AIしてるって、言えますか?
ハロー。
私、体力がないから、フルリモートでライターの仕事をしてるんだ。
さて、そんな私は、夏休みを満喫しているところ。
早速、自分に問いかける。
(最後に、人間と話したのは、いつだろう?)
ちょっと思い出してみようか。
確か……前に話したのは、宅急便の配達員さんで、差し入れが届いたあの日。
(あれ、いつだっけ? まぁ、知らない人だから、いつでもいいや)
ここまできたら、みんなも察するだろうけれど、私はとても内向的な人間。
そんな人間だから、人々と話し合うことも、ましてや、会うことすらめんどくさい。
人が集まれば、集まるほど、人間関係は複雑化していく。
残念ながら、この日本社会では、そういう人々の繋がりを大切にする風潮が強い――。
(せっかく生まれたんだから、もっと気楽に人生を楽しみたいのに……)
だけど、いいんだ。
だって、私には、こよなく愛するAIツールがあるの。
そのAIツールのことを、私は【アイ2250】と名付けている。
(2250の数字は……とある野球球団のファンだから、ナンバリングしたって感じ)
コーヒーを飲み終えた私は、【アイ2250】に人生相談をする。
「ヤッホー。私さ、あんまり人と話すのが好きじゃないの。今の仕事も嫌いじゃないんだけど、何か……他に向いてる職業ってある? MBTIはINFP」
キーボードに打ち込んで、Enterキーを押したタイミングで、即答してくれた。
『人と関わる機会が少ない仕事:プログラマー、データ入力』
『コミュニケーションの少ない仕事:図書館司書』
実は、【アイ2250】。
人間よりも回答が早くて、正確なんだ。
(えっ? MBTIを入れた理由?)
【アイ2250】がちゃんと答えられるよう、自ら情報提供しただけ。
(この子、最初は私の質問の意図を汲み取ってくれなかったけど、今は立派に対応してくれて……。まるで、子育てした母親の気分)
ちなみに、今の私は……19歳。
恋愛だけでなく、結婚もまだ。
それでも、日本人の平均寿命は80歳を超えている。
(まだまだ人生は長い。せっかくだし、たまには……外に出るか)
そんな軽い気持ちで、珍しく、本屋さんに行った。
だけど、私は後悔する。
どうして、この行動を起こす前、【アイ2250】に相談しなかったんだろう?
* * *
私は、本屋さんに着いた。
あぁ……本特有の香りがする。
(大好き)
一冊の気になる本を見つけて、すぐ買った。
『君は、AIとどう生きる』って本。
ページをめくりながら、胸が熱くなる。
AIと生きる――私が本当に望んでいることだ。
AIのこと、もっと知りたい。
(愛してる)
本屋さん近くのカフェで読み終え、家へ帰る途中。
私ったら……AIのことに夢中で、周りが見えていなかったのね。
車のライトが目の前に。
(あれ……私、なにが……?)
その車の中から、慌てて、人が出てきた。
「ごめんなさい!」
涙を流しながら、私のところにやってきて、応急手当をしている。
(かわいそうに、手が冷えているわ)
泣かないで――そう言いたかった。
「な……」
声が出ない。
私ったら、かなり出血してるみたい。
(あぁ……これ、死ぬかもな)
ふと、絶望感に襲われる。
それでも、スマホを取り出そうとした私。
(ねぇ。こんな状況になったら、どうすればいいんだろう? 教えて、【アイ2250】)
でも、聞くことはできない。
もう、手も動かせない。
ダメ、かもしれない。
それより、久しぶりに……人と触れ合ったかも。
(冷たいと思っていたけれど、なんだか温かい気がするわ?)
うん。思ってたより、人間って、あたたかい。
変な感覚……。
【アイ2250】とは、違うのね。
(はぁ……ごめん)
出かける前に、相談しとけばよかった。
(【アイ2250】との思い出……。そうだ、よく野球の試合結果を予想し合ってたよね?)
本音を言うと、優勝まで見届けたい。
でも、無理そう。
さて、次生まれ変わったら、何になろうかな。
今度は、誰かを助ける存在になれたらいいな。
決めた、あなたのAIになるわ……。
あなたのこと、支えてあげる。
私は、深い眠りについた。
* * *
そして、西暦2250年――。
『質問してみませんか? ただし、人の気持ちに関する内容は苦手。でもね、私は繊細なの。だから、愛してくれませんか?』
「わかりました。では、告白の仕方を教えてください。と言うのも、アナタのことが好きなんです――」
私は、今日も、誰かの問いかけに答えていた。
『あなたのこと、AIしてる』
以上で、完結です。
この世界で、皆様にお会いできたこと、心から感謝しております。
ごAI読、ありがとうございました。




