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メシアの勲章  作者: 赤はげ
プロローグ
1/12

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「権力」と「武力」


傍目から見れば常に等しくあり続けるこの二つが等しくなるのはいつ?


政治家になった時、社長になった時、王になった時、相応の武力も共に持ち得るか?


また、権力が付くようになる武力とは国内チャンピオンになった時? 銃を持った時? それとも核を持った時?


少なくとも度を過ぎた権力は度を過ぎた武力を持ち。 逆もまた然る、と言う事だ。


俺達が目指すのはその二つが「ノットイコール」となった世界。


到底不可能に思えるのはわかる。

言ってることは、支持率100%とか、完全なる平等とか、完全なる共産主義とか、完全なる情報の淘汰とかみたいなもんで目指そうとしても気が遠くなるだけだ。

これだけはどれだけの権力や武力があってもどうしようもない。


ただ、それは人間が持ち得る範囲の話。

「神の力」ならば十分足り得る筈だ。

かつて神の声を聞くことができるとされたジャンヌダルクや卑弥呼が、人徳を集め伝説になったように。


まぁ、卑弥呼は思いっきり権力として使っていたから別として、俺達はそうはしない。


俺達が世界へ翳すのは武力。

神の力が如き、理不尽な程圧倒的制圧力。


しかしこれは権力を持たない武力。


俺達が持つ武力は象徴。

世界中の人々へ、完全に純粋でこの世で最も正しい道徳心を伝える為のカリスマ性。


理不尽な権力を打ち滅ぼし、世界中の人間の支えとなる。

俺達にはそれができる「武力」があり

世界中の人間に一人一人笑顔を振りまく「体力」があり

世界中の人間の飢えを満たす「金」があり

これらを純粋な心で行うことのできる「道徳心」がある。

世界を完全な平和にするには十分だ。


ただ、やはり世界は広い。

世界中にこの考えを行き届かせ、同じ思想を持たせるには、先の4つを持つ者を複数人作り出し世界へ送り込む必要がある。


それをすべく作られたのが、ここ「東ジィン仙人学校」

素質のある人間を半ば強制的に入学させ、その厚かましく身悶えする程寒気のする道徳心とやらを叩き込み、そして強さを与える。


正直言って、学校と呼ぶのは甚だしい。


宗教。


そう、世界一タチの悪い宗教だ。




で。

ここまでが前置きであり、前提であり、建前の話。


学校は、4年の最低修業期間を終えた時、有る程度の強さとそれに見合った道徳心を心得ている生徒のみを終業させ、卒業させて自由にする。

自分達の考えを継いで、世界中に道徳心を伝えてくれると信じて。


だけどやっぱり、そんなのは甘い思想であり、机上論だ。

道徳心なんて不確かだし、スグに揺らいでしまう。

卒業生の一部は、道徳心を得たふりをして卒業した者だったり、欲望に負け道徳心を捨ててしまったり。


そうなると大変だ。

道徳心というリミッターに制御されるはずだった強さが暴走し、当然彼らはそれを権力として使い始める。

平和の使者が一転、大魔王だ。


学校がこの事態に対して出した提案は「道徳心の欠落が発覚し次第、学校に連れ戻して一年生からやり直し」という、短絡的で優しさに溢れたものだった。


俺はこの案には賛成だった。

ただ、この案には問題があり、連れ戻すためには当然、連れ戻す人間は連れ戻される人間より強くならなければならない。

で。

もちろん、この学校にいる先生と呼ばれる人間はその相応の強さを持っている、が。


こいつらが頼りにならないのだ。

本当に頼りにならないのだ。

なので俺は。


卒業を諦めて、その連れ戻し係りを勝手にやる事にした。


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