2パート
ノゾミは思ったことをすぐ言う性格だった。
髪型や服装にたいして躊躇なくださいとか、しょぼいとか言う性格だった。
疲れたときは疲れたと言ってくれるため気を使わずに楽だった。
そんなある日、ユイは放課後に職員室に呼ばれた。
「K3半島に残っていた骨の身元がお母さんのものと一致した。お母さん、君の事を見守ってくれてるからあまり落ち込んじゃだめだぞ。」
先生の優しい言葉が心に刺さった。ノゾミに今日は体調が悪いから遊べないと伝え、早々に家に帰った。
薄々感づいていたが逃げていた、目を背けてみないようにしていた。何故なら大切な頑張る理由がなくなってしまうから。
お母さん、死んじゃったんだ。私を守って。私が残るなんて言ったから。私が残らなければお母さん私をかばうことなんてなくて生きていたかもしれない。
私がお母さん死なせてしまったのかな、私なんか生まれなければお母さん死ななかったよね。私生まれない方がよかったよね。ならいっそ……
そんなとき、電話がかかってきた。こんなときにと思って出るとノゾミだった。
「どうしたの?」
「なんかあったでしょ。ばればれだよ。ユイの事だからまたばかな事でも考えてるだろうと思ってね。」
「ばかとかひどくない?」
「あんたすぐ後ろ向きに考えるからさ。これは想像だけど職員室でお母さんが亡くなったと聞かされてあなた、自分を責めてるんでしょ。」
「ノゾミすごい。全部お見通しか。」
「毎日一緒に帰ってるからね。」
ふと気付くと目がうるうるしている自分がいた。
「ばーか。泣いてるし。ほんとにやめてよ。私も泣けてくるじゃん…」
電話の向こうですすり泣く聞こえて更に追い討ちをかけるように泣いた。
「正直言うとすごくうれしいの。私の事をまだ心配してくれる人がいて。電話までかけてくれて。必要とされてるんだなってわかったから。」
「必要にきまってるじゃん!あんたいないとレポート教えてもらえないし。」
「もう、ばか。そんな理由かい!」
泣きながら、笑いながら突っ込むユイ。
「そうだねーそれ以外にあるとしたら…」
その間少し間があった。しばらくの間がたった後受話器からはずかしさ恥ずかしそうな声が聞こえた。
「…………友達だから。」
たまらず泣き出した。大粒の涙が流れ出した。あごを落ちていく涙はぼたぼたと音をたて下に落下した。
受話器を握る手が小刻みに震えわぁわぁ声をあげながら泣いた。電話の向こうのノゾミも負けないくらい泣いていた。
私は頑張ろう、心配してくれる人がいるんだからその人のために。何よりも母のために。
「それが、ノゾミとの記憶なんだ。私は絶対ノゾミを助けるんだ。」
男性隊員は黙って話を聞き、女性隊員はみんな泣いていた。
「絶対助けましょう!」
マイが立ち上がって言った。
「みんなありがとう。じゃあ行くわよ。」
エストレーリャはジェミニのいる協議会へと進路をかえて動き出した。