっ!!」
と言って笑った。
英語の時間!? 終わり