2パート
「せっかくの機会だからこれから出撃についてくるといいよ。あなたは今後私たちの仲間になるわけだし。」
ミチルは立ち上がって敬礼した。
ユイはどこからか隊員服を取り出した。
「これ、銃弾うけてもびくともしない繊維でできた隊員服。少し早いけどこれを着てね。私はもういかなきゃいけないからそれを来たら作戦室にみんないるから合流して。」
「はい!ありがとうございます。これからお世話になります!」
ユイはウインクだけして出ていった。
作戦室に行くとみんなが待っていた。マイとアユミがミチルを出迎えた。3人は友達なのだ
「元気そう!変わってないね!」
マイが元気に言った。
「最初聞いたときはびっくりしたけどね。」
アユミが言った。
ユイが遅れて合流した。
「少し雑だけど紹介するね。女の子たちはもうわかるだろうけど男性が三人いて、こちらがカイト、ユウタ、シンゴさん。それぞれがタイプの違うリオンに乗る。」
ミチルが予告通りの雑な説明を受けながら戦艦に乗り込んだ。
「この艦の名前はエストレーリャ。星って意味がある。」
銀色に塗られた戦艦はきれいだった。
「こんな大きな戦艦だと目立ちますね。」
ミチルが言った。
「それが光学迷彩って機能を使って消してる。何もないように見えるから見つからないよ。」
「すごいですね!」
こんなやり取りをしながら敵の場所についた。二度めの出撃はK3半島だった。
「カイトくん、いける?」
「はい、いつでも。しかし、ここにくるとは。ニュースでしか見たことなかったです。」
「あの事故以来私も来たくなかったから、15年ぶり。」
「敵機、きました。」
工場跡地から弓を持った機体が姿を現した。
「みましたか、シンゴさん。」
ユイは隣の男性隊員に話しかけた。
「12機の敵リオンはそれぞれに12星座をイメージしてるらしいから、恐らくあれは射手座のサジタリウスだ。」
シンゴは、40代ながら数々の戦いを潜り抜けてきたベテランであり、グローリーで唯一ユイが敬語を使う相手だった。
「俺たちは出なくていいんですか?」
もう一人の男性隊員のユウタが言った。
「高速機動タイプは真っ先に狙われるし、動きがゆっくりなシンゴさんのリオンは格好のえさになってしまう。一度リオンソードだけで行かせて様子を見てみる。」
「わかりました。」
そんななかリオンソードの出撃準備が整った。
リオンソードの前のシャッターが開いてマイの声が響き渡った。
「ハッチオープン、カイトさん。いつでもいけます。」
「了解。リオンソード、いきます!」
エストレーリャから飛び上がり、上空を飛行したリオンソードはサジタリウスの顔面にパンチした。
倒れるサジタリウスの後方に飛び立つリオンソード、すぐには止まらず着地したあと暫く地面の上をすべった。
すべりがとまり、曲げている体を伸ばして背筋を伸ばした。
背中のウイングを広げ、目を発光させた。
サジタリウスは立ち上がり、すかさず弓を引いた。何発も飛ばされる矢を走ってかわし、足に向けて放たれた矢をジャンプでかわしたあとエンジンを吹かして大空へ舞い上がった。
そして、太陽の光で敵のパイロットが目をくらましたところの隙をついて飛び蹴りをいれた。
サジタリウスはそれを腕で受け止めた。しかし、間合いを詰めた戦いでは、リオンソードに有利だった。リオンソードのすばやい身のこなしに弓を引くひまもなく追い詰められていた。
「見たところ中のパイロットはド素人だから、破壊したらたぶん死んでしまう。動けなくして。」
「了解。」
ユイの発言を聞いたカイトはエンジンを吹かし、エネルギーをリオンソードの右腕にためて敵の腹部を貫いた。
敵の目の発光がなくなり、その場に倒れた。
「完璧。お疲れ様。」
その言葉を聞いて、リオンソードはエストレーリャに帰っていった。
その頃、グローリーの動きを気にしている人達がいた。
「反政府組織グローリーだと。ふざけた連中だ。」
ヒトシという男が苦い顔をしてモニターを見ていた。
そこにマドカという秘書が入ってきた。
「現状、三機が確認されてます。単機でサジタリウスが活動ストップにまで追いこまれました。」
「めんどくさそうだな。すべての協議会に警戒を呼び掛けるか。」
「それに加え、敵機の特性に対抗できるリオンをこちらも製造しています。急ピッチで進めてはいますが次に現れたときに一機は出撃できるかと。」
「すまないな。頼んだ。」
マドカは礼をして、ドアからでた。ドアに寄りかかりながらぼそっといった。
「世間知らずの老害が。無様に引きずり下ろされればいいんだ。」
その言葉を聞いてしまった女性隊員がいた。マドカはその人を見もせずにいった。
「大の大人がこそ泥みたいに盗み聞きとはね。ノゾミ。」
ノゾミはびくっとなったかのように固まった。
「弱味でも握って脅迫するつもりなわけ?」
「違います。そんなつもりじゃ…聞いてしまっただけでもう忘れますから、」
「うるさい!こそ泥はおとなしく泥にでも浸かってたらいいんじゃないかな。」
マドカにどつかれてノゾミは転んで書類がばらばらになった。
マドカはわざとその書類を踏んで行った。
グローリーでは、ユイが一枚の調査書を見ていた。
その調査書には、ノゾミの事が書かれていた。
「きっとなにか理由があるんだよね。」
巨大な海底基地の中でユイの心の不安も巨大になっていった。