4.
さて、いよいよ飛翔!
竜の父さんの背に、人型の私と母さんと兄さんが乗り込む。
父さんがグッと体を沈め、崖を蹴った。
身体に重力がかかり、一気に雲のすぐ近くまで飛翔する。
高度が安定すると、身体にかかる重力を感じなくなった。
五年間過ごした巣があっという間に小さくなり、やがて見えなくなってしまった。
今まで巣の中で完結していたから、外に出るのもなんだかんだで初めての経験だ。
そのうち巣の生活が、懐かしく思う日が来るのだろう。
大きくなって自由に飛べるようになったら、また遊びにこようと決意した。
高度を保ったまま、森の奥へ奥へと進んで行く。
見渡す限り、ずっと森の緑が続いている。
空からではわからないが、きっと森にも不思議なものがたくさんあるだろう。
いつかこの森も探検してみたい。
『そろそろ着くぞ。』
空の旅を楽しんでいる間に、いつの間にか目的地のすぐそばにまで来ていた。
父さんが高度を下げていくと、ふわっと浮くような感覚が身を包んだ。
これはアレだ。
エレベーターか飛行機に乗った時と同じ感覚だ。
前世では苦手な感覚だったが、今は何とも思わなかった。
竜転生した影響だろうか?
地面が近づいてくると、開けた場所に集落があるのが見えた。
「……え?さっきまで森だったのに……」
「ふふっ。アレはね、結界で隠してあったのよ。」
母さん曰く、外部から見つからないように隠蔽の結界が張っているとのこと。
地上からも上空からも集落は見えないようになっており、ある一定の高度に到達した時、竜の気配に反応して結界が緩む。
更に高度を落とすと、また結界が復活する仕組みになっているそう。
だから空からしか行けず、竜しか辿り着けないようになっている。
……でもこれって、竜でも方向音痴じゃ辿り着けないのでは……?
何だか、少し不安になった。
前世は極度の方向音痴だったので、今世は方向音痴でないことを祈ろう。
父さんが集落の中心にある広場に降り立つと、わらわらと人型の竜たちが近づいてきた。
父さんの背から私たちが降りると、父さんはすぐに人型になっていた。
服は亜空間に入れていたのをさっと着ていた。
不思議仕様で、人型になっても服が着ている状態になる、と言うわけではない。
まぁ、例え裸でも、竜はあまり気にしない。
だって、竜の姿の時は、裸仕様だからね。
私も、前世よりも裸に対する恥ずかしさが和らいでいる。
さすがに全くないわけではない。
全くなくなったら、痴女になっちゃうからね。




