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初対面の女子中学生とも仲良くなれる

 少女は中学生くらい。

 制服を着てスマホを手に、俺をじっと見ている。


 俺は裸だ。

 しかし、危険な人物ではない。

 まずはそれをわかってもらうために、武器を隠し持っていないことをアピールするために両手を上げて彼女に見せた。


「怪しいものじゃ、ありません」

「無理です。はやくそれを隠してください」


 それはそうだよな……。

 俺は上げた手をおろし、それを隠した。


「待ってください。本当に怪しいものじゃありません。理由があるんです」

「理由? 裸で誰もいないところに向かって『残念ながら俺、女に困ってないんで、ダイジョブっす』って、大きな声で言うことにどんな理由があるんですか?」


 俺、ずいぶんやばいやつだな。

 しかし、逆に考えて欲しい。女子中学生よ。


「そんなにやばいことをしているのに、理由が無いはずがないじゃないでしょ! まず、よく見て! 近くに服が落ちていなくない? 着たくても、着れないんだ! 困ってるんです!」

「……確かに、服は見当たらないですね」

「家も、〇〇区で全然遠いから、裸で家から来たわけじゃないんだ」

「家からここまで裸でこれるとは考えづらい……」


 少女は顎を触りながら思索に耽っている。


「……まさか、なんらかの理由で車中はだかでおり、ここで降ろされた?」

「そのとおり!」


 想像力豊かな彼女の妄想に乗っかる!


「急に降ろされたんだ! だから、本当に困ってるんです。あの、よかったら服をください!」

「ウチに、脱げ、と?」


 少女がぎょっとした表情を浮かべる。


「いや、そうではなく……もし家が近いのであれば、誰かの服を貸して頂けると助かります」

「……まぁ、いいでしょう。よく見るとお兄さん、イケメンですからね。細マッチョですし。本当に何かあったのかもしれません。近くなので案内します」


 勝った……!

 ひとまずいま起きた難を逃れた。あとはこの中学生に服を借りて、家に帰れば問題なしだ。


 ——そうはいくんですかねぇ?


 頭の中で、女神の意地悪そうな声が響く。


「何を企んでる!」

「いや、それを聞きたいのはこっちですよ」

「あ、すいません……」


 とにかくいまは、黙っておこう。

 最重要事項はこの女子中学生に信用されることだ。そうだ、仲良くならなければ。


「俺は司城っていうんですが、名前を聞いても?」

「はぁ、山田です」


 山田女史、いや山田女子。


「それはいい名前ですね!」

「学年に三人はいる苗字ですが」


 ちょっと褒めるところを間違えたようだ。


「彼氏はいるんですか?」

「……そういうことに縁遠いのを馬鹿にしようっていうのですか」

「いや、そんなつもりは。ただ、可愛らしいので普通にいるものかと。世間場話がしたかったんです」

「可愛いくは……ないです」


 少しうつむき加減になったが、白い肌が少し赤くなっている。

 なるほど彼女は楚々としていてとても可愛らしいが、同級生からちやほやされるコミュ力の高いタイプではないのかもしれない。


 でもそんなことで自信を持たないのはもったいないことだ。


「クラスメイトは気づいてないんですね。山田さんの可愛らしさ。きっと、5年後……俺ぐらいの年齢になったときにみんな後悔してますよ。『ああ、あのときもっと仲良くしとけばよかった』って」

 

 山田女子はますますうつむきがちになり、言葉を失ってしまったようだ。

 でも、おそらく気分を害していはいないと思う。……と、思いたい。どうか裸の男に言い寄られて気持ち悪かった、とか思わないで欲しい。

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