2パート
真ん中を透明な板でしきられた部屋にパイロットは入れられた。そのパイロットはジュンと名乗った。
「それでジュンさん。捕まった時から黙秘を貫いてるらしいですね。どうせ誤った情報でもばらまいて混乱させるように言われてきたんでしょう。」
ジュンは目を見開いた。図星だったらしい。ユイは続けた。
「いっておくけど今の国家軍のやり方はいつか裁かれる。その時にあなたはそれに対抗した人間になったほうが得じゃない?」
髪をなでるユイを睨もうとジュンが前を向いたときジュンはまた目を見開いた。
「そ、そのブレスレットは?」
「これ?高校の頃の友達とお揃いにしたもの。人気があるからつけてる人いるかも。」
「ノゾミさんもつけています。」
今度はユイが目を見開いた。
「ノゾミを知ってるの?」
「ええ。優しい方です。」
「いまあの子は?元気にしてるの?」
「最近顔色が悪いから心配はしています。」
「私は、これはまぁ個人的な話ですけどノゾミを保護できればと思っています。もし、ジュンさんが…」
「本当ですか!」
ジュンが大きく反応したのでユイは驚いた。警備員が反応するほどだった。
「実はノゾミさんは統制官の秘書に精神的な攻撃、いわゆるパワハラを受けて追い詰められているんです。保護できるんであれば是非ともお願いしたいんです。」
「パワハラ…ひどいですね。」
「大したことないミスをずっとねに持ったり、ノゾミさん以外の人をあえてかわいがったり、本来はノゾミさんが抜擢されるはずだったリオンパイロットの件もマドカさんに握りつぶされました。」
「ひどい。何てことを。ノゾミが何かしたんですかね。」
「私の記憶する範囲では特にないですね。」
「なんとしても保護する必要がありそうですね。ノゾミはいまどこに?」
「わかりませんが、リオンパイロットとして選ばれるかもという話の時に移動する話が持ち上がったので今はジェミニの場所にいると聞いています。」
「それがわかれば十分。感謝します。」
ユイは立ち上がって礼を言った。何かあったときのためについてきて部屋にいたカイトと一緒に部屋を出た。
「ノゾミさんという方だったんですね。そのブレスレットは。」
「そう。恩人みたいなものよ。あの人は。」